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【 見えてきた危険な未来、急落する現場の士気 – 福島第一原発 】《第1回》

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所要時間 約 9分

第一線で働く作業員たちの、体と心をむしばむ健康問題
危機の最中、現場の作業員の報酬まで引き下げた東京電力
これから先を思うと暗澹たる思い – 内部関係者の証言
頼られることばかりが多く、報われることは少ない福島第一原発の現場労働

ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国) 10月15日

現地の視察を行う安倍首相

現地の視察を行う安倍首相


放射線防護服に身を固め、フルフェイスのマスクと固いヘルメットとを着用した安倍首相は、居並ぶ作業たちを前に、断固とした口調でこう語りました。
「日本の将来はあなた方の双肩にかかっています。」
「あなたたちが頼りです。」

安倍首相の直近の福島第一原発の訪問において、この激励を聞くことができたのは緊急司令室内の少人数の要員だけでした。
しかしこの激励は、3基の原子炉がメルトダウンして3年近くが経った世界で最も危険な産業事故現場、福島第一原発内の第一線の現場で働く約6,000人のスタッフ、技術者、エンジニア、ドライバー、そして建設作業員全員に向けられたものでした。

あらゆる難題が積み重なり、次から次へと新たな問題や放射性物質の漏出事故が持ち上がる福島第一原発の現場では、彼ら実際の作業にたずさわる人々が深刻な士気の低下、健康上の問題、そして将来への不安に苦しんでいます。
内部関係者に対するガーディアンの取材が、これらの問題の存在を明らかにしました。

福島第一原発の事故収束・廃炉作業はまだ始まったばかりですが、最低でも40年はかかると見られているその作業の取り掛かり段階で、早くも危険な作業に従事する資格を持つ要員不足の問題に直面しています。

汚染水配管
汚染水の浄化装置の作業を行っていた作業員男性6名が、高濃度汚染水を浴びてしまう事故が発生、約900名の東京電力職員と約5,000人の関連会社・下請け会社の従業員が直面させられている問題が浮き彫りになりました。

今回の事故では全員が防護服と防水服を着用していたため、東京電力によればただちに健康被害に見舞われる事態にはなりませんでした。
しかし一方では、2011年3月の原子炉のメルトダウン以来続いている事故収束・廃炉作業が、いよいよ最も危険な段階に入りつつあることを示す事件となったのです。

一連の汚染水漏れ事故に触れ、原子力規制委員会の田中俊一委員長はこうコメントしました。
「不注意によるミスは、往々にして士気の低下と関係がある場合があります。」
「ポジティブな環境で前向きな気持ちで働いている時、人間というものは不注意によるミス、明らかな間違いは行わないものです。福島第一原発で最近人為的ミスが多発する背景には、こうした環境の欠如があるものと、私は考えています。」

ここに来て福島第一原発では放射能汚染水の漏出、そして放射性物質の漏出が立て続いて発生し、これに伴って作業現場の放射線量も増大し、作業に取り組む労働者の精神状態、そして東京電力一社が事故収束・廃炉作業にあたっていることへの懸念を引き起こしました。

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定期的に作業現場を訪問し、カウンセリングなどを行っている医療チームの知見に基づけば、チェルノブイリ以来最悪の原子力発電所事故を起こした日本に対し、国際社会からは事故収束・廃炉作業の確実な進展を明らかにするようプレッシャーがかかり続けているにもかかわらず、繰り返し悪いニュースばかりが報じられる現状が、作業にあたる人々の精神を蝕んでいます。

福島第一原発の作業員のカウンセリングを行っている精神医療チームを率いる、防衛大学医学部講師の重村淳氏がこう語りました。
「この6カ月、福島第一原発では状況はほとんど進展がありませんでした。」
「東京電力は事態を打開するために最善を尽くしてきましたが、状況は相変わらず厳しいままなのです。」

重村氏は福島第一原発の作業員の70%が、メルトダウンの発生により家族を避難させなければならない状況に陥っていることを一番に懸念しています。
作業員自身もまた失ったものを回復するには至っておらず、家族から離れて、臨時の簡易宿泊施設での不自由な暮らしを強いられているのです。

作業員自身が今回の3重災害 – 地震・津波・原発事故の被害者なのです。
「作業員たちは津波の被害と原子力発電所の爆発事故により、精神的外傷を負っています。しかも自分たちが被災者としてどれだけの被ばくをしてしまったのか、全く分かっていないのです。」
重村氏がこう指摘しました。
「そのことが深刻な結果として現れています。彼らは絶望感、意欲の喪失、そしてアルコール依存症などの慢性症状に苦しんでいます。」

NBC20
精神的に追い詰められている彼らの状況は、雇用主である東京電力が次々に持ちあがる問題の対応に追われ、将来が危うくなっていることにより、さらに悪いものになっています。
東京電力は福島第一原発において悪化が続く汚染水問題を解決するよう、国内外で高まる世論の圧力を受けています。
こうした事態を受け、日本政府は約500億円を拠出し、直接事故の収拾に乗り出さざるを得なくなりました。

能力のあるなしに関わらず東京電力は、先に安倍首相が国際社会に公約したように、オリンピックが開催される2020年までに何としても汚染水の漏出を止めなければなりません。
しかし福島第一原発における作業員の不足は、それに対する最大の障害になっています。

東京電力はその事故収束作業の内容に対する批判の矛先をかわし、膨れ上がる事故収束のための費用を圧縮するため、2011年にすべての従業員に対し20%の減給を求めました。

当時37,000人の従業員がいた東京電力から、2011年4月から今年2013年6月にかけ、1,286人が会社を去りました。
一方では、2012会計年度と2013年には一人の採用も行いませんでした。

東京電力社員
東京電力の広報担当である吉田まゆみ氏によれば、東京電力は2014年4月、新たに331人の採用を予定しています。
「優秀な人材が昇進し、非生産的な社員は降格される、こうした人事が素早く実現されるシステムに体制が変更される予定です」
吉田氏がこう語りました。

しかし、経験豊かな有能な社員や作業員が被ばく限度利用に達してしまい、現場を去らなければならない状況については、東京電力は今のところどうすることもできないのです。

〈 第2回につづく 〉

http://www.theguardian.com/environment/2013/oct/15/fukushima-nuclear-power-plant-cleanup
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今日から3回に渡り、ガーディアン(英国)紙に掲載されたジャスティン・マッカリー氏の福島第一原発の作業員に焦点を当てた記事をご紹介します。
同氏はこれまでも何回か福島第一原発の作業員に関する記事を書いてこられましたが、いずれもが読み応えのある、内容の深いものでした。

今回も読んでみて、心の重くなる厳しい現実について描写しています。
避難民、作業員、4号機の使用済み核燃料、汚染水…
福島第一原発の現実はいずれもが心が重くなる話題ばかりです。

しかし、4号機の使用済み核燃料の問題を除けば、真正面からの解決に取り組み、本来行うべき事をすれば、前進・改善は可能なはずなのです。

なのに「福島第一原発の事故収束 - 業界利害を優先し、危険な状況に追い込んでいる」(ニューヨークタイムズ - http://kobajun.biz/?p=11016 )のです。

 

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