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【 地下水の太平洋への放水を開始 – 福島第一原子力発電所 】

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所要時間 約 9分

事故発生から3年余、『著しい事態の進展』を歓迎する東京電力
1,000基を超えるタンク内の、きわめて高い濃度の放射性物質を含む大量の汚染水の問題は手つかずのまま
日本の地方裁判所、大飯原発の再稼働に差し止め判決

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 5月21日

福島第一空撮01
増え続ける汚染水対策の一環として東京電力は、破壊された福島第一原発の敷地内に流れ込む地下水を事前に組み上げ、太平洋への放水する処置を開始しました。

東京電力は、メルトダウンした原子炉の上流に位置する12か所の井戸からポンプで汲み出した560トンの地下水を太平洋に放出したことを明らかにしました。
地下水は一時的に敷地内の貯水タンクに保管して放射性物質濃度の検査を行い、安全性を確認した上で放出を行ったと東京電力はつけ加えました。

敷地内に保管されている放射能汚染水が日々増え続けている状況は、福島第一原発の事故収束・廃炉作業にあたる担当者にとって最大の緊急課題のひとつであり、事故発生から2年が過ぎた段階では日本の環境庁は、毎日約300トンの汚染水が敷地内から太平洋に漏れ続けていることを明らかにしました。

敷地の西側にある丘陵地帯から福島第一原発の敷地内に地下水が流れ込み、メルトダウンした核燃料の冷却に使われた汚染水と混じり合うことにより、大量の汚染水が発生してしまいます。
東京電力側はこの問題を解決しない限り、メルトダウンした原子炉の廃炉作業に着手することは不可能であることを認めています。

01 Spiegel
放出される地下水は敷地内に流れ込む以前に流路を変更し、福島第一原発を迂回する形で太平洋に放出されます。
この対策により、敷地内に流れ込む地下水が一日あたり100トン減少するとされています。
現在敷地内に流入する地下水の総量の4分の1にあたり、限界が目前に迫っている汚染水貯蔵タンクの確保に多少のゆとりが生まれることになります。

しかし2011年3月に巨大地震と巨大津波に襲われてメルトダウンしてしまった原子炉から流れ出し、地下にまで到達した核燃料を冷却するため毎日現場に送り込まれ、きわめて高い濃度の放射性物質を含む大量の汚染水の問題は手つかずのままです。
これらの汚染水は福島第一原発の敷地内に建造された1,000基以上のタンクに貯蔵されており、どうすればこの汚染水を安全に処分することが出来るか議論が続いています。

この問題は汚染水から放射性物質を取り除くはずの浄化システムが頻繁に技術的な不具合を繰り返したため、解決が一層困難になってしまいました。
さらに東京電力と日本政府は地下水の流入量をさらに減少させるため、凍土壁を建造する計画を進めています。
しかしこの技術がこれ程の規模で実施されたことは無く、その効果を疑う専門家もいます。
奏している間にも増え続ける汚染水を格納するため、東京電力は貯蔵タンクの建造に追われる毎日を送っています。

汚染水タンク
東京電力の特別顧問を務める元米国原子力規制委員会の委員長のデール・クライン氏は最近、東京電力に対し大衆的には汚染水の海洋投棄しか選択肢は無いかもしれないとの警告を行いました。
東京電力は放出される地下水が世界保健機構(WHO)が定める飲料水に関する放射性物質の基準値を下回っていることを地元の漁業関係者に説明し、その了承を得た上で今回初めてとなる地下水の放出を行いました。

東京電力はこの処置を『画期的な事態の進展』と表現し、次のようにつけ加えました。
「放出される水については、独立した第3者機関により、日本の安全基準よりも厳しい数値内に収まっているかどうか監視を続けることになっています。」

この発表は日本の新聞が2011年3月に福島第一原発で原子炉建屋が爆発した際、職員の大半がパニックに陥り、残留命令を無視して逃げ出してしまった事実を暴露した後に行われました。
事故発生当時、残った少数の職員が駆けつけた消防士と自衛隊員とともに現場に留まり、24時間交代で核燃料の冷却作業を続けました。
その英雄的行動に対し、彼らには後に世界的に有名になった『フクシマの50人』の尊称が贈られることになりました。

今週朝日新聞は当時福島第一原発の所長を務めていた吉田正夫氏の証言記録を明らかにし、3月15日に原子炉建屋が爆発した際、当時発電所内で勤務していた720名の職員のうち650名が、制止を振り切って約10キロ離れた場所にある福島第二原発まで避難してしまった事実を伝えました。
吉田所長は昨年7月、ガンで亡くなりました。

福島第一原発で事故収束・廃炉作業が行われている一方、21日水曜日、裁判所が西日本の原子力発電所の安全確保が不十分であるとし、再稼働を行わないよう電力会社に命じる判決を行い、日本政府が進める国内の原子炉の再稼働計画に疑問を突き付けることになりました。

原発止めろ
脱原発を進める側の数少ない勝利となった判決において、福井県の地方裁判所は大飯原子力発電所の2基の原子炉の再稼働を差し止める判決を行いました。
現在日本国内にある数十基の原子炉は、福島第一原発の事故後に策定された新しい安全基準に基づく審査が行われている段階で、稼働しているものはありません。

「こうした訴訟で原告の訴えが認められる例は、これまでほとんどありませんでした。再稼働の動きが本格化する中で、初めて正しい判断が下されたのです。正しい認識が広まる可能性があります。」
日本の環境団体、グリーン・アクション( http://www.greenaction-japan.org/modules/jptop1/ )の代表を務めるアイリーン・美緒子・スミス氏がこう語りました。
一方、関西電力は判決を不服とし、控訴する方針であることを明らかにしました。

http://www.theguardian.com/environment/2014/may/21/fukushima-groundwater-pacific-nuclear-power-plant
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この記事については、書かなければならないことがいくつかあります。
まず上記URLをクリックしてご覧いただくと解りますが、記事に対する読者からのコメントが掲載されたばかりに関わらず大量に寄せられていることです。
それだけこの問題に対する世界の関心の高さがうかがえます。

そして私が指摘したいのは判決が出された夜の官房長官の会見です。
日本は三権分立国家であり、行政と司法は同等の権能を持っているはずです。
ところが官房長官は、地方裁判所の判決など政府が決めた国家の運営方針に影響を与えることは無い、そうとれる趣旨の発言を行いました。
これはまさに民主主義の根幹を理解していない、現政権の本質が現れた発言だと思っています。

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【 癒えない心の傷 - 国立9.11記念博物館の開館 】

アメリカNBCニュース 5月15日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

9.11mus01
9.11のテロ攻撃によって犠牲となった約3,000の人々の記憶を刻み、事件の記録を残すため、発生から13年後に国立9.11記念博物館がオープンしました。

テロにより倒壊した世界貿易センタービルの基礎の鉄骨。(写真上)

『生存者の階段』(写真下・以下同じ)
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倒壊した世界貿易センタービルのノース・タワーのテレビ・アンテナ。
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ノース・タワーの崩壊により押しつぶされたニューヨーク消防局のはしご車3号車。乗員11人全員がノース・タワー内で救助活動中に死亡しました。最後の活動場所は35階付近だったことが後に確認されました。
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自爆攻撃に使われた旅客機第11便の残骸。
9.11mus05
ペンタゴンに突っ込んだ旅客機の残骸
9.11mus06
事故現場から回収された様々な遺品や残骸を展示している部屋
9.11mus07
家族や友人の記憶で埋め尽くされた最後の展示室
9.11mus08

 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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