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【 気候変動と原子力発電 – ゲンパツを続けるための詭弁(きべん)を許すな 】《前篇》

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所要時間 約 8分

地球温暖化が心配だからと言って、地球を終わりに向かわせる発電手段の復活を許すのはかえって危険
信じられないことに、原子力発電を始めて50年経つのに、未だ核廃棄物の有効な処理方法は確立されていない

マーク・ビットマン / ニューヨークタイムズ 8月23日

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ここにきてその現実が明らかになって来た地球温暖化に対する懸念から、原子力発電に関する新たな議論が活発化しようとしています。

ジェームズE.ハンセンによって公開された原子力発電を擁護する論文、その名も『パンドラの約束』というものです。
ハンセン氏は地球温暖化に対して警鐘を鳴らし続けてきたことでその名をはせましたが、一方で原子力産業界の擁護者であり、原子力発電の推進者として筆頭に挙げて良い人物です。

しかし地球温暖化を防ぐために、原子力発電を推進せよという彼の理論を受け入れる前に、確認しておかなければならない大切なことが3つほどあります。

原子力発電は安全でクリーンな発電手段でしょうか?

原子力発電は効率的な発電手段でしょうか?

もっと良い選択肢は無いのでしょうか?

答えは順に、ノー、ノーそしてイエスです。

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未だ明らかではない気候変動の自然災害の発生を防ぐために、それと同等あるいはそれ以上に危険な選択をするようなことは避けなければなりません。

懸命の努力、そして国際的な協力体制が敷かれているにもかかわらず、福島第一原子力発電所の事故収束作業は解決に向かうどころか、その目処すら立たず、今も危険な状況が続いています。
事故の発生を見て、ドイツはすでに原子力発電の全廃を決定しました。

原子力発電を支持・推進する人々は新たな、より安全な技術の実現を約束しています。
しかしその主張には、あいまいで不明瞭な点に対する疑問が次から次へと湧き上がってきます。

原子力発電に『全くの安全』などはあり得ません。
そして様々な危険の可能性は、決して減少などしていないのです。
果たしてこの問題を見過ごして良いのでしょうか?

そしてあまり触れられる事の無い話題ですが、ウラニウムの採掘について回る危険を減らすことには成功しているのでしょうか?
ただでさえ水資源の確保に苦労しているアメリカ西部では、莫大な量の水がウラン採掘の際に消費されていますが、これまでその消費状況が管理されたことは無く、なぜそれほど大量に水を消費するのか、検証されたこともありません。

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これまで数千か所に上るウラン鉱脈が廃棄されましたが、きちんとした安全処理がなされているのかどうか、未だに確認できない状況です。
そしてもし危険を除去するためのクリーン・アップ作業が必要ということになれば、その費用を支払うのは税金を納めている一般市民なのです。
原子力産業界ではありません。

そして使用済み核燃料の問題があります。
使用済み核燃料は使用前の核燃料と危険性において比較になりません。
その場所にあるというだけで、きわめて高い濃度の放射線を放出することになります。

信じられないことに、原子力発電が開始されてから50年の歳月がたつのに、未だに核廃棄物の有効な処理方法すら確立されてはいないのです。

アメリカ合衆国のどの政府機関よりも原子力産業界寄りの原子力規制委員会の、つぎはぎだらけの放射性核廃棄物廃棄の処理計画は、昨年上訴裁判所によって拒絶されてしまいました。

さらには、オバマ政権はその選挙公約通り、ネバダ州のユッカ・マウンテンに建設する予定だった核廃棄物処分場の建設計画を撤廃しました。

インディアン・ポイント原子力発電所
原子力発電の経済性もまた、悲惨な状況になってきました。
原子力発電所の廃炉が次々と決定しています。
そして発電能力も低下を続けています。

電力会社はこれからも原子力発電によって、利益を上げ続けることは可能かもしれません。
しかしそれは国から巨額の補助金が支出されているからに他ならないのです。

この補償により、保険の経費は限られた金額に抑えられています。
そして債務の補償は巨額に上っています。
破たんしたソリンドラ社が得ていた補償金額は5億ドルでしたが、これとは対照的に、新たに原子力発電所を建設した場合、政府は最大80億ドルまでの債務保証を引き受けることになっています。

費用(原価)回収と投資利益率も数十年間、政府によって保証を受けることになっています。
そして一部の電力会社に至っては、原子力発電所の建設開始から実際の稼働まで、地方自治体から補償を受け取り、それを株主に還元することすら認められているのです。
この特権は、最終的に原子力発電所が稼働しない場合でも、認められているのです。

もしあなたがオーナーなら、原子力発電所が本当にウマ味のある存在であることを実感することでしょう。
これまでの実績を見る限り、発電のためにかかった経費の倍の補助金を受け取ることが出来るからです。

〈 後篇に続く 〉


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このところ、異常気象による自然災害が続いたせいか、改めて地球温暖化の問題がクローズアップされているようです。
そして気になるのは『この機に乗じて』原子力発電の『復権』を図ろうという動きが出てくるだろう、という事です。
現にツイッターでは『日本はこの地球温暖化の中、原子力発電という手段がありながら、化石燃料をバンバン燃やして発電している困った国』という書き込みを見かけました。

何と恥知らずな、というよりは無知なのかもしれませんが、原子力発電によって生み出される使用済み核燃料は長期間にわたって冷却を続けなければならず、その際に大量の二酸化炭素を排出することになります。

第一地球温暖化については、発電手段などより地球人口の増加、都市化の進行、森林の消失などの方が大きく関わっているでしょう。

しかもこの記事にもありますが、原子力発電には他の発電手段には無い補助金がてんこ盛りで、その分『見かけの経費』だけが安く感じられるよう『仕組まれた』料金体系を有しています。

そして何と言っても福島の現状があります。
160,000人を超える人々が故郷に帰れなくなってしまう災害、それ程にひどい災害が地球温暖化によって生まれているのでしょうか?

そもそも、火力発電を原子力発電に切り替えてきたこの40年間にこそ、地球温暖化は進行したのではありませんか?

 

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