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【 見えてきた危険な未来、急落する現場の士気 – 福島第一原発 】《第2回》

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所要時間 約 8分

着実に増え続ける作業員の累積被ばく線量
東京電力の優先課題はまずは金銭、現場の安全では無い
専門知識を持たない東京電力と大手ゼネコンが重要な役割、結局は苦しむ羽目に

ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国) 10月15日

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東京電力の文書は2011年3月から2013年7月までの間、138人の従業員の累積被ばく線量が100ミリシーベルトに達したことを報告しています。
さらに331名の累積被ばく線量が75mSv以上100mSv以下の値に達し、彼らが福島第一原発内で働ける時間のタイムリミットが近づいていることを表しています。
伝えられるところでは、これら累積被ばく線量が限界に近づいている人々は、他の原子力発電所に異動されるか、あるいはいったん離職し、しばらくたってからから再び福島第一原発の現場に戻るよう依頼される場合があります。

しかし、妻や子供、家族が暮らす場所の近くに職を得た人々、あるいは消耗しきってしまった人々、これ以上のストレスに耐えきれなくなった人々が現場を去っていきました。
「彼らは今後10年以内に無くなってしまうかもしれない会社で働き続けることに不安を感じ、これ以上福島第一原発の現場に留まる意義について答えを見つけられなかった人々なのです。」
福島第一原発の作業員を対象に精神医療を行うチームを率いる、重村淳防衛大学医学部講師がこう語りました。

福島第一原発の現場にとどまった労働者達は、ここの所立て続けに起きている放射能漏れや汚染水漏れ、あるいは汚染水をもろに浴びてしまうような事故が続くことにより、被ばくする機会が一層多くなり、被ばく線量が増え続ける危険を冒している、そう認識しています。

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今年始め東京電力は(東京電力職員、下請け企業職員を合わせて)1,973人の福島第一原発の作業担当者が、100ミリシーベルトを上回る甲状腺被ばくをしてしまったと公表しました。

「これらの労働者はその生涯において、発がんリスクが少し上昇する可能性があります。」
ロンドン大学インペリアル・カレッジの分子病理学を専門とするゲリー・トーマス教授がこう語りました。
「100ミリシーベルトは、大規模な疫学的調査を行う際、ガン発生率に大きな変化が起きる目安として使われる被ばく線量です。調査対象の数が小さいとその変化は微細なものなってしまうため、調査対象を大きくしなければならないのです。」

トーマス教授はさらにこう続けました。
「しかしわたしはむしろ、現地で働く人々については、喫煙量の増加、放射線被ばくに対する恐怖から極度のストレスにさらされていることの方をはるかに心配しています。その事の方が彼らの健康にとっては、より大きな脅威になり得るからです。」
トーマス教授やその他の専門家は、甲状腺の被ばく線量の増加が直ちにガンの発症率の増加につながると早急に結論を出すことに対して異論を唱えていますが、国際社会から注目を浴び続けているにもかかわらず、その過酷なスケジュールが福島第一原発の現場で働く人々の健康に悪影響を与えていることは否定できません。

「私は、特にうつ病とアルコール中毒についてとりわけ心配しています。」
こう語るのは愛媛大学大学院医学系研究科の公衆衛生学・健康医学を専門とする谷川武教授です。
「私は身体的苦痛、そして心的外傷後ストレス障害の典型的な症状を数多く確認しました。」

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臨時雇用の下請け作業員の多くが、福島第一原発周囲の避難区域の南に位置する温泉地帯、湯元などの料金の安い宿泊施設で暮らしています。
これらの旅館やホテルの経営者からは、飲んで暴れる作業員についての苦情が寄せられていましたが、そんな中、昨年一年間で作業員の数は減少して行きました。
最近では福島第一原発の作業員は、小名浜港近くのバーや風俗営業の飲食店に数多く集まるようになりました。

匿名を条件に取材に応じてくれた42歳の下請け作業員は、今、福島第一原発の作業員の間でアルコール中毒が蔓延しつつあると語りました。
「前の晩に大量のアルコールを飲んで、翌日震えながら現場にやってくる作業員を、私はたくさん知っています。夏の間は、二日酔いで現場にやって来て、熱射病で倒れた作業員を何人も目撃しました。」
「作業員の間のコミュニケーションはよくありません。いつも職場のボスの事ばかり気にしています。新入りは同僚たちからさげすみの目で見られ、現場に来ても何をどうしていいのか、まるで分らない新人もいるのです。」

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もう一人の労働者、彼も匿名を条件にこう証言しました。
「二日酔いで現場に来たと思ったその数分後には、熱射病で倒れてしまった作業員がいたよ。」

現在は引退している、かつて福島第一原発の原子炉建設にも参加したゼネラル・エレクトリックの技術者の中行輝さんが、長期的に見て東京電力とその関係会社は、充分な知識を持った技術者を廃炉が完了するまで確保できるかどうか、難しい局面に立たされていると語りました。

「今ですら十分に訓練された人材が、福島第一原発では不足しています。」
中さんがこう語りました。
「東京電力にとって、最優先課題は金銭です。原子力に関する確かな技術、そして安全は二の次三の次なのです。だからこそ事故が発生したのではありませんか?
東京電力の経営陣何としても会社を存続させる、そればかり主張しています。
彼らの眼中にあるのは株主、債権者の銀行、そして日本政府なのです。福島の被災者の方々のことなど考えていません。」

福島第一原発の南にあるいわき市で会社を経営する中さんは、これまで東京電力に対し技術提供を行ってきました。
中さんは原子力発電所の事故収束・廃炉作業について、必要な専門知識を持っていない東京電力と大手ゼネコンが重要な役割を担ってしまったために、結局は苦しむ羽目になっていると指摘しました。

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「従業員の多くが、こうした状況の中で働いた経験を持ってはいません。だからこそ四六時中作業員の被ばく線量が上がり続けているのです。」
中さんがこう指摘しました。
「再び現場に入って一線で働く意思表示をした退職者を再雇用するよう、私は東京電力に提案しました。
しかし経営陣はこの提案を拒否したのです。」

〈 第3回につづく 〉

http://www.theguardian.com/environment/2013/oct/15/fukushima-nuclear-power-plant-cleanup
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ブエノスアイレスでオリンピックのメダリストたちが飛び上がっている写真を見て、複雑な思いに駆られました。
今回ご紹介した記事で取り上げられている、福島第一原発の現場で働く人々。
私たちにとって、本当のヒーローはどっちのかと…

福島第一原発の現場で働く人々について、国際社会、なかんずく国際メディアの評価と国内報道の扱いにこれほど差があるのはなぜなのでしょうか?
やはり『格差』なのでしょうか?
それとも、マスコミが触れてはならない日本の『暗部』がそこにあるからでしょうか?

もう一度、自分が翻訳した[人間を!使い捨てる!東京電力・福島第一原子力発電所](‪ http://kobajun.biz/?p=11259 ‬)を読み返そうと思っています。

 

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