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【 日本 – 裕福な国の貧しい子供たち 】《前篇》

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所要時間 約 9分

日本の子どもたちの貧困問題は、最早容易ならない状況にあると言わざるを得ない

日本政府の対策はあまりにも貧弱で、多くの子どもたちに対し常に手遅れの状態になっている

 

ジュリアン・ライオール / ドイチェ・ヴェレ 2016年12月22日

 

日本国内で貧困世帯の子どもたちの支援事業を行っているNGOやボランティア団体などは、法定貧困レベルを下回る環境に置かれている子供たちが増加していることについて警告し、結果的に発生する恐れのあるいくつもの問題に対し日本政府が本腰を入れて取り組むように求めています。

 

世界有数の裕福な国であり、また教育水準の高さと思いやり社会という評判を考えるとき、日本と貧困国家いう概念は容易には結びつきません。

しかし現在、貧困は日本において拡大し続ける問題になっており、中でも貧困状態に堕ちてしまった子供たちについてはとりわけ懸念が大きくなっています。

 

国連児童基金(ユニセフ)は2016年4月、日本の子どもたちの貧困問題が最早容易ならないと言わざるを得ない状況にまで深刻化してしまったとする報告書を公表しました。

報告書は他の先進諸国と比べ、日本の最も貧しい家庭の子どもたちは著しく不利な状況に置かれていると述べています。

 

この調査は収入が最も低いランクの世帯の子どもたちと平均的家庭の子どもたちの相対的な経済格差について検証したものですが、調査対象となった41カ国の中で日本の格差は8番目に大きなものであることが明らかとなりました。

 

▽ 6人に1人の子どもたちが…

 

日本はその相対的な貧困率でもかなり平均を下回り、平均的世帯の半分以下の収入しかない家庭で暮らす子供たちの割合が多数に上っていることが明らかにされました。

この基準によって貧困状態と判断された子供の割合は6人に1人というものでした。

 

日本国内のいくつかの地域、たとえば他県と比べ県民の収入水準が低い沖縄県では貧困問題の深刻さが際立っています。

今年始め沖縄県当局は、県内の子供たちの29.9パーセントが法定貧困レベルを下回る経済状況に置かれているという統計結果を公表しました。これは全国平均より80パーセントも高い数値です。

子供たちの貧困状態を解決するための法律が2014年に施行され、さらにはこれまで安倍首相は機会あるごとに子供たちの貧困問題を解消するための取り組みを始めると約束してきましたが、ここにいたって日本政府はやっと子供たちの貧困問題に対処するための対策をとり始めました。

 

しかしこの難しい問題に取り組むため、実際に現場に立って日々闘いを続けるNGOやボランティアの人々は、政府の対策があまりにも貧弱で、多くの子どもたちに対し常に手遅れの状態になっていると指摘しました。

 

「私たちが今日目にする貧困率は、この25年間で日本の子どもたちにとって生活がどれ程苛酷なものになったかを如実に物語っています。」

こう語るのは全国子どもの貧困・教育支援団体協議会の世話人代表を務める青砥恭(やすし)さんです。

 

▽ 教育と失業

「日本の貧困率が上昇している背景には、いわゆるバブル経済がはじけた後に顕在化した2つの大きな原因があります。」

青砥さんがドイチェ・ヴェレの取材にこう答えました。

「ひとつが教育の問題、そしてもうひとつが失業問題です。」

 

青砥さんの組織は現在日本では17歳未満の350万人の子供たちが貧困の中で生活していると見積もります。

この子供たちの家庭の1年間の世帯収入は300万円以下です。

 

一方で日本政府の統計によれば、援助を必要とする家庭で暮らす子供たちの数はわずか200,000人です。

これについて子供たちの貧困問題と取り組んでいるNGO団体は、福祉政策に基づく支援を受けられる子供たちの数がこれほど低い理由については複雑な背景があると語りました。

 

子どもたちが公的支援を受けられない最大の障害の1つに、日本人社会では働かずにただ単に公的扶助を受けて暮らすことに対し社会的汚名を着せる傾向があることを挙げました。

 

同時に、大学に進学するために必要な費用は近年急上昇しました。

これにより裕福ではない家庭の子供たちが大学進学を果たす可能性は絶望的に低いものになってしまいました。

数千人の子供たちは、家庭の経済状況が困窮しているために高等学校教育すら完了させられずにいます。

こうした子供たちが直面させられるのは、将来に渡っても自分が貧困状態から抜け出すことは極めて困難だという現実なのだと青砥さんが語りました。

 

〈後篇に続く〉

http://www.dw.com/en/japan-a-wealthy-nation-with-poor-children/a-36875397

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この問題については先にエコノミストの記事をご紹介したことがあります。

【 子供たちをのみこむ格差社会の闇 - 日本の子どもたちの貧困問題 】(http://kobajun.biz/?p=28051)

この問題の深刻な側面のひとつに、仮に貧困状態に置かれそのまま『放置され』た状態で成長してしまったら、その子供たちは社会に対しどのような感情を持つかという点にあると思います。

 

私は貧困について簡単に『自己責任』という言葉を突きつけた挙句の社会がアメリカだと考えています。

貧困という負の連鎖から抜け出せないまま大人になった人間の中から、犯罪に手を染め、他人に対し信じられない程残酷な暴力を振るったりする人間が現れる。

動機のひとつには自分に対し過酷な体験を強いた社会に対する反感があります。

それが治安の悪化につながり、社会不安として拡大する。

思いやりに満ちた安心安全な社会の中で生きたいと考えるなら、政府に対し本腰を入れた取り組みを要求することを含め、私たち自身が思いやり社会の実現のため行動する必要があるのではないでしょうか?

 

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【 アイウィットネス(Eyewitness)目を奪われる光景 】

 

ガーディアン 2016年12月~2017年1月

 

1月3日アラブ首長国連邦・アブダビの西方約250kmのリワ・モリーブで開催される砂丘祭に、ラクダを引いて向かう男性。(写真上)

 

1月2日ロンドン。世界中からマーチングバンドが集まる新年パレード、数万人の観客を前に出番を待つ出演者たち。(写真下・以下同じ)

1月1日ベラルーシ。南東部のペラルー村近くの凍結した湖で散歩をするガチョウたち。

12月29日ウェールズ南部のチェプストウ競技場で開催されたグランド・ナショナルで、障害物を飛び越える騎手と競走馬。

https://www.theguardian.com/world/series/eyewitness

 

 

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