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【 押し通る共謀罪法案 – 国民が監視対象に 】《前篇》

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所要時間 約 7分

国連の基本的人権の専門家からの指摘を真摯に検討もせず食ってかかり、一蹴した安倍政権

反政府的言動の監視を強めようとする中国政府の機先を制し、国民監視を決めた安倍政権

 

モトコ・リッチ / ニューヨークタイムズ 2017年5月23日

 

批判的な人々から広範囲にわたる国民監視を可能にする恐れがあると指摘されている共謀罪法案について、22日火曜日安倍晋三首相はテロリズムとの戦いのために必要であると主張、法案成立の鍵となる衆議院の通過を実現させました。

 

建物の外に大勢の市民が詰めかけ反対の声を上げる中、安倍政権と自民、公明、維新の賛成派が、テロリズムとその他広範囲にわたる共謀行為を犯罪として成立させることを可能にするテロ等対策法案を可決・成立させました。

投票直前に与党自民党の平口洋衆議院議員は22日月曜日に英国のコンサート会場で22人を殺した自爆攻撃の犠牲者のために哀悼を表明した後、共謀罪法案が2020年にオリンピックを主催する「重大な責任」を果たすために必要な法改正だと発言しました。

 

この法案に対しては国連の基本的人権の専門家から、個人のプライバシー保護と言論の自由に関する充分な議論が不足しており、安倍政権が法案の成立を急ぎ過ぎているという指摘を受けていましたが、安部首相率いる自民党は採決に踏み切りました。

国連のプライバシーの権利に関する特別報告官のジョセフ・ケナタッチ氏は、共謀罪法案が可決・施行されれば「基本的人権に基づくプライバシーの権利と表現の自由が不当に規制され事態に至る」可能性があるとする書簡を安倍首相に送付していました。

 

衆議院での投票の前日、安倍政権の菅義偉官房長官はケナタッチ氏の書簡に対し、食ってかかりました。

書簡の中身は「明らかに」「不適切なものである」と語り、特別報告官の懸念を一蹴しました。

日本政府も、外務省を通して国連人権高等弁務官事務所に公式な抗議を行いました。

 

安部首相は、2000年に最初に署名された国際組織犯罪に関する国連条約を批准するために、そして2020年のオリンピック開催に向けて日本をテロリズムの脅威から守るためにも、共謀罪法案が必要だと繰り返し主張してきました。

しかし一般市民の反対が大きい中、安倍政権が法改正の強引な成立を図るのは今回が初めてではありません。

2年前、安倍政権は一般市民による大規模な抗議行動が展開された中、第二次世界大戦以降初めて、これまで国内に限定されていた日本の軍隊、自衛隊の海外派遣と軍事行動を可能にする安全保障関連法案の一括可決を行いました。

中国政府は現在、国内外を問わず敵対的姿勢をとる『容疑者』に対する監視活動を認める諜報法案の導入を検討していますが、安倍政権の共謀罪法案はこれに先立つ形になりました。

 

最近行われた世論調査の結果は、共謀罪法案について国民の意見が2つに割れていることを示しています。

一方で4分の3以上は、なぜ今この法律が必要なのか安倍政権は国民に対する充分な説明を行っていないと回答しています。

しかし安倍首相率いる与党が衆参両院の議席の3分の2以上を占めており、この法案は参議院に送られた後、6月中旬の会期終了前に可決成立する見込みになっています。

 

電子メールの中でケナタッチ氏は安倍政権に対し、今回の法改正についてはもっと時間をかけて議論を行う必要があり、さらには個人のプライバシーと言論の自由を守るために法案の中身を修正する必要性があると伝えました。

「日本政府にとってまさに今は、こうした法改正が本当に必要なのかどうか十分時間をかけて慎重に検討し、検証を繰り返しながら修正を行い、もっと世界標準の民主主義国家としてふさわしいやり方でこの法案を改良していくべき時なのです。」

 

実際にはテロリズムとほとんど縁が無い日本において、テロ行為に関するこの法律の規定はきわめて曖昧なものであり、監視対象とすべき犯罪行為についても監視する側が一方的に判断できるようになっているとして、この法律に反対する人々は批判を強めています。

法律の適用範囲は無免許の自転車レース、著作権の侵害、国有林での無許可の植物採集などにも及び、これらの行為に関わったことが明らかになった場合、誰でも起訴される可能性があります。

 

今回の法改正に批判的な立場をとる人々は、こうしたいわば軽微な犯罪はテロ行為とはほとんど無関係にしか見えないと指摘しています。

この法律は、ただ単に日本政府に国民を監視する権限を与えることだけが目的だとしか考えられない、そう語ります。

「どのような犯罪にこの法律が適用され、何が除外されるのか、明確な基準が無いのです。」

こう語るのは上智大学で政治学を専攻する中野晃一教授です。

 

中野教授は、底引き網でさらうようにして一般市民の電子メール、ソーシャル・メディアやテキスト・メッセージのやり取りまで日本政府が監視対象にするようになれば、政府の政策に批判的な人々であっても、抗議をしたり率直な意見を公開するのをためらうようになる可能性があると語りました。

「一市民として意見を表明したり行動したりする人がもともと少ない日本の社会でこの法律が成立すれば、人々は自己検閲姿勢をもっと強めてしまう可能性があります。」

 

〈後篇に続く〉

https://www.nytimes.com/ Conspiracy Bill Advances in Japan Despite Surveillance Fears

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共謀罪は私たちに深刻な教訓を突きつけました。

国政に無関心な国民に対しては、国家も無関心で「いてくれるのでしょうか?」

第二次世界大戦(太平洋戦争)では、日本の軍国主義は国民を利用し、恐ろしい数の命を使い捨てました。

今それと似たような道へ向かいつつある、そんな嫌な予感を感じているのは少なくないはずです。

予感を現実にしないために、

 

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