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【 現在の不況構造をアベノミクスで解決できるか 】《後篇》

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所要時間 約 5分

経済成長率の鈍化に加え、経済格差の存在と大きすぎる企業の内部留保も経済停滞の原因
国の富の大半を一部の富裕層の手の中に置いたままにする格差の存在が、正常な経済のメカニズムを狂わせている

エコノミスト 11月22日

Vanishing worker
グラフ[減少を続ける労働者]各国の労働人口の推移

『いま借金しておいた方が有利』だった時代

そして人口統計学により、経済成長と市中金利に影響を与えるもうひとつの3分の1の理由が貯蓄だとしています。
通常人は大人になった後、その前半生で大きな借金をします。すなわち教育、子育て、そして住宅購入のためです。
そして中年になると節約に励み、引退後はそうして貯めた財産で食いつないでいくのです。
ケンブリッジ大学のクーン・チューリングは様々な国の貯蓄率が、実態的人口統計学上どのように作用するかについて計算しました。

GRPH Real GDP
グラフ[実質GDP]各国の実質的国内総生産の推移

人口増加が進む社会で定年が遅ければ、多くの貯えを必要とはしません。
より高齢であればなおさらです。
1970年当時のアメリカの場合、必要とされる貯蓄率はGDPの228%でした。
各家計は世帯主が若年時に借金をしても年齢が上がるに従い収入が増え、退職前には借金をすべて清算し、退職後の生活を充分に賄うだけの余裕ができると予測できる時代に入って以降、貯蓄志向から消費志向へと切り替わりました。
しかし人口の高齢化とともに経済成長率は鈍化、反対に寿命が延びたのに合わせて定年の年齢も高くなり、必要とされる貯蓄率は2010年にGDPの52%まで下がりました。
同時期、日本では176%から119%へ低下、逆にドイツは189%から325%へ、中国は40%から86%に上昇しました。

多くの国々で同時進行している投資意欲の減退、鈍化する経済成長率、財政削減策、企業の内部留保の増加、そしてその国の富の大半を一部の富裕層の手の中に置いたままにする格差の存在は、老後のための貯蓄の励行と相まって、本来なら投資と貯蓄のバランスを取る役割を果たすはずの金利を低く抑え込んでいます。

GRPH 実質賃金
グラフ[実質賃金]各国の労働者の実質賃金の推移

しかしながらひとつの方針が固まろうとしています。
「定年年齢の引き上げにより、貯蓄率は低下する」
ケンブリッジ大学のクーン・チューリング氏とジュネーブのグラデュエイト研究所のリチャード・ボールドウィン氏は最近発行された電子ブックの中でこう書きました。

「我々が老後に高額の出費と余暇を楽しめるように貯蓄できる金額にはおのずと限界があります。何割かの人々は高齢になっても働き続けなければなりません。全員が現在の定年までに引退できる訳ではありません。」

さらにいくつかの局面において、高齢化する人口はこれまで蓄えてきた貯蓄を使いきるようになります。
モルガン・スタンレーのチャールズ・グッドハートとフィリップ・エアフルトは、現在先進国では現役を引退した人口に対する労働人口の比率が下落を続けていますが、もうすぐ新興国でも同じ現象が起きると指摘しました。

GRPH ジニ係数
グラフ[ジニ係数]社会における所得配分の不平等さを測る指標

日本はかつて貯蓄率が高かった時代に手に入れた海外資産を清算せざるを得なくなっています。
中国と韓国でもその動きが出始めており、ドイツも間もなくそうなるでしょう。
これにより現在低下しきっている金利は2025年までに2.5-3%と、投資と貯蓄のバランスを取る役割を果たせるレベルまで上昇する歴史的局面を迎えるだろうと言われています。

〈 完 〉

http://www.economist.com/news/finance-and-economics/21633860-demography-may-explain-secular-stagnation-no-country-young-people?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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