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【 見えてきた危険な未来、急落する現場の士気 – 福島第一原発 】《第3回》

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所要時間 約 9分

東京電力が日本政府に求めるのは、金を出すこと、口を出すことでは無い
国際社会への支援要請、東京電力にとっては単なるパフォーマンス

ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国) 10月15日

2011年6月18日

2011年6月18日


労働者不足、そして繰り返される事故という現実に直面し、東京電力にはこの数週間、海外の専門家による支援をもっと積極的に受け入れるよう圧力がかかっています。

10月の初め、安倍晋三首相は京都で開催された国際科学会議の席上、こう語りました。
「日本は、みなさんの専門的知識を必要としています。」

一見、福島第一原発の事故収束・廃炉作業を国際社会にオープンにしたとも取れるこの発言ですが、ロンドンに拠点を置き、環境中の放射性物質の問題などに関するコンサルタントを独自に行っているイアン・フェアリーは、日本はその基本姿勢を変えるつもりは無いと語りました。
「日本の原子力関係部局は、国際社会に対して支援を求めています。『これは深刻な危機です。問題の解決のため、支援をお願いします。』しかし東京電力と日本政府にはそんなつもりは無いはずです。

東京電力は自社の事故収束・廃炉作業の遂行能力に揺るぎない自信を持っており、たとえ解決に向け大きく前進できる技術であっても、それを外部から受け入れるつもりなどありません。
例えそれが日本政府の官僚によるものであっても、この点を譲るつもりはないのです。」

2013年9月12日

2013年9月12日


「東京電力は何もかも他人抜きでやる、そういう企業なのです。」と、最近14年間勤めた東京電力を辞めた吉川明宏氏がこう述べました。
「東京電力は政府が介入して来て、あれこれ指示をすることなど受け入れるつもりはありません。欲しいのは政府の資金だけなのです。」

吉川氏は事故直後は世間の批判に対して反発を覚えていた彼の同僚たちも、国内外からものすごい量の東京電力に対する批判が積み上がっていくのを見て、いつしか落胆を覚えるようになり、その結果若い社員たちは会社を去り、定年を控えた社員たちは早期退職の途を選ぶようになったと語りました。
「命がけで働いていた社員たちも、自分たちがまるでいじめられていように感じていました。」

Jビレッジへのバス待ちの列
「東京電力は技術的問題を解決することにばかり資金を集中させようとしていますが、現場で実際に作業を担当する人員も同様に大切なはずです。」
「私は、現場の作業員の不足について非常に心配しています。早くこの問題を何とかしないと、福島第一原発は施設の崩壊の前に、作業体制が崩壊することになるでしょう。」

下請け、孫請け会社によって日本全国から雇用され、福島第一原発の現場で危険で、文字通り骨の折れる作業を担当する数千人の非正規従業員にとって、もし致死量の放射線を浴びるようなことになった場合には相応の報酬を受け取ることが出来るだろうという思いは、ものの見事に裏切られることになりました。

宿泊設備に寝泊まりするための『経費』を差し引かれた後に、彼らの手元に残るのは一日あたり2~3前円というのが相場です。
中には、零細な下請け企業が、そのまま受け取れば日給の半分程度の額になる危険手当をピンハネしていた例もありました。
この指摘に対し、下請け企業は事業を継続させるための運転資金が必要なのだと抗弁しました。

粗末な報酬は多くの作業員に福島第一原発の現場を去り、周辺地区の除染作業員として働く道を選ばせることになりました。
受け取る報酬は同額でも、放射線被ばくの危険性ははるかに低いのです。

120913
「福島第一原発の現場作業を実際に行っているのは、汚れ仕事を担わされている下請け会社をつれた、大手ゼネコンなのです。」
吉川氏がこう指摘しました。
「彼らは談合して東京電力との契約金額を釣り上げる一方で、下請け企業への支払いはできるだけ少なく留めようとします。下請け企業は労働者には安い賃金しか支払えないのです。」

福島第一原発の南にあるかつてのサッカー総合運動施設、Jヴィレッジで暮らす東京電力作業員の生活環境は、最近になってやっと改善されました。

事故発生から約2年の間、Jヴィレッジの敷地に建てられたプレハブ方式の簡易宿舎では、夜間共同トイレに行くまで、数百メートルの距離を歩かなければなりませんでした。
事故を起こした経営陣の後任として社長に就任した広瀬尚美氏が、施設の不備が作業員たちが健康を損なう一因となっているとの専門家の指摘を受け、東京電力は今年になってやっと遅ればせながらも各部屋ごとにトイレを設備したのです。

東京電力・広瀬
「東京電力本社の役員たちの頭の中には、福島第一原発の現場の作業員がどういう暮らしを強いられているかということについて、どういう考えもほとんどありません。」
愛媛大学の谷川教授がこう語りました。
「被災者に対する補償をどうするかという事で彼らの頭の中はいっぱいになっており、補償がまだ済んでいない補償者への対応を怠ったとして追及される事態だけは避けようとしているのです。」

しかし、来月には着手予定の4号機の使用済み核燃料プールから1,300個の使用済み核燃料ユニットを取り出すという最も危険な作業を前に、果たして東京電力にはその作業を無事故で進める能力があるのかという、深刻な懸念が高まっています。
そうした中で、現在進行している作業員の危機的状況の問題はほとんど無視されたままです。

毎月一度現場を訪れ、作業員に服薬指導などの健康管理を行うチームを率いる防衛大学医学部の重村氏は、作業員が24時間利用できる産業カウンセリングの態勢が未だに福島第一原発内には整備されていない点を指摘しました。
「この事実に、私は驚かざるを得ません。」
「今、現場で働いている人々は、自身の健康について心配すると同時に、将来ここでの作業が原因で発病した際に、東京電力が補償に応じかどうかについても懸念しています。」

街頭抗議
「彼らは自身の健康と命を危険にさらしているのです。しかし、数年の内には使い捨てられてしまうのではないか、その事を絶えず気に病んでいなければならないのです。」

〈 完 〉

http://www.theguardian.com/environment/2013/oct/15/fukushima-nuclear-power-plant-cleanup
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この記事を読んでいると、東京電力の現在の『低姿勢』は、ただひたすら世の批判をかわすための『擬態』に過ぎないのか、と思ってしまいます。
現場で懸命に危機と戦っている『人間たち』に、感謝も何も無い。
その事実が証明しているのではないでしょうか?

勝手ながら、明日10月25日(金)は休載日とさせていただきます。
ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願い致します。

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【 福島第一原発の作業員、危険な状況と低過ぎる報酬を告発 】

ポーラ・ハンコックス / アメリカCNNニュース 10月21日

 

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