ホーム » エッセイ » 【 日本、年金の支給開始を70歳以上に引き上げ 】
働き過ぎの歴史を刻んできた日本、年金支給開始を遅らせる措置はぎりぎりまで人間に労働することを強いることになる
高齢化による税収の減少は、安倍首相が目論む日本経済を再び活性させるという計画にさらなる障害をもたらす
ドイチェ・ヴェレ 2018年2月17日
安倍政権は公的年金の支給開始年齢を71歳以上に引き上げる計画を承認しました。
日本は労働力の不足、福祉費用の急増、高齢化に苦しんでいる。
日本政府は一連の法制度の変更の一環として、2020年4月以降、この計画を確定させると発表しました。現在、日本の人々は60歳から70歳の間の任意の時点で年金の受給を開始することができます。
ただし老齢年金は満65歳以降でないと受け取ることはできません。
制度変更の一環として、日本政府は約340万人の公務員定年退職年齢を現在の60歳から65歳に引き上げることも検討しています。
ただし、その引き上げは段階的に実施される予定になっています。
ジャパンタイムズによれば、日本政府は高齢者が一般的に以前の世代よりも身体的に健康的であるという事実を考慮し、多くの人が働き続けたり、地域活動に参加する意欲が高いとの見解を明らかにしています。
しかし日本はこれまで、一般的に労働者が働き過ぎだという歴史を刻んできており、今回の措置はぎりぎりまで人間に労働することを強いるものだという見解もあります。
▽ 老いていく国民
世界最高の平均寿命、そして最低の出生率という組み合わせによる人口構造の変化に、日本の社会福祉制度をどう適合させていくかという方法を見つけ出さなければならなくなる見込みです。
政府の積算によると、日本の人口は現在の1億2,700から今後40年間で8,800万人に縮小する見込みです。
この厳しい予測は各分野で深刻な労働力不足を引き起こすものと見られています。
安倍晋三首相は、社会的・経済的停滞の中で経済成長と生産性の向上を目指す「働き方」改革の一環として、高齢者が仕事に留まり、引退年齢に達した後も人生で活発に活動するよう後押しをしています。
ジャパンタイムズは安部首相の談話として、
「高齢化が進むことにより農村部では過疎化が一層進行することが予想されており、あらゆる世代の人々が広く積極的に参加できる社会を実現することが重要だ」
と述べたと伝えました。
日本の高齢化による税収の減少は、安倍首相が目論む日本経済を再び活性させるという計画にさらなる障害をもたらすことになると見られています。
▽ 各国に共通する高齢化の悩み
ロンドンに本拠を置く経済専門日刊紙のシティA.M. は欧州各国や他の国々でも、今後数十年間で同様の人口動態の変化が起きると予想されており、日本の変化については「社会福祉制度に仕掛けられた時限爆弾という問題に直面している多くの西側諸国も後を追うことになるだろう」
と書いています。
日本の制度変更はドイツやイタリアなど同様の課題を抱えている国々に、高齢化社会への移行に対処するためのヒントを提供するかもしれません。
中国や韓国をはじめとする他のアジア諸国も、2050年までには同様に人口の高齢化に対処しなければならなくなると予想されています。
http://www.dw.com/en/japan-plans-to-raise-pension-age-beyond-70/a-42629344
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先日、夜7時頃にドルチェ・グストのカフェインレス・コーヒーを淹れながら、つくづく便利な世の中になったなとしみじみ思いました。
私は夕方を過ぎて普通のコーヒーを飲むと寝付けなくなるのでカフェインレスなのですが、それもコーヒーショップと肩を並べるほどのコーヒーが自宅で数秒で用意できます。
子供の頃の暮らしと比べると、当時テレビ放映していたアニメ鉄腕アトムの『21世紀の世界』が今まさに目の前にあります。
「でもそのために70歳まで働かなければならないのか…」
一方では思わずそう呟き、複雑な思いにとらわれました。
便利で快適な暮らしを維持するためにはコストがかかります。
資産家でない限り、そのコストを払い続けるためには働き続けなければなりません。
しかし70歳まで働き続けるとなると、生きるために働くのか、働くために生きるのかわからなくなってしまいます。
都会で暮らしている方は全てにコストがついて回るので、そんな暇なことは考える間もないのかもしれません。
しかし私のように半分田舎に近い場所で暮らしていれば、海も川も山も、例えば30分も自転車をこぎ続ければ半日何の対価も支払わずに過ごせる場所に行き着くことができます。
そうした場所で必要なのは便利さではなく、その空間を楽しむことができる心です。
とはいえ、そうして出かけた自分の手にはスマートフォンがあって、そこには少なからぬコストが付いて回るわけですが…
今の日本、特に都市部で暮らす人々に必要なのは、働き方改革より「生き方」改革のような気がします。