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【 日本の再生は果たせるのか?! :これからの10年になすべきこと 】

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所要時間 約 14分

[経済的繁栄を取り戻すため、その企業文化をリセットしなければならなくなった日本の取り組み]
▼ 福島第一原発の事故処理については、完全に対応を誤った民主党政権」
▼ 東京電力が行った隠ぺいに加担し、政府機関官僚の言いなりになり、報道機関には真実を伝えないよう圧力をかけ、労働者の権利を封じ込めるための組織・経団連の要求の前に右往左往する民主党政府」
▼ 合理的で責任を取ることのできる政府機関の誕生こそが、これからの日本の力強い再生を可能にする
▼ 一般市民の中から要求が生まれ、市民の要求に沿って動く資本主義、これこそが日本にとって最良の資本主義
それらがうまくいけば、これからの10年間の物語は、日本の復興、そして中国経済の後退という事になる
 
ウィル・ハットン(オックスフォード大学教授・元オブザーバー編集長)/ オブザーバー / ザ・ガーディアン 2012年4月1日




それは些細なことかもしれませんが、この国について多くのことを物語っています。
東京近郊にある成田空港では、持ち物検査のためあなたが靴を脱ぐと、検査官がスリッパを一足手渡してくれます。
ここに込められたメッセージは明らかです。
「成田空港はあなたが快適に過ごせるよう気をつかい、あなたの要望に心を配っています。」
 
日本ではタクシーのドアの開閉は自動であり、トイレの便座は電気で温められ、清潔に保たれています。
そして驚くほど多くの種類の、そして洗練された味の食べ物があなたの空腹を満たしてくれます。
科学、技術、そしてその両方の進歩に裏打ちされ、考え得る限りの人間の欲求すべてに応えようとする情熱がそこには感じられます。

1950年から1990年の40年間というもの、この情熱は世界の経済史上最も目覚ましい経済成長を実現する際のカギとなりました。

しかしこの20年間はというと、日本は停滞に見舞われてしまっています。
 
1980年代の後半から90年代後半にかけて、日本はイギリスと同じくらい深刻な金融危機に見舞われました。その経済モデル - 経済産業省が日本企業の集団を率いるという - 『系列』という名の銀行を頂点とする緩い形での産業共同体 : ビジネスモデルの世界的なブランドは崩壊してしまいました。

しかしその経済は5兆ドル(約400兆円以上)と、世界第3位の経済規模を持っています。

日本人自身は再び経済を成長軌道に戻すための特効薬を何とか探し出し、その保守的経済手法の意義を再確認しようとしていますが、日本国内にいて感じるのはイギリス国内にいるのと同じような失望とあきらめです。


2009年に日本の民主党は、機能していない日本の行政機構について、本省から各支部機関、関連機関まで含めた徹底的な行政改革を行い、非民主的要素の一掃を公約に掲げ、地滑り的勝利を得ました。
そして国民の生活を支えるため、経済政策の再検証に関する公約も行いました。
しかしその時々の問題処理においてミスを繰り返し、とりわけ福島第一原発の事故処理については完全に対応を誤りました。
それにもかかわらず、世論調査ではライバルの自民党の支持率を上回っています。


しかし政府内の政策は次に日本が向かうべき方向について、熟考することに向けられています。
10日前に私は、この進行中の案件について寄稿するため、民主党政府に東京に招待されました。

閣僚たちは労働市場の柔軟性を保ちつつも労働者の生活を保障する、21世紀型の社会契約の在り方についての議論を望んでいました。
そして開かれた形で技術革新が続く社会体制を実現するものは何か、企業を運営する人々がどうすれば技術革新と新たな投資を行うようになるのか、そのことを知りたがっていました。

そして最大の関心事について質問しました。
20世紀後半の50年間、資本家が経済の実権を握っていた資本主義社会にあって、どうすれば日本はもっと民主的な社会を作ることができたのだろか?
彼らは私の著作『The State We're In』と『Them and Us』の中に、何がしかのヒントがあるものと考えていたようです。

要するに、どうすれば日本はより良い資本主義社会を創造できるのか?

〈つづく〉

経済学者のウィル・ハットンは、ユーロ通貨が10~15年で「膝を抱えてしゃがみこんでいる状態から立ち上がる」だろう、その影響により金利と政策を独自に決めている英国経済の独立性を脅かすことになるだろう、と語りました。

これに対し、むしろユーロの二重性格が顕著になると主張するアラン・ジョンソン、そして数か国がユーロ圏から脱落せざるを得ない、と語るミカエル・ポーティジョと今週BBCのスタジオで討論となりました。

『どうすれば日本は、もっと良い資本主義社会を創造できるのか?』
この質問は日本だけでなく、あえて言わせていただければ、英国にとっても大切な問題です。
日本においては、1年前に発生した東日本大震災の被害が、12カ月が経って一層深刻なものになってしまいました。
34万人もの人々が未だに家を失ったままです。
そして少なくとも19,000人が死亡しました。
そして福島第一原発では、ほとんどメルトダウンと変わらぬ状態が続いています。

危機が発生した当時、日本の人々の間には新たな民主党による政府が、過去にあったような煮え切らない態度、対応の遅れ、機能不全、そして企業の利益ばかりを守ろうとする過去の政治とは全く異なる対応を取ってくれるはずだ、という期待がありました。

ところがあろうことか日本人が目にしたのは、東京電力が行った隠ぺいに加担し、政府機関の官僚の言いなりになり、報道機関には真実を伝えないよう圧力をかけ、労働者の権利を封じ込めるための組織・経団連の要求の前に右往左往する民主党政府の姿でした。
政権交代はいったい何のためだったのか?!

菅首相の政権はその介入をはねつける官僚組織と企業のネットワークの前に無力であり、結果として不十分な情報を時機を逸して提供し続けることになりました。
国民は真実を知るための唯一の手段として、英国BBC放送など海外メディアに頼らざるを得ない状況に追い込まれてしまいました。
結局菅首相は2011年夏、辞任に追い込まれることになりました。

しかし、日本の有権者はかつての状況に戻る決心もしていません。
充分な電力供給を行うためには、1年前には電力需要の3分の1を供給していた原子力発電の必要性を認識してはいます。
しかし定期点検のため次々と停止する原子力発電所の再稼働は、地元をはじめ人々の反対により実現していません。
5月にはただ一基稼働中の原子炉も停止することになります。

この原子炉再稼働のための環境は厳しいものです。
地方では新しい市民活動が活発化し、実効性のある監視を行い、情報提供について透明性を求め、原子力発電所の運営については国際安全規格を順守するよう求めています。

一般市民の中から要求が生まれ、市民の要求に沿って動く資本主義、これこそが日本にとって最良の資本主義なのです。

こうした日本の民主主義社会の変容の前に、民主党は自分たちの態勢立て直しを行って国民の信頼を回復することだけが唯一前進するための途ですが、一方の自民党も不利な立場に追い込まれています。
日本の議会における公開の質疑が行われた際、信用の流れを活性化させるため行われた議論の中で、民主党から選出された首相が興味を示した部分に衝撃を受けました。
それはまさに日本銀行と財務省に対する決定的打撃となるでしょう。
同じことはイングランド銀行とイギリス国債についても言えることですが…

日本銀行はイングランド銀行が行ってきた金融緩和策を、繰り返し延長してきましたが、それは高度成長が続いた偉大な時代の政策とは一線を画しています。
これによる結論は明白です。
日本の金融システムは機能していません。
かつて積極的金融政策をとってきたこの国はも、ある程度のリスクをとっても銀行貸し出しを活性化させる必要があります。
英国にも同じことが言えます。

日本がそのマクロ経済政策を改めれば、すぐにでも画期的な成長をとげられるハイテク中堅企業が、日本には多数ひしめいています。
ゲルハルト・フェイソルのようなコンサルタント企業に言わせると、LED照明や携帯電話決済システムなどの分野で、日本は世界の中で10年先を進んでいるのです。
この分野における富士通や東芝の成長性には、きわめて大きなものがあります。

世界有数の規模を持ちながら手足が硬直化してしまった日本経済を立ち直らせるには、これら意欲的な企業の挑戦こそが欠かせません。そしてこれらの企業の海外進出をサポートするため、(既存の経済産業省ではなく)新しい支援機構が設立され、機能することが欠かせません。
新たに起業する人々と、合理的で責任を取ることのできる政府機関こそが、これからの日本の力強い再生を可能にするでしょう。

サービスの質の向上や技術革新を軽視し、もっと生産性の高い資本主義とは何かという事をあまり考えない、日本以外の原始的経済文化社会にあっては、この種の議論はあまり行われません。
日本市場に参入を試みたものの、失敗した英国企業は数多く存在します。
日本の市場について研究を行ってきた調査機関は、日本市場ではサービスの質の向上と技術革新の必要性は必須項目であり、これらに対し鈍感な大量供給は失敗の原因となる、と話しています。

英国と日本はともに島国経済の国家であり、もはや機能していない金融システムが引き起こした固有の債務超過に陥っています。
日本がこれから踏破しなければならない道のりは長いものです。
英国の国家予算は先週やっと議会の承認を得ることができました。
両国とも現状は決して予断を許すものではありませんが、21世紀において成長と繁栄のための枠組みを作れる可能性があるのは、この2つの島国経済だという事が徐々に明らかになってきていると思います。

次のアジアの10年間の物語は、日本の復興、そして中国経済の後退という事になるかもしれません。

http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2012/apr/01/will-hutton-japan-economic-policy

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「どうすれば日本はより良い資本主義社会を創造できるのか?」
今さらという気がします。
この答えはドイツにおいて、もう出ています。
すでにご紹介した英国のザ・ガーディアンが以下のように紹介しました。
「ドイツでは『脱原発宣言』 が、新たな技術開発と技術革新が国家的規模で進む一方、市民が望む社会正義の実現が進んでいる」(http://kobajun.biz/?p=2454)【 『脱原発』後のドイツはどうなったのか?! 】
これこそが『答え』なのではありませんか?

そして結論。
新たに起業する人々と、合理的で責任を取ることのできる政府機関こそが、これからの日本の力強い再生を可能にする

これを読んで、ストンと答えが胃の中に入ったような気がしました。
ギリシャやスペインほどではないにしても、なぜ日本はここまで追いつめられているのか、その質問・疑問がのどに引っかかったままの方は大勢いらっしゃると思います。
そしてその答えが今回の福島第一原発の事故と無関係でないことも直感的に理解しながらも、うまく言葉にできませんでした。
「東京電力が行った隠ぺいに加担し、政府機関の官僚の言いなりになり、報道機関には真実を伝えないよう圧力をかけ、労働者の権利を封じ込めるための組織・経団連の要求の前に右往左往する民主党政府の姿」を見て、私たち一般国民の怒りといらだちは深まる一方でした。

ではこれからの日本はどうすべきなのか?
「一般市民の中から要求が生まれ、市民の要求に沿って動く資本主義、これこそが日本にとって最良の資本主義である。それがうまくいけば、これからの10年間の物語は、日本の復興という事になる。」
そうこれこそが、私たちが求めていた結論ではないでしょうか?

このような結論を導き出すことは、日本国内で暮らす日本人にとっては逆に難しいことかもしれない、そう思いました。
今回の翻訳も皆さんのお役にたつよう願っています。

 

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