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【 津波の後の姉妹都市 】第3回〈最終回〉

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所要時間 約 6分

「太平洋を隔てた遥か遠くの町の人々が、東日本大震災の被災地を助けるために立ち上がる」

アメリカCBSニュース 10月2日

彼女は大槌町の副町長に贈り物をする際、日本の人々に対する彼女の悲しみを打ち明けました。
副町長のかつての上司の写真、大槌町の町長は津波を生き延びることができませんでした。
彼は町役場の二階にとどまり、町民の避難の指示をしていました。
デイビス「その後町長は彼の部下に、屋上に避難するよう命じました。その指示を行っている最中に津波にのまれ、20名の役場の人々とともに命を失ったのです。」

サイモン「屋上に避難した人は助かったんですか?」
デイビス「助かりました。」
サイモン「どう表現していいかわからない程の英雄的行為だね。」。
デイビス「彼は英雄的な死をとげてしまいました。」

海岸沿いのすべての町がそうであるように、大槌町にも防潮堤がありました。しかし、海はそれを軽々と乗り越えるほどの波を起こすことがあります。
大槌の防潮堤は子供が砂浜に作る砂のお城よりも、はるかに素晴らしい働きをすることはできませんでした。
津波は恐ろしく巨大であり、海から船を持ち上げ、建物の屋上に放り上げました。
そしてこの船の写真は、日本全体の悲劇の象徴となったのです。

サイモン「これは本物の船だったんですよね?」
デイビス「この船は今回の大災害の象徴になってしまいました。」
サイモン「あなたが大槌町を去る直前、あなた方はこの船上で談笑し、ダンスをしていたんでしょう?」
デイビス「その通りです。」

この船こそは5ヶ月前、フォートブラッグの送別会が開催された船だったのです。
この船が再び海に浮かぶことは無いでしょう。
廃棄処分を待つだけです。

時折、もはや二度と見ることができないものを探しながら、あてどなくさまよう老人たちに出会います。
我々が大槌町にいたのは津波が襲ってから3カ月たっていましたが、遺体の発見はなお続いていました。
公式な報告によれば、大槌町の死者は1,500名に上ります。

サイモン「正確な数字なのでしょうか?」

デイビス「私は本当にどうなのかわかりません。私は日本人の中でいったい誰が亡くなったのか、特定するために行うべき作業はまだまだたくさんあると思います。誰かが指摘するまで、いったい誰がいなくなっているか、確認しようがないのです。
家族全員が津波にのまれてしまったら、それを報告すべき人はもう残っていないのです。

無くなってしまったのは人だけではありません、家族の思い出もまた、泡とともに波にさらわれて行ってしまいました。
毎週土曜日、がれきの間から見つかった写真が高校で公開されます - 生まれたばかりの新しい妹、新しい髪形でおめかしして。
幸せとは自分の思い出を取り戻すことなのです。

すべてのがれきを片付けるためには、数年かかります。
時にはその作業は有史以前の方法に頼らなければなりません、がれきを手で持ち上げて。
彼らは漁業組合の人々です。津波を防ぐことができず、彼らを今の立場に追い込んだ防潮堤に沿って、彼らは海岸の片づけを行っています。

これは、エアロバイクではありません。ここはガソリンスタンドです。
ペダルを踏んで、ガソリンをくみ出しているのです。この光景が伝えるものは、この町の人々の決してあきらめない、という姿です。
これはほんの一例です。

この町の人々には、遠く離れた友人からも援助の手が差し伸べられました。
フォートブラッグの人口はたった7,000人ですが、その町から約1,400万円が寄付されました。
この町には便せんもなければ、ましてやグリーティング・カードなどは手に入りません。
そこでこの町の人々はその手に残された唯一の字を書けるもの、防水シートに「ありがとう!」と書きました。

この人々を見ている限り、彼らがどれほどの体験をさせられたのかわからないでしょう。
ここ日本では、自分自身のトラウマにこだわり続けることは、ほめられたことではないのです。

サイモン「こうしてここに座って周りを見渡すと、あなた方が何もかも失ってしまったことが、よくわかりますね。」
佐々木「その通りです。」
サイモン「でもあなたは笑顔でいる。どうしたらそんなふうにできるんですか?」
佐々木「泣くことができないんですよ。わかります?泣きたくなんかないんです。私たちに必要なのは笑顔、そして笑うことなんです。」

我々が去る前、ケンさんは彼の家があった場所で、がれきの間から芽が出ているところを私たちに見せようとしました。

佐々木「ほら、これを見て...」

ア ジサイが芽吹いていました。
佐々木「これも希望の一つですよ。新たな命の…」
サイモン「あなたが家を建て直すのがいつになるかはわからないと思うけど、もしそうなったらまたアジサイを植えようと思いますか?」
佐々木「ええ、できるといいですね。私たちは生きているんですから。」
サイモン「ここでは新たな人生が始まる?」
佐々木「その通りです。」
〈完〉

 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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