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【 時を超え、場所を変え、作られ続ける原子力クライシス 】〈3〉

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所要時間 約 8分

子供たちが甲状腺がんを発症しても、事故との因果関係を否定する内外の『専門家』たち
権力にすり寄る『専門家』の心ない行動は、これまで幾度となく繰り返されてきた
政治と経済、そこにつきまとう権力欲と金、社会正義と対立するこれらが世界を支配し、世界を血と泥で汚し続けてきた
現実を直視し、勇気を奮って真実の議論を行い、正しい認識を求める人々を敵視する現在の日本の体制

金子 千穂 / フェアウィンズ 4月10日

現在国際原子力機関(IAEA)と福島医科大学は、福島県住民の健康データを収集・照合する作業を一緒に行っています。
多くの住民が恐れているのは、この取り組みが単に住民等を安心させるために行われているのではないか、あるいはさらに悪い事には真実を隠すための作業なのではないかという事です。

多くの人々はこの作業の先には、すでに結論が用意されているのではないかと恐れています。
すなわち福島県の人々が様々な病気を発症しても、福島第一原子力発電所の事故との直接の因果関係は証明できないという結論です。

昨年12月には福島第一原発の事故発生当時18歳以下であった254,280人の青少年に対する健康調査が行われ、このうち74名が甲状腺がんを発症、あるいはがんの疑いがある事が確認されました。
このうち34人の子供たちは手術が必要とされ、すでにその手術は終わっています。

NBC福島03
この甲状腺がんの発症率は、まだ福島第一原発の事故が発生していない時点での発症率とは異なっています。
専門家の意見では100万人あたり、1人から17人の間で発症率の増加が認められます。
数値がいずれに近くても、現在の福島県内の甲状腺がんの発症率の増加は見過ごして良いものではありません。

しかし日本と世界の放射線の専門家の態度は、慨嘆に堪えないものです。
彼らはこうした事実が隠された現在も尚、福島第一原発の事故と子供たちの間の甲状腺がんの発症率の増加は『無関係である』という態度を変えていません。
権力にすり寄る『専門家』のこのような不見識な行動は、これまで幾度となく繰り返されてきました。
一体いつまで私たちは、このような不正義に耐え続けなければならないのでしょうか?

多くの日本人が今来る日も来る日も、どちらを選ぶべきかという望まぬ判断を強いられています。

今日はマスクをつける必要があるだろうか?

子供たちを連れて、もっと安全な場所に移住すべきではないのか?

女の子02
今買おうとしているほうれん草は、放射性セシウムに汚染されてはいないのだろうか?

福島第一原発が太平洋に大量のストロンチウム90を漏出している事実が判明した今、魚を買って食べても大丈夫なのだろうか?

しかし私たちにとって最も大切な選択については、だれもその権利を認めてもらう事は出来ませんでした。

地中に眠るウラニウムをわざわざ掘り出し、濫用した結果放射性物質が放出され、私たちが暮らす世界を汚染してしまっても良いのだろうか?

福島第一原発で発生し、今なお続く危機は日本国内にだけ留まる問題ではありませんでした。
それは時を超え、場所を変え、作られ続けてきたのです。

何か私たちに出来る事はあるのでしょうか?

私自身の心の中では、この世の中に再び正義を打ち立てるにはもはや手遅れではないのか、そんなあきらめにも似た思いがともすれば大きくなりがちです。
政治と経済、そこにつきまとう権力欲と金、社会正義と対立するこれらが世界を支配し、世界を血と泥で汚し続けてきました。

week05
可能な限りの重装備を施し、欲と二人三脚で弱い者・力ない者を蹴散らしながらばく進を続ける彼らの行く手を、祈りだけでさえぎる事など出来るはずが無いのです。

それを承知の上で、あえて私は言わなければなりません。

命、たとえそのひとつひとつはちっぽけであろうと、命、それは例えようも無く神聖なものです。

改めて人間の命が大切だと考えるなら、少なくとも私たちは放射性物質による環境汚染のペースを送らせるための手だてを考えなければなりません。

そして放射線の問題は、いわゆる『専門家』だけに任せておいて良い問題ではないのです。
彼らの正体はすでにお話した通りのものです。
放射線がこの地球で暮らしている人間、動物たちや鳥類、そして命を持つすべてのものに影響を及ぼすものである以上、私たち自身がしっかりとこの問題を見据え、取り組んでいく必要があります。
私たち一人一人の人間の生存を支えている空気、水、家庭、地域社会、もしそうしたものをいったん失ってしまったら、いくらお金を積んでも元通りに回復することなど決して出来ない、それが事実であり、真実なのです。

16日抗議集会02
最後に、福島第一原発の事故が引き起こした日本の悲劇について、この3年間、関心を持ち続け懸念を表明して来られたことについて、あらためて私からお礼を申し上げます。
そうしたあなたの思いやりこそが、私の取り組みの支えとなっています。

私は日本国内で、勇気をもって献身的な取り組みを続けておられる人々にも感謝を申し上げます。
子どもたちを守るため、倦むことなく地方自治体や学校などに対する働きかけを続けておられる20代、30代、40代の母親のみなさん。

自らの自発的な取り組みにより土壌や食物の検査を行い、その情報を公開しておられる市民科学者の方。
そして自らの命や健康を刻一刻危険にさらしながら、事故収束のため福島第一原発で働く作業員の問題に光を当て、彼らを守るため活動を続けておられる労働者の権利の擁護団体の皆さん。

首都圏で子供たちの健康に異常を認め、その症例が増え続けている現状について警告を発する取り組みをされている医師の皆さん。

現政権や政府の政策を批判する人々を、現在の日本の体制はますます敵視するようになってしまいました。
そうした環境にもかかわらず、それぞれの場で真実を追求し、それを明らかにしようとしている人々こそが本当のヒーローです。

113005
事実から目をそらし、真実の答えを求める作業を止める、そんなことをすべきではありません。
私はこの地球上のすべての命のために、そのことを祈り続けます。

〈 完 〉

http://fairewinds.org/bringing-focus-back-life/
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この国では先進民主主義社会では当然の権利、いや義務とも言うべき、正当な主張を行って事実を正そうとする行為を疎み、毛嫌いする傾向が見られます。
この場合用いられるのが「波風を立てる」という表現です。

しかし波風が立たなければ社会は進歩しません。
英国ピューリタン革命、フランス革命、アメリカ独立戦争…
私たち日本人は昭和初期、権力や軍部に対しずっと「波風が立たないよう」息をひそめていたおかげで、とんでも無い災厄に見舞われました。
様々な自由を奪われた挙句、広島や長崎には原爆が投下され、その他の大都市には焼夷弾が降り注ぎ、南太平洋では殺到する近代兵器に向かって生身をさらすよう命じられ、200万人以上が殺されてしまいました。

「波風を立てる」ことばかりを恐れていれば、またあの災いが降り注ぐことになる。
歴史は何よりその事を教えているのではないでしょうか?

 

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