星の金貨 new

星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

ホーム » エッセイ » 【 福島第一原発事故と深刻な疾病との因果関係を、法廷で証明できるか?! 米国海軍兵士 】《前篇》

【 福島第一原発事故と深刻な疾病との因果関係を、法廷で証明できるか?! 米国海軍兵士 】《前篇》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 11分

ゲンパツの不適切な運営・管理を続けたニッポン、米国でその責任を今、問われる
白血病を発症し夢をあきらめた少年、車いす生活を強いられることになった海軍将校…
東京電力は放射性物質の放出量について偽りを公表、そのために米軍関係者とその家族が危険にさらされた

スーザン・ゴールデンバーグ / サンディエゴ / ガーディアン 2014年8月20日

op03
東京電力が福島第一原子力発電所の事故を引き起こした上、偽りの情報を公開し続けたために本人達と日本国内にいた家族が放射能に被ばくしてしまったとして、アメリカ海軍の兵士たちが1,000億円規模の賠償を求める裁判が進行しています。

長男のダライアスが白血病と診断された時、ジェームズ・ジャクソンは海軍従軍当時、津波に襲われた日本で救援活動を行っていた際に原子力発電所事故に巻き込まれてしまった影響が、未だに続いている可能性がある事に初めて思い当りました。

今年15歳になったダライアスは2013年の始め、白血病と診断された後に一カ月間ほど入院しなければなりませんでした。
当時を思い出し、ジャクソンがこう語りました。
「私はダライアスを看取らなければならなくなるのではないかと、その事ばかりを恐れていました。

かつては大学に進学してバスケットボールの選手になることをめざしていたティーンエイジャーは、今や胸にカテーテルを常にさしておかなければならず、コートを走り回ることなど夢のまた夢になってしまいました。

米軍 8
2011年3月に地震と津波が福島第一原子力発電所における重要設備である冷却装置を完全に停止させ、その結果3基の原子炉がメルトダウンする事故が発生したとき、海軍の情報科学技術者であったジャクソンは家族とともに任地の横須賀にいました。
彼はダライアスの白血病の発症原因を特定することは難しいという事は認識しています。

それでもジャクソンは大切な息子が白血病を発症する原因を作ったのは福島第一原発が環境中に放出した放射性物質であることを確信しており、その責任は東京電力にあると考えています。

8月25日サンディエゴの地方裁判所はジャクソンを含めた約110人の海軍兵士と海兵隊員が10億ドル(約1,000億円)の損害賠償を求めて起こした訴訟に判決を下すことになっています。
この訴訟では東京電力が必要な対策を怠ったために福島第一原子力発電所の事故発生を防止できなかったこと、そして環境中に放出された放射性物質の量について偽りの数値を公表したために、米軍関係者とその家族を危険にさらしてしまったとして、訴追しています。

op23
「私はアメリカ海軍または米国政府が、危険な状況を十分に把握していながら、私たちをその場に留め置いたとは考えていません。本当の状況が解っていれば、軍も政府も48時間ないし72時間以内に私たちをその場から避難させていたはずです。」
ジャクソンがこう語りました。
「一番の問題は東京電力という巨大企業が組織ぐるみで日本政府と全世界に向け、ウソの情報を伝え続けていたという事です。彼らは事実を隠ぺいする代わりに、事故現場に実際に出て発信することが出来たはずです、『私たちは世界的規模の助力を必要としている』と。」

▽ あの日の救援活動

約77,000人の米国の海軍兵士と海兵隊員が、巨大災害が雪崩のように襲う日本での救援活動に参加しました。
作戦名は『トモダチ作戦』です。
今回訴訟を起こしたのはそのうちの110人だけであり、作戦に参加した全兵士の0.2パーセントにも足りません。
そしてアメリカ海軍の上層部はこの訴追については支持していません。

op07
公式にはアメリカ海軍は『トモダチ作戦』に参加した将兵の被ばく線量はわずかであり、健康を損なうほどの被ばくはしていないとの見解を変えていません。
さらには米国内の専門家も、被ばく線量は健康被害を起こす程のレベルではなかったとの見解を明らかにしています。

「『トモダチ作戦』に参加した将兵の被ばく線量は、日常生活における値とさほど変わるものではありませんでした。」
アメリカ海軍のチカ・オンエケーン中尉は電子メールでこのように回答しました。

しかし今回の訴訟、そして『トモダチ作戦』に参加した将兵が説明不能の病気を発症する例が相次いだことは、米国社会、特に反原発運動に取り組む人々の注目を集めることになりました。

訴状は福島第一原発が放出した放射性物質により海軍兵士とその子供たちが限度以上の被ばくをした結果、甲状腺がんやその他のガン、白血病、先天性欠損症を発症、さらには不妊症なども確認されたと主張しています。

そして複数の水兵が心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されました。

op12
具体的に名前が挙がっている例では、『トモダチ作戦』に参加した航空母艦USSレーガンのヘリコプター整備士だったセオドア・ホルコムが今年4月24日、あまり例のないガンが原因で死亡しています。
この訴訟では、医学的調査と治療を行うための基金の設立費用として10億ドル(約1,000億円)の支払いを求めています。

2011年3月11日の事故に関し、アメリカ国内、日本国内で東京電力に対し起こされている訴訟はこれだけではありません。

アメリカ海軍兵士がこれ以前に起こした訴訟は、今年4月に敗訴しました。

東京電力は次のように述べています。
「数千人数万人の兵士の命を預かり、世界で最も進んだ装備を持つ軍隊の指揮官が、外国の一電力会社の報道発表と広報データだけを基に命令を出すなどと言う事は、到底考えられないことです。」

7月31日日本の司法委員会は事故当時の東京電力の役員3名は地震または津波の危険性を充電予見できたにもかかわらず対策を怠り、事故の発生を防ぐことが出来なかったとして刑事訴追すべきであるとの判断を示しました。

東京電力役員01
事故以降行なわれた各種の調査では、東京電力と原子力発電所を規制監督する日本の政府機関が福島第一原子力発電所を、国際標準の安全基準の下で運営することを不可能にしていたと報告しました。

カーネギー国際平和基金の研究者は2012年、東京電力と原子力安全・保安院、原子力委員会などの日本の関係政府機関が大地震と津波がもたらす危険性に対し有効な対策を立案できなかったとし、緊急時原子炉冷却装置の電源確保ができるシステムさえあれば、3基の原子炉がメルトダウンするなどという前代未聞の事故は起きなかったはずだとする報告を行いました。

日本の国会事故調査委員会は東京電力と日本の関係政府機関が根拠の無い自信を持ち過ぎた挙句、地震あるいは原子炉のメルトダウンに備え、十分な時間と投資を行なう事を怠ったとその報告書の中で延べています。
2012年に公表されたこの報告書は、巨大津波の襲来は予測不可能だったとする東京電力の主張を否定し、根拠なき『安全神話』の上にあぐらをかいていた挙句の事故であったと指摘したのです。
委員会は東京電力が原子炉の損害状況に関するデータの隠ぺいを図ったことも、併せて指摘しました。

Navy Navigator 02
今回のアメリカ海軍将兵による訴訟を担当するチャールズ・ボナー弁護士によれば、今回の訴訟の行方は東京電力が原子炉のメルトダウンを防ぐために取るべき対策を十分取っていたかどうか、サンディエゴの地方裁判所が殿用に判断するかにかかっています。
「今回の事例は数百兆円規模の東京電力が原子炉のメルトダウンを防ぐために、誰もが予見できる危険を認識し、充分な予防策を採っていなかったことが問題なのです。」
ガーディアンの所在に対し、ボナー弁護士がこう答えました。
その上でボナー弁護士は、訴訟を起こした海軍の兵士と海兵隊員は、発症した様々な疾病が放射線被ばくによるものであることを証明する必要があると語りました。
一方東京電力側の弁護士は、この件についてコメントすることを拒否しました。

〈後篇に続く〉

http://www.theguardian.com/environment/2014/aug/20/us-navy-sailors-legal-challenge-fukushima-radiation-tepco
 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

福島第一原発の事故が発生したことにより、国内全体で負担しなければならない総費用について政府が5兆円強と試算しているのに対し、その総額は11兆円を超えるという試算が行われた旨、8月26日の朝刊各紙が伝えていました。
試算を行ったのは立命館大学の大島教授と大阪市立大学の除本教授で、その負担は税金と電気料金の形で国民が負担することになると報じています。
日本の人口を1億人とすると、単純計算で国民一人当たり11万円、4人家族なら1世帯当たり44万円の負担になります。

今後今回ご紹介した記事のような訴訟がアメリカをはじめ各国で続くようなことになれば、その総額はさらに膨らむことになるでしょう。

それでも尚『ゲンパツは安価で安全な発電手段』なのだから国家の重要なベースロード電源とすべきである、などというプロパガンダを強引に展開するつもりなのでしょうか?

尚、ここで取り上げられている『トモダチ』作戦については、2013年4月にロジャー・ウォザースプーン氏のルポルタージュを全4部16回に分けてご紹介しました。
興味のある方は下記をご参照ください。
第1部第1回( http://kobajun.biz/?p=9738 )
第2部第1回( http://kobajun.biz/?p=9915 )
第3部第1回( http://kobajun.biz/?p=10041 )
第4部第1回( http://kobajun.biz/?p=10211 )

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事に関連する記事一覧

このサイトについて
ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
最近の投稿
@idonochawanツィート
アーカイブ
カテゴリー
メタ情報