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【 日本経済の縮小に追い打ちをかける円高 – アベノミクスの窮地 】《後篇》

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所要時間 約 8分

先進各国でマイナス金利の導入競争が起きれば、足の引っ張り合いに陥る危険性がある
これ以上の日本経済の悪化を食い止めているのは、財政赤字を膨らませながら続けられている公共投資

ジョナサン・ソブル / ニューヨークタイムズ 2月15日

安部首相0215NYT
問題なのはここに来て、より一層安定さを欠く展開が続いている日本の株式市場です。
2月の第2週にはここ1年間で最も円高となったことを受け、日経主要銘柄の平均株価は12パーセント急落しました。
その下げ幅は日本の株式市場史上、7年前に起きた世界的金融危機、リーマンショック以来最悪のものとなりました。

そして月曜日、今度は海外市場の反発と原油安の下げ止まりから円高圧力が幾分緩和され、日経平均株価は7パーセント以上、一気に値上がりする展開となりました。
この株価の高騰は同じ日、2015年の最終四半期に国内総生産が年率換算で1.4パーセント減少し、国内消費の減退と輸出不振が明らかになりました。
2015年の最終四半期については、ブルームバーグ・ニュースの調査取材を受けた経済学者は、平均して
0.8パーセント日本の国内総生産が縮小すると予測していました。

しかし三井住友アセットマネージメントの戦略家である市川昌弘氏は、投資家は日本銀行が追加で打ち出した金融政策の意味するところの方を懸念しており、第4四半期の国内総生産のマイナス転落についてはそれ程でもないと語りました。

日本経済
日本銀行は1月、公定歩合についてマイナス金利をどうに要すると発表し、同じようにデフレと戦っているヨーロッパ各国の中央銀行と足並みをそろえることになりました。
こちらの方はさらなる動きが確実になりそうだと、市川さんが語りました。
「さらに低い政策金利の適用、あるいは別の金融緩和策が打ち出される可能性があります。」

一部のアナリストは、各国の中央銀行同士が競って金利ゼロ、あるいは競い合うようにしてマイナス金利の幅を拡大すれば、互いの政策が相殺し合う結果に陥りかねない危険性について指摘しました。
事実各国の中央銀行は自国の経済を何とか活性化できないかと、躍起になってその方途を探しています。

2月11日木曜日、日本銀行がマイナス0.35%のマイナス金利を導入したのと同じタイミングで、スウェーデンの中央銀行はマイナス0.50パーセントの短期金利を採用しました。

日本の経済状況の厳しさは、そのまま安倍首相に対する政治的圧力となって跳ね返ってきました。
この夏、自民党と公明党の与党連合は参議院議員選挙を戦わなければなりません。

NYT アベノミクス
アナリストや投資アドバイザーは、安倍首相はアベノミクスへの支持が、そのまま参議院における議席拡大につながるものと期待していたと語ります。
そうした目論見は現時点で一層不透明なものとなりました。
しかし一方では弱体化してしまった日本の野党が、現政権への失望を自分たちの得票につなげられるのかどうか、その点も不明です。

野党の安倍政権への批判は、タカ派的な安全保障政策に集中してきました。
経済問題について日本にはどのような選択肢があるのか、具体的なビジョンを提示することはほとんどありませんでした。
日本の新聞社が行なったごく最近の世論調査が1月に実施されましたが、第二次安倍政権の支持率は約50%と日本の首相としては一貫して高いままであり、対立野党への支持を大きく上回っています。

しかし安倍首相は政権を代表する看板のひとりであった閣僚を失ったばかりです。
1月28日、甘利内閣府特命担当大臣(経済財政政策)が建設会社からの贈収賄のスキャンダルが明るみに出て辞任に追い込まれました。

2月15日の政府の発表によれば、最終四半期の国内総生産の数字のそれ以上の悪化を食い止めた2つの大きな要因のうちの1つは、政府による財政出動でした。
もうひとつは前年同期1.4%という予想を上回る数値の改善を実現させた企業による設備投資です。
しかし設備投資については、最終的にGDPの数値が確定する際、度々修正が入ることがあります。

I'm not ABE
ゴールドマン・サックス東京支社の経済学者である馬場直彦氏は、日本政府は多額の負債を抱えているにもかかわらず、安倍政権がさらなる紙幣の増刷に踏み切ると同時に財政出動の規模拡大に打って出る可能性があると語りました。
「7月の参議院議員選挙の前に追加の財政刺激策を求める安部首相に対する圧力は、今確実に強まっています。」

〈 完 〉

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2月28日に掲載したドイツ国際放送の記事、そしてこの稿と見てきて、アベノミクスの最大の狙いは『実質的な円の切り下げ』であったことを改めて確認しました。
そして本来なら最も大切だったはずの『第三の矢』、すなわち日本国内の構造改革が徹底的に換骨奪胎された結果、全くの不発に終わったことはこれまでご紹介したエコノミスト等の記事によっても明らかです。(【 現在の不況構造をアベノミクスで解決できるか 】http://kobajun.biz/?p=21001 )
この点についてドイツ国際放送は、昨年11月時点で「出口戦略が無いまま、日銀の量的緩和策にひたすら頼り続けるしかなくなる」と予測していました。(【 アベノミクスが成功すれば、日本は持続的成長を成し遂げる?立ちはだかる山のような課題はどうする? 】http://kobajun.biz/?p=21125 )
結局、実質的には日銀の大規模金融緩和も何も『実質的な円の切り下げ』布かなくなってしまい【 アベノミクスの成長シナリオ吹き飛ぶ – 日本経済再々度不況に転落 】( http://kobajun.biz/?p=26838 )ということになったのだと考えられます。

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【 国際報道写真コンテスト上位入賞作品 】《7》

アメリカNBCニュース 2月18日

press25
自然単作品部門第3位:セルヒオ・タピロ / EPA(写真上)
2015年12月13日夜間に噴火するメキシコ、コリマ火山。

総合連作部門第1位:アブド・テュメニー / EPA
2015年5月11日、シリアの首都ダマスカス東郊の反政府勢力が支配するドウマに対する空爆で負傷し、にわか作りの診療所で治療を待つ少女とそのおじ。(写真下・以下同じ)
press26
時事問題部門第1位:マリオ・クルーズ / EPA
2015年5月20日、セネガル北部のサンルイのセネガル川の川岸にたたずむイスラム神学校の学生たち。首都ダカールと比べるとサンルイは都市としては小規模ですが、多数のイスラム神学校があることで知られています。しかしこの写真にあるように、宗教教育を嫌がって神学校を抜け出し、一日中ぶらぶらしている若者も少なくありません。
press27
http://www.nbcnews.com/slideshow/world-press-photo-awards-top-images-2015-n520731

 

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