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国会事故調報告書【 日本の政府機関を支配する悪しき慣習が、ここまでの事故を引き起こした 】

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所要時間 約 11分

国会事故調査委員会・報告書序文は、閉ざされた日本の官僚社会と産業界の癒着、そして権威に対し従順な国民性に言及

ジャスティン・マッカリー(東京)/ ザ・ガーディアン(英国) 7月5日

▽人災であることは明らか

7月5日公表された日本の国会事故調査委員会による報告書の中、黒川委員長名による序文では、事故の根本原因について以下のように述べています。
すなわち「戦後50年続いた一党独裁による政治体制の下、日本では特異な政治気候風土が形作られ、省庁や企業の組織防衛が国民の命を守ることに優先されるようになり、それを当然と思い込む国民の姿があった。」
そして福島第一原発の事故原因が『人災であることは明らか』とし、政府と東京電力を容赦なく指弾しました。

報告書の序文、東京大学医学部名誉教授の黒川清委員長は、厳しい指摘を行いました。
今回の事故は日本政府、原子力安全・保安院などの規制当局、そして東京電力が「多くの誤りを犯し、意図的な怠慢行為」を行ったために発生した、としたのです。

その上で、「地震多発地帯として知られるこの場所で、地震と巨大津波の脅威を軽視し、備えを怠ったその姿勢を生んだものは、『日本はこの程度で良い』とする独特の風土である。福島第一原発の事故がまさに『メイド・イン・ジャパン』そのものである所以である。」英語版の報告書の中で、黒川委員長がこう語っています。

そして事故の根本原因について、『これまで何回も対策を打つ機会があったにもかかわらず、歴代の規制当局及び東京電力がそれぞれ先送り、不作為、あるいは自己の組織に都合の良い判断を行うことによって、安全対策がとられないまま3.11 を迎えたことで発生したもの』、すなわち日本の組織を優先する考え方、そして世界標準とはかけ離れたやり方よるもの、としています。

その上で報告書はこう記しています。
「非常につらいことではあるが、私たちが認めなければならないことは、福島第一原発の事故はまさに『メイド・イン・ジャパン』そのものである、という事である。
仮にその場に別の日本人たちがいたとしても、結果は同じであった可能性がある。」

▽機能しない政府機関

そして本来規制を行うべき政府機関についても、果たすべき役割を果たしてはいませんでした。
「事業者が、規制当局を骨抜きにすることに成功する中で、「原発はもともと安全が確保されている」という大前提が共有され、既設炉の安全性、過去の規制の正当性を否定するような意見や知見、それを反映した規制、指針の施行が回避、緩和、先送りされるように落としどころを探り合っていた。」
これが[東京電力福島原子力発電所事故調査委員会]が下した判断でした。
「図らずも福島第一原発の事故は、こうした事実があったことを白日の下にさらすこととなった。
何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば、今回の事故は「自然災害」ではなくあきらかに「人災」である。」

日本の東北地方にある福島第一原発の三基の原子炉のメルトダウンが、3月11日、14メートルの高さの津波が襲ったことだけが原因である、とする東京電力の見解にも、委員会は疑問を突きつけています。
津波が襲う以前、すでにマグニチュード9.0の巨大地震によって福島第一原発の設備が事故の一端を開いていた可能性を否定できない、としています。

福島第一原発が立地する一帯が、これまで巨大地震、巨大津波に見舞われているという証拠があったにも関わらず、東京電力と原子力安全・保安院が適切な対策を取らなかったことも、この報告書は告発しています。
「我々は今回の事故の根本原因は、規制当局である原子力安全・保安院が本来規制されるべき側から、逆に操られるがごとき対応を行ったことにあると、考える。保安院は、東電が対応を先延ばししていることを承知していたが、明確な指示を行わなかった。」
「規制を導入する際に、規制当局が事業者にその意向を確認していた事実も判明している。規制当局はまた、海外からの知見の導入に対しても消極的であった。シビアアクシデント対策は、地震や津波などの外部事象に起因する事故を取り上げず、内部事象に起因する対策にとどまった。米国では 9.11 以降に B.5.b*に示された新たな対策が講じられたが、この情報は保安院にとどめられてしまった。防衛にかかわる機微情報に配慮しつつ、必要な部分を電力事業者に伝え、対策を要求していれば、今回の事故は防げた可能性がある。」


641ページに上るこの報告書は、福島第一原発の事故以来初めて再稼働した大飯原発3号機が、電力の供給を再開したその日に発表されました。現時点で稼働可能なこの国の50基の原子炉は、福島第一原発の後、安全性を確認するため停止していました。
かつては発電量の30%を原子力発電に頼っていた日本でしたが、今年5月初旬に北海道泊原発の原子炉が停止し、この40年で初めて原子力発電が行われない状態に入っていました。

福井県にある大飯原発3号機は、昨年政府が国民の不安を和らげるため導入したストレステストを、最初に合格しました。
大飯原発の2基の原子力発電所と炉の再稼働無くしては、大阪などの産業上重要な都市を含む関西地区が、この夏電力不足に陥る懸念がある、との理由から大飯原発3号機、4号機の再稼働が決定しました。
大飯原発を運営する関西電力は、大飯原発3号機は7月10日までにフル稼働に入る予定である、と語っています。そして引き続き大飯原発4号機も、今月末までの発電開始に向け、準備が進められています。
関西電力の11基の原子炉は、今年2月までにすべてが停止していました。

▽世界の認識から遠ざかる一方の日本政府

大多数の日本人は、原子力発電を段階的に廃止することを望んでいることが、世論調査により明らかになりました。
そして毎週金曜日、東京の首相官邸前には、原子力発電所の再稼働に反対する人々が何万人も集まり、抗議活動を続けています。
これに対し、関西電力の八木社長は次のような声明を発表しました。
「4か月半ぶりに原子力発電を再開したことにより、我々は安定した電力供給のため、一歩前進することができました。」

福島第一原発の事故を引き起こした天災は決して予測不可能ではなかった、とする今回の報告書は、先に東京電力が作成・発表した「事故原因はすべて、予測不可能な天災が引き起こしたものである」とする報告書と、きわめて対照的です。
東京電力これまでも福島第一原発の4基の原子炉の事故を引き起こしたものは、津波以外にない、と主張してきました。
津波が冷却装置を稼働不能に陥らせ、その結果3基の原子炉でメルトダウンが発生してしまった、と。

事故の15カ月後、世界中から4号機使用済み核燃料プールにある、膨大な数の核燃料棒の危険性について指摘されているにもかかわらず、日本政府は『冷温停止状態が達成された』と発表しました。


今回の報告書は、地震そのものが今回の事故で演じた役割について、さらなる精査を行うよう求めています。
「事故の主因を津波のみに限定すべきでない理由として、スクラム(原子炉緊急停止)後に最大の揺れが到達したこと、小規模の LOCA(小さな配管破断などの小破口冷却材喪失事故)の可能性は独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)の解析結果も示唆していること、1 号機の運転員が配管からの冷却材の漏れを気にしていたこと、そして 1 号機の主蒸気逃がし安全弁(SR 弁)は作動しなかった可能性を否定できないことなどが挙げられ、特に1 号機の地震による損傷の可能性は否定できない。」

委員会は当時の菅前首相の対応も批判しています。
「官邸による発電所の現場への直接的な介入は、現場対応の重要な時間を無駄にするというだけでなく、指揮命令系統の混乱を拡大する結果となった。」
菅前首相は東京電力と原子力安全保安院が進行する危機に対応できそうもないのを見て、直接介入に踏み切った、と証言しています。
しかし委員会は
「総理によって東電の全員撤退が阻止されたと理解することはできない。」
としています。

しかし報告書は、「平成18(2006)年には、福島第一原発には津波によって、全電源喪失の事態が起こりうることを認識していた」にもかかわらず、東京電力がこれを無視したことを非難しています。
そして東京電力、原子力安全保安院などの政府機関、そして日本政府が
「損害の程度を確実に検証、連鎖的に起こる可能性のある災害に対して準備を行い、そして深刻な放射能漏れなどがあった場合にどうやって住民を避難させるのか、などのもっとも基本的な安全対策をあらかじめ用意しておかなかった。」
と指摘しています。

「平成18(2006)年には、福島第一原発の敷地高さを超える津波が来た場合に全電源喪失に至ること、土木学会評価を上回る津波が到来した場合、海水ポンプが機能喪失し、炉心損傷に至る危険があることは、保安院と東電の間で認識が共有されていた。保安院は、東電が対応を先延ばししていることを承知していたが、明確な指示を行わなかった。」

10人の委員で構成される[東京電力福島原子力発電所事故調査委員会]は、福島第一原発の事故について調査を行った、委員会の中の一つです。
今回の報告書は6カ月間、1,100人の人々に対する900時間以上のヒヤリングとインタビューを検証し、作成されました。

http://www.guardian.co.uk/world/2012/jul/05/japanese-cultural-traits-fukushima-disaster?INTCMP=SRCH
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Video streaming by Ustream
動画[国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会]

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【 ツール・ド・フランス2012 】
アメリカNBCニュース 7月5日
ルーアン大聖堂の前を通過する選手の一団

【 モンスーン嵐 】
アメリカNBCニュース 7月5日
モンスーン嵐が作り出した大波が、防波堤に激突する
インド・ムンバイ

 

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