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【 母なる地球と父祖の土地 – 再び忍び寄るナチの足音 】 [環境保護を前面に打ち出し始めたドイツの極右]

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所要時間 約 10分

【 母なる地球と父祖の土地 – 再び忍び寄るナチの足音 】
[環境保護を前面に打ち出し始めたドイツの極右]

デア・シュピーゲル(ドイツ) 4月3日

環境保護活動家は、政治的には往々にして左派に分類される傾向があります。
しかし今、ドイツのネオナチが自然の大切さに気づいた様子です。
有機野菜を販売し、環境に雑誌を発行することに加え、ドイツ極右政党のNPDは、緑のキャンペーンへの協同を表明しました。
本当のメンバーの真意がどこにあるのか、多少眉唾の感じもありますが、NPDが社会的に受け入れられるようにするための手段として環境問題を選択していることは明らかです。

イェンス・リュトゥケは、遺伝子工学や道路の拡張に反対しています。
彼はまた新しい発電所建設に反対し、年に一度の環境行動の日には抗議行動を行っています。
「自分は緑の党のメンバーのような活動をしたいのだろうか?」リュトゥケは時々自問自答することがありますが、彼は環境保護団体の支持者ではありません。
彼は極右の国家民主党(NPD)の支持者です。
彼は2012年5月に実施されるドイツ北部の州、シュレースヴィヒ・ホルシュタンの州議会選挙の党のトップ候補なのです。

リュトゥケは環境行動の日にボランティアとしてゴミ収集を行っているとき、自分がどんな党に所属しているのか、周囲の人々には打ち明けられない、と語ります。
「我々が環境行動に参加するときは、NPDの旗は持参していません。」
と彼が話しました。
それでも、党内で環境保護活動を行っているのはリュトゥケだけではありません。
NPDはそ の存在をドイツ社会に受け入れさせる密かな試みの一つとして、環境保護問題を党の政策に取り込んでいます。
こうした取り組みの背後に、極右のイデオロギーが隠されていることを見つけ出すのは事実上困難です。

極右政党の戦術は、彼らが発行する環境保護問題を扱う、一見普通の環境保護雑誌と変わるところの無い雑誌『Umwelt und Aktiv(ウムヴェルト ウント アクティーフ・環境と行動)』を読むと明らかです。

その中で扱われるのは、バイオ燃料、遺伝子工学、ガーデニングに関するアドヴァイス、そして子供たちのための歌の紹介など、ざっと見ただけでは何ら問題はなさそうです。
やや特徴的なのはゲルマン神話や異教徒の宗教儀式に関するページぐらいのものでしょう。
この雑誌の題字の下に『ホームランド・セキュリティー』のスローガンが見えますが、昨年の3月号を読んだ読者なら、それが他民族との混血が進めば生物学的にも精神的にも、ドイツ民族が滅びる、という意味のプロパガンダであることを理解できます。

自称『環境問題雑誌』はまた、麻酔なしで動物を殺すユダヤ教とイスラム教のいけにえの儀式を野蛮であると攻撃、両宗教への憎悪を煽ります。
2007年1月号では「移民を優遇しすぎるため、その地に根付いた宗教儀式までもがこの国に入り込み、男女の割礼や窃盗の罪に対する手の切断などの『東洋的』習慣までもがドイツに入り込む可能性がある」と伝えています。

▽公式の方針
『Umwelt und Aktiv(ウムヴェルト ウント アクティーフ・環境と行動)』の編集スタッフは、この雑誌には「極右勢力との政治的つながりは無い」と述べていますが、これはもちろん極右勢力が繰り返し使っているいかがわしい手口のひとつです。
実際に『環境と行動』の編集にあたってるスタッフを詳しく見て見ると、その主張がいかに眉唾であるかがわかります。
奥付には「ミッドガードe.V協会」とありますが、このメンバーのうちの何割かは南ドイツの都市ラントシャットの地方裁判所のリストに載っているNPDのメンバーと同一人物です。
その中にあってクリストフ・ホーファーは協会の役員であり、『環境と行動』の編集者である一方、NPDバイエルン支部の正式メンバーです。
そしてベルティルド・ヘーゼはNPDの書記長を務める一方、『環境と行動』の編集長を務めています。
彼女の夫ピーター・ヘーゼは低地バイエルン支部長を務め、この地区のNPDの党の候補者として定期的に選挙に立候補しています。最近では2009年、連邦議会選挙に立候補しました。

反ナチ勢力のウェブサイト、ナチ・リークスが公開した文書によると、その他の編集スタッフもNPD内部の電子メールアドレスを使って連絡を取り合っています。
執筆者にもNPDの支持者や党員が含まれており、NPDが出版する『人種、進化と行動』というタイトルを持っている『ドイツの声』のような雑誌の広告も掲載されています。
しかしながら、2007年の初版以降、NPDの党機関の文言がそのまま持ち込まれています。
ある部分にはこんな文章があります。
「ドイツの風景には文化的背景があります。そのため、ドイツにおける環境保護は、基本的に文化の発展と切り離して考えることはできないのです。」
これはNPDの環境政策の第一項に上げられているものです。

▽極右の自然保護活動家

『環境と行動』の拠点があるバイエルンは極右による環境運動の拠点でもありますが、他の州でも『緑のナチス』の活動は行われています。
NPDは、メクレンブルク=西ポメラニアン州の東部海岸地区の環境活動を活発化させています。
この活動の起源は2007年にまでさかのぼりますが、農民とNPDのメンバーが遺伝子工学に反対するキャンペーンをおこなったことがきっかけでした。
そして同州の議員であり、NPDの副党首であるウド・パスターズは、この地では環境保護問題の闘士として知られています。
そしてギュストローとテーテロー近くの北部地区には、NPDの党員ではない極右の環境保護活動家がいます。

『アータマネン・ゲゼルシャフト』は1920年以来続く農民運動ですが、『血と土』のイデオロギーを標榜し、かつてのナチス・ドイツとも密接な関係がありましたが、1990年代に入ってこの運動に参加する農民が現れました。
『純血民族の労働者』を称するこの運動の参加者は他の州にも広がりつつある、とNPD問題の専門家が指摘しました。
彼らのほとんどは村落社会で暮らし、学校や育児施設での活動に専念していますが、専門家によれば名前と実態は一致していません。
そして彼らの多くが有機野菜の生産と販売を行っています。
▽キャンペーンが取り上げる問題

NPDはこれまで長い間有権者の支持を得るため、環境問題を取り上げてきました。
NPDは早くも1973年に『デュッセルドルフ計画』を公表し、環境保護による人間の健康維持に言及しています。これがNPDが環境問題を前面に打ち出した、最初の出来事でした。

近年のNPDの綱領は、遺伝子組み換えによる農業生産と企業による農業の産業化に反対していることに加え、連邦政府に対しては代替えエネルギーと農業製品の自給自足に予算をもっと使うよう求めています。
農民をもっと手厚く保護すべきである、とNPDは主張しています。

メクレンブルク=西ポメラニアン州ではNPDは『環境を守ることは、故郷を守ることである』 と訴えるポスターを制作しました。そして前出のイェンス・リュトゥケは彼が現在主に取り組んでいる問題はユーロ批判ですが、シュレスヴィッヒ・ホルシュタインの地方議会選挙では環境の問題をメインに取り上げることにしています。
「私たちは環境問題を、緑の党だけに委ねるつもりはありません。」
リュトゥケがこう語りました。

2007年に発行された『環境と行動』創刊号の最後のページにはこうあります。
『環境保護の問題は未解決のままである』(原文は環境保護には緑の信号は灯っていない)

http://www.spiegel.de/international/zeitgeist/0,1518,825564,00.html#ref=rss
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世の中ですからナチスドイツを持ち上げる人がいるのは仕方ありませんが、あのホロコーストをやった以上、ナチスそのものは絶対に許されません。
ナチスドイツの絶滅収容所に監禁された少女が、独房の壁に爪で刻んだ母親宛のメッセージを題材にして作曲した、グレツキの「悲歌のシンフォニー」が話題になったことがありました。
私もCDを買って聴きましたが、少女が感じている恐怖と絶望をそのまま音にしたような曲で、聴いているうちに自分も胸が苦しくなってきて2度と聴かなくていい、と思ったことがあります。
と同時に同じ人間にこんな思いをさせる行為は、絶対に許してはならない、と思いました。

極右にしても極左にしても困るのは、「異分子は排除する」という考え方です。
地球上にいるのが単一民族でない以上、場所や歴史によって生活習慣が異なる以上、常に「共存」していく中で、互いにとって最も快適な道を探すしかありません。
異分子は排除する」という考え方だけはきわめて危険です。
考え方が違う人は誰にとっても多少は腹立たしい存在かもしれませんが、話し合いを重ねて共存していくしか無いのが21世紀です。

 

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