星の金貨 new

星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

ホーム » エッセイ » 【 日本経済の縮小に追い打ちをかける円高 – アベノミクスの窮地 】《前篇》

【 日本経済の縮小に追い打ちをかける円高 – アベノミクスの窮地 】《前篇》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 9分

日本経済の成長軌道への復帰という安倍政権の筋書きは、実質的に不可能になったとの?懸念が拡大…
海外で得た利益を国内に持ち込む際、円安を利用して額面を膨らませる、それが『経済の好循環』の正体?

ジョナサン・ソブル / ニューヨークタイムズ 2月15日

安部首相0215NYT
3年前、日本の安倍晋三首相が日本経済の状況を好転させる取り組みに着手した際、彼は税率の改定、貿易、女性の労働条件に関わる分野に狙いを定めました。
そしてアベノミクスと名づけられたその経済政策は、ある特定の戦術に大きく頼ることになりました。
すなわち実質的な円レートの切り下げです。

最初の段階ではその戦術は狙い通りに機能し、まず日本の株式市場が急上昇し、続いて輸出関連企業の収益が改善しました。
しかし2016年現在、アベノミクスは再び不発状態に陥り、スタート時と同じ窮地に陥ってしまった可能性があります。

世界市場の混乱は日本円を再び上昇路線に乗せました。
再び円高になったことで日本の株式市場は大幅な下落を記録し、経済学者の間では安倍政権による日本経済の成長軌道への復帰という筋書きは実質的に不可能になったのではないかとの懸念が拡大しています。

「アベノミクスは今、空中分解するかどうかという瀬戸際に立たされています。」
かつて日本銀行に勤務し、現在はJPモルガン・チェイスのアナリストを勤める足立正道氏がこう語りました。

経済低迷02
こうした状況は政府当局が日本経済に関する報告を行った15日、明らかになりました。
世界で3番目の規模を持つ日本経済は2015年第4四半期、事前に予測されたよりも大きく経済規模が縮小したことが解りました。
日本経済は過去3年間12回あった四半期の内、5回縮小しました。
そして2015年1年間の経済成長率は0.4%というわずかな数値に留まりました。

日本は夏に参議院議員選挙を控えていますが、安倍政権与党、そして連立与党に対してはこうした経済の低迷を何とかするよう求める圧力がかかっています。

経済再生を図るアベノミクスは、円安政策に極めて大きく依存してきました。
しかしその円は現在値上がりを続け、逆に株価は下がり、日本経済の成長局面への転換はより一層難しくなっています。
日本の通過当局は円安誘導策は行っていないと主張していますが、つい最近まで安倍政権の意に沿う政策を実施してきたことは否定しようのない事実です。

日本の財界人や政策立案担当者にしてみれば、円安に振れれば振れる程彼らの利益は大きくなります。
トヨタとパナソニックのように国外においても大々的に事業展開している企業は、海外における所得を国内に持ち込む際、円安を利用して利益を膨らませることができます。

経済低迷03
円安になれば日本が輸入する物品やサービスの価格が上昇することになりますが、現状ではそれすら日本経済にとってメリットがある場合があります。
現在日本では物価が下がり続けるデフレーションが進行し、結果的に収入の減少と出費の削減がさらに物価の下落を招く悪循環が発生、これを断ち切るために輸入産品の価格上昇が貢献する可能性があります。

2012年から2015年にかけ、なぜトヨタの北米における利益が実際の販売実績の増加に比べ5倍も多くなったのか、円相場の下落とあせて考えると説明は容易になります。

トヨタは円安を背景に今期、日本で初めて利益が3兆円を超える企業になるべく、着々と歩みを進めています。
円安によるたなぼた利益は、企業にとってはアベノミクスの副産物です。

2013年に安倍首相が任命した黒田東彦総裁の下で、日本銀行は莫大な金額に上る日本国債を買い入れることにより、金融市場に円貨を氾濫させました。

アベノミクスの基幹戦略の表向きのゴールは、消費者にできるだけ借金をさせそして消費を拡大させようとするものです。
しかし多くの経済学者が指摘する口に出せないゴールとは、円安への誘導です。

Tokyo 5
安倍政権誕生から3年、円はドルに対し40%値下がりしました。
しかし世界経済の先行きに対する懸念により、その円安誘導策も目に見えて効果が失われつつあります。

2015年12月以降、円相場はドルに対し約10パーセント値上がりました。
世界の投資機関・投資家は一時的な資産の避難場所として円買いに走りました。
JPモルガン・チェイスの足立氏はこうした流れは、このまま円安傾向が続くことを期待していた日本企業に損失を与える可能性があると語りました。
これまで輸出関連の日本企業はタナボタ式に舞い込んだ利益を、社内留保としてため込んできました。

トヨタの場合、配当として株主に配布する代わり会社内に利益を蓄積するいわゆる社内留保として15兆円以上の現金資産を保有しています。
同様にキヤノンは3兆円以上、ホンダは約7兆円の社内留保を保有しています。
しかしこうした社内留保の蓄積も、円高の進行により徐々に少なくなりつつあります。
このままの状況が続けば、これらの企業もいずれ経費削減に動く可能性があります。

〈 後篇に続く 〉

 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

前回のドイツ国際放送の記事から、アベノミクスの総括とも言うべき記事を連続して掲載したいと考えています。
今回はアベノミクスの看板の中身を『公平に判断する』のに格好の記事として、本編を翻訳しました。
後篇を掲載した後、エコノミストの記事をご紹介し、ひとつの結論が見えるようにしたいと考えています。
ドイツ国際放送の記事で問題提起、ニューヨークタイムズの記事で内容分析、エコノミストの記事で総括すれば、アベノミクスに対する国際世論の評価が見えてくるのではないでしょうか?

 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

【 国際報道写真コンテスト上位入賞作品 】《6》

アメリカNBCニュース 2月18日

press21
一般ニュース部門第2位:フランシスコ・ズィゾーラ / EPA(写真上)
2015年9月3日国境なき医師団が運営する救助船の甲板に並んで座る、エリトリアから脱出してきた難民たち。
かれらはこの前日、リビア沖で漂泊していたところを救助され、この捜索救助船ブルボン・アルゴスに収容されました。

スポーツ単作品部門第1位:クリスチャン・ワルグラム / ロイター
2015年2月8日、アメリカ、コロラド州のビーバークリーで開催されたFISスキー世界チャンピオンシップのダウンヒル競技でクラッシュするチェコの選手。(写真下・以下同じ)
press22
人物単作品部門第1位:マティク・ゾルマン / ロイター
2015年10月7日マケドニアのプレセボにある難民登録キャンプで順番待ちをする人の列の中で、レインコートで顔を覆われた女の子。
難民の多くはマケドニアからセルビアを横断し、とりあえずハンガリー、クロアチア、スロベニアなどの欧州連合加盟国に向かうことになります。
press23
長期取材部門第1位:メリー・カルバート / EPA
2013~2015年に撮影されたこのシリーズ写真は、アメリカ軍に所属していた間に強姦された、あるいは性的暴行を受けた女性たちのその後を取材したものです。
写真は2014年12月1日のカリフォルニア州、退役軍人となった後ホームレスとして車中生活を続ける元女性兵士を写したものです。
press24
http://www.nbcnews.com/slideshow/world-press-photo-awards-top-images-2015-n520731

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事に関連する記事一覧

このサイトについて
ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
最近の投稿
@idonochawanツィート
アーカイブ
カテゴリー
メタ情報