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【 福島第一原子力発電所の事故、吉田所長の証言記録を公開 】ECO

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所要時間 約 9分

一体いつ私は自分の生殺与奪の権利を、東京電力などという一企業に渡してしまったのか?
日々積み重ねてきた努力を無にする権利を、人びとはなぜ東京の電力会社に与えたのか?
3,000万の人間が瞬時にその人生を台無しにされてしまう可能性が、現実に発生したことをどう考えるのか?

エコノミスト 2014年9月5日

吉田所長
フクシマダイイチのヒーローたちの殿堂を作るとすれば、吉田雅夫氏のフィギュアは最重要人物ということになるでしょう。

福島第一原発をタイタニックに例えるならば、吉田所長は制御不能に陥っている福島第一原発を放棄して撤退する事無く、現場に留まり運命を共にするという船長としての責務を全うするつもりでした。
そして後になって吉田所長はチェルノブイリ以降最悪となった福島第一原発事故について、船長室から見ていたその詳細について最も体系的な、そして重要な証言を行うことになったのです。
そして吉田所長自身は故人となってしまいましたが、その証言はおそらく、際限も無く汚染を拡大させてしまった原子力発電の遺産を今後どうすべきかの議論の中心になるべきものです。

福島第一原子力発電所の危機に関する日本政府による精密な調査の一貫として、2011年7月から11月まで13回に渡り行なわれた吉田所長に対する聞き取り調査の記録は、吉田所長の希望もありこれまで公開されませんでした。

しかし2年間に渡りその断片は漏れ続け、今年になってその記録の一部がまず、日本の自由主義を代表する新聞である朝日新聞に掲載され、次にそのライバルの保守派のサンケイ新聞が掲載しました。
2つの新聞は吉田首長の証言について、著しく異なる解釈をしました。

白煙を上げる現場
日本国内に残る50基の原子炉の再稼働に批判的立場を取る朝日新聞は、福島第一原発を運営する東京電力が本来ならあってはならない事故対応の誤りの証拠を証言の中に見出しました。
朝日新聞は証言の抜粋を掲載し、一連の爆発事故により敷地内の放射線量がピークに達した時、福島第一原発の720人の職員・労働者のうち650人が吉田所長の指示に従わずに現場から避難したとする解釈を行いました。
そして東京電力は公式の報告書において、この一連の出来事に関する記述を行なわなかったと報じました。

これに対しサンケイ新聞は同じ抜粋を掲載し、そこにあったのは命令違反では無く、混乱の中での指示の誤認であったとしました。
そして吉田所長の真意は伝わっておらず、後になって所長自身職員が10キロ離れた場所にある福島第二原発に職員が避難した事の妥当性を認めていると伝えました。
そして朝日新聞はその原子力発電に反対する立場から、故意に誤解させるような報道を行ったと批判したのです。

福島第一原発の事故現場でいったい何が起きていたか、その事に関してはこの3年間激しいやり取りがあり、両陣営の主張がかみ合う事はありませんでした。
一方は事故の発生原因を原子力産業界と政治家の間の不適切な関係が生んだものだとし、他方は事故の責任を他に転嫁しようとし、その矛先が向けられたのが2011年当時首相を務めていた菅直人氏でした。

FR24 破壊された福島第一原発
現在は原子力発電に反対する運動の先頭に立つ一人である菅氏は、事故当時東京電力が6基の原子炉と7か所の使用済み核燃料プールを放棄・撤退を検討していた際に、それを諌止したとされています。
菅氏は福島第一原発の事故が制御不能に陥ることにより、東日本全域が人が住めない場所になってしまうことを何より恐れたと、後に語っています。

これに対し東京電力は事故現場を放棄して撤退することを検討したことは一切なかったと否定しています。

サンケイ新聞は、菅前首相がその権限を越えて介入を行ったために福島第一原発の危機が一層悪化したとする主張を裏付けるものとして、録音された吉田所長の発言を引用しました。

吉田所長が菅前首相を快く思っていないことは、その記録からも明らかです。
しかし吉田所長は危機が続いている間、公衆の面前から姿を消してしまった上司をも批判しています。
清水正孝、当時の東京電力の社長です。

圧力が強まる中、日本政府は吉田所長の証言記録のほとんどを公開することに同意しました。

先週取材に応じた菅前首相は、証言記録が明らかになれば、事故に対する菅氏自身の見解の内容が裏付けられることになるだろうと語りました。

101300
いずれの陣営も一点においては見解を同じくしています。
ヘビースモーカーであり、昨年食道がんで亡くなった吉田所長は優れたスタッフに支えられ、団結して危機に立ち向かったという事です。

吉田所長の死後、菅氏はこうツイートしました。
「吉田所長の指導力、そして決断力に敬意を表します。」

http://www.nbcnews.com/science/space/month-space-see-supermoon-other-super-sights-n192001
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私も新聞に掲載された吉田所長の証言記録の一部を読みましたが、つくづくやりきれないと思ったのは、吉田氏が『いったんは東日本全域の壊滅を覚悟した』というくだりでした。

福島の隣県で生活する人間として、一体いつ私は自分の生殺与奪の権利を東京電力などという一企業に渡してしまったのか?

家族全員が充実した人生を送ることが出来るよう、日々積み重ねてきた努力を無にする権利を、私は東京の電力会社に与えたのだろうか?

何十年も住宅ローンを支払って手に入れた自宅も含め、自分の一切の財産を台無しにしてしまう力を持つものの出現をなぜ許してしまったのか?

吉田所長が英雄かどうかは置いておき、3,000万の人間が瞬時にその人生を台無しにされてしまう可能性が現実に発生しました。
その事実の計り知れない重みについて、日本という国はどこまで理解し、反省しているのでしょうか?

※調書の詳報が新聞紙上に掲載されました。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201409/20140911_73048.html

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【 今月の宇宙傑作写真 】《2》

アメリカNBCニュース 9月1日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

SPC06
オービタル・サイエンス社のキグナス貨物衛星の軌道投入を準備する、国際宇宙ステーションのロボットアーム。キグナス貨物衛星は約一カ月間国際宇宙ステーションに接続され、約1.5トンの貨物を降し、代わりにゴミを積んで帰ることになっています。(写真上)

8月17日、国際宇宙ステーションから切り離された2日後、大気圏でバラバラに分解し、燃え尽きるキグナス貨物宇宙船。
実はキグナス貨物宇宙船は地球に帰還するようには設計されていません。
その代り地球への再突入の際、燃えてすべてが無くなるように設計されているのです。(写真下・以下同じ)
SPC07
8月24日に公開されたこの写真は強力な超新星爆発の破壊パワーをNASAのシュピッツァー宇宙望遠鏡、NASAのチャンドラ天文台X線望遠鏡、そして欧州宇宙機関のXMM-ニュートンからデータのデータを合成して、表現したものです。
雲のように見えるのは爆発の衝撃波です。
この超新星爆発そのものは3,700年前に地球で目撃されたはずです。
このパピスAと名づけられた超新星の残骸は地球からおよそ7,000光年のかなたにあります。
SPC08
8月18日に国際宇宙ステーションの船外作業をしながら、カメラに向かって手を振るロシアの宇宙飛行士。
5時間11分に及ぶ船外活動をこなし、小型化学探査衛星を無事軌道上に載せました。
SPC09
7月26日の夜のイベリア半島。中心部でひときわ明るく輝くのはスペインの首都、マドリッド。
このように明快な地球の夜景写真が撮影できるようになったのは、2012年に欧州宇宙機関が国際宇宙ステーションの設置した『ナイトPod』のおかげです。
SPC10
http://www.nbcnews.com/science/space/month-space-see-supermoon-other-super-sights-n192001

 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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