星の金貨 new

星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

ホーム » エッセイ » 【 日本の人口問題に仕掛けられた時限爆弾 】

【 日本の人口問題に仕掛けられた時限爆弾 】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 9分

出生率が低下し人口減少が続く中、苦境に立つ故郷の町を蘇らせ、自分たちも愛を手に入れるために立ち上がった男性たち

美しい住環境とストレスフリーの生活、なのになぜ人口は減り続けるのか?

 

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2018年6月4日

写真上 : 小谷(おたり)村の1年間のカレンダーに登場した郵便配達員の藤原誠吾さん。

 

小林恵人さんは普段の仕事の際に身につけている衣服を脱ぎ、第二の職業である無給の消防団の隊員の制服を身につけました。
カレンダーのキャプションによれば、小林さんは家族と村の安全を守るため当然するべきことをしています。
写真の中の別の男性、藤原清吾さんは視線を遠くにやっています。

彼の頭には伝統的な手ぬぐいが巻かれ、29歳の測量技師は一緒に世界を旅することができる「笑顔の美しい」女性との出会いを望んでいます。

 

2人に10人を加えた計12人の 小谷村の男性は、今もカチカチ時を刻んでいる日本の人口問題の時限爆弾を象徴する存在です。

彼らは全員カレンダーで様々なホーズを決めながら、カレンダーの製作がいつか互いに思い合うことができる女性との出会いのきっかけを作り、交際相手や結婚相手を探すための様々な取り組みから解放されることを願っています。

北アルプス連峰の雄大な景色、そして最高の条件でスキーができることで知られている長野県ですが、その中にある小谷村の小林さんやその他の男性たちと将来の生涯の伴侶の出会いには貢献していません。

 

小谷村の人口は1950年代の約3分の1に減少しました。

そして過去10年間、住民の数は小中学生180人を含め3,734人から2,795人に減少しました。

写真上:消防団の制服を着た小林さんの写真が載ったカレンダー

 

国立社会保障・人口問題研究所によれば、現在の人口胴体がこのまま続けば、小谷村の人口は2060年には900人を下回ることになってしまいます。2017年3月時点で20歳代と30歳代を合わせた小谷村の男性人口は275人、女性は218人でした。

 

若い女性は就職先、あるいは将来の夫との出会を求めて村を出て行く傾向が見られますが、一方の男性の方は家業である農業やファミリー・ビジネスの後継者として村にとどまる傾向が強くなった結果、結婚や子供を持つ機会が中々得られなくなってしまっているのです。

 

こうした苦境に置かれているのは小谷村だけではありません。
日本全国で同じような現象が起きています。

ある調査によれば、低出生率のために869の市町村(全国のほぼ半数)が消滅する危険にさらされています。
「地元の消滅」というタイトルの報告書の中で日本創成会議は、20~39歳の女性の数が2040年までに半減してしまった町村は機能しなくなると述べています。

 

▽「お金の上手な利用法」

 

元外務省職員で小谷村村長の顧問を務めるゆき野崎キルケイ氏は、ニューヨーク消防署員の勇姿と題されたカレンダーの成功を見てこのアイデアを思いつきました。

彼女は小谷村の長期的存続に必要なのは、たとえ少数ではあっても都会での生活に失望しながらも、地方で生活をするにもその手がかりを持っていない若い専門家を村に呼び寄せることだと確信しています。

 

彼女は村内の放棄された幾つかの大規模農家を解体し、新興企業を誘致できる便利な便利な場所に移転させる計画を進めています。

来年度ハイテク企業2社が、建てられてから改装した築250年の建物を共有して事業を開始することになっています。

「もはや村の行政を成り行きに任せる時代は終わりました。これからは村の資産を現代のビジネスモデルに適する形に作り直し、それによって村の若返りを図るべき時代です。」
「カレンダーはその考え方を具体化するための第一歩でした。生きたお金の使い方ができたと思います。」

 

村役場で働く小林さんは11のモデル事業を立ち上げることに貢献しましたが、その過程では抵抗は驚くほど少ななかったと語りました。
「自分の経験から言うと、この村で若い女性に出会う機会はほとんどありません。」

 

小林さんをはじめカレンダーのモデルを務めた男性たちは、遠くまで足を伸ばし悪戦苦闘して結婚相手の女性を探すまでのことをしたいとは考えていません。
彼はその原因の一つは「村意識」にあるとしていますが、長野県北西部の片隅にあるまだ壊れていないこの場所には、生きていく上で明確な利点があると語ります。

「私は東京の大学に行きましたが、朝は通学のために地下鉄に乗っただけでストレスを感じました。ここは完全にストレス・フリーの別天地です。」

 

カレンダーにはモデルになった男性の職業や趣味、人生における目標や理想的なパートナーについての希望などの記述があります。
今まで村役場の担当は8人の女性から問い合わせを受けており、そのうち4人の女性とは写真やプロフィールを交換しながらやりとりが続いています。

 

▽「一生独身ではいたくない」

 

近年日本の出生率はやや上昇していますが、日本政府が行っている一時金支払いなどの対策ではその効果は所詮限定的です。
小谷村では子供の数が多い両親は、それぞれの子供たちの成長に合わせて授業料や教育費の割引を受けることができます。
しかしその恩恵はまだ最小限にとどまっています。

 

「人口減少を止めるための即効薬などはありません。」
と松本久村長はこう認めました。

「おそらく今後も人口減少は続くでしょうが、もっと多くの家族に3人の子供を持つよう説得することができれば、少なくとも減少率を下げることはできるはずです。」
「この場所での生活をすでに始めている人々に対しては、幸せで健康的な生活を築くことができるよう、私はできる最大限のことをしたいと思っています。新たにこの場所にやってくる人々についても同様です。」

数年前に初めて小谷村を訪れて以来、すっかり村の魅力の虜となった21歳のオーストラリア人ダニエル・ハンターさんは、現在大工兼瓦職人としての修行の真っ最中です。

 

独身の彼はガールフレンドがいないことを今はそれほど気にかけていませんが、カレンダーの効果は仲間の個人的な願いを叶えるよりは、村をPRする効果の方が大きいと見ています。

「この村で幸せに暮らしている外国人がいることを広報する素晴らしい機会だと思いました。」
冬場近くのスキー場で両親がロッジを経営するハンターさんがこう語りました。
「この村にいるときの私がすごく生き生きしていることには自分で気が付いていましたが、この村でずっと暮らすことについては迷い続けています。」

 

カレンダー効果で小谷村に若い女性が数多く移り住み、ベビーブームが起きると都合よく考えている小谷村の住民は一人もいません。
しかし5月も兼任している藤原氏は、カレンダーをきっかけに小谷村が人々の話題になることを願っています。

 

「私は家族経営の事業の一員なので、当面この場所で暮らすことになります。」
藤原さんがこう語りました。
「女性が多く暮らす場所に移り住んだところで、そこには男性もたくさんいるでしょうからライバルも多くなります。」

 

26歳の小林さんはまだ結婚についてそれほど心配はしていません。
しかし小林さんも小谷村の他の若い男性同様、小谷村での生活を続けながら生涯の伴侶を見つける努力をするという現実と向かい合わなければなりません。

「この村を離れたいという気持ちがよぎったことは一度もありません。」
小林さんがこう語りました。
「でも一生独身で良いとは思っていません。」

 

https://www.theguardian.com/world/2018/jun/04/japans-demographic-time-bomb-can-a-calendar-help-otaris-single-men-find-love

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事に関連する記事一覧

このサイトについて
ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
最近の投稿
@idonochawanツィート
アーカイブ
カテゴリー
メタ情報