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【 崩壊していく!先進各国の原子力産業 】《1》

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所要時間 約 8分

福島第一原発の事故発生後、急激に失速した世界最大の原子力大国フランスの原子力発電事業
安全性に対する懸念、処分不能の核廃棄物、2つの大問題に加え、遅れに遅れる完成時期、巨額の追加費用という新たな問題が発生

デイヴィッド・ジョリィ、スタンリー・リード(パリ) / ニューヨークタイムズ 5月7日

フラマンヴィル(建設中)
何十年もの間、フランスは国全体が原子力発電のための研究施設であり、その発電割合は4分の3を占めており、他国に例のない断然高い割合を占めています。
そしてフランスの原子力産業界は世界中のウランを核燃料とする原子炉の分野で、その建造と安全に運転を続ける点において、アメリカ合衆国を含む世界をけん引する立場にあると見られてきました。
そしてフランスの機械技術分野において最も脚光を浴びる存在として、輸出その他の点においてフランス政府の全面的なバックアップを得てきました。

しかしフランスの原子力企業は、この2~3年の間に、失速し始めました。

フランスの原子炉の最新技術の優秀さを世界に向け誇るはずだった複数の原子力発電所の完成は、すでに予定より数年遅れ、しかも数十億ユーロという巨額の予算超過に陥っています。
さらに悪いことには、このうちの1か所では新たに明らかになった問題により、完成時期がさらに遅れることになっています。
というよりはいったいいつ完成するのか、あるいは果たして完成できるのかどうかも危ぶまれる事態となっています。

各国の原子力発電の発電割合(2014年)IAEA

各国の原子力発電の発電割合(2014年)IAEA

これはフランスの問題だけではありません。
およそ電気を必要とする国なら、そのすべてが直面しなければならない問題なのです。

世界には石油石炭などの化石エネルギーが地球の気候変動に与える危険性に鑑み、原子力発電をこの問題を解決するためのクリーン・エネルギーのひとつと考える国が多数あります。
2011年、日本の福島第一原発の事故が周辺環境を決定的に汚染したにもかかわらず…

▽ 原子力発電依存

フランスは他の国々と比較すると、原子力発電に依存する割合が他を圧して高いことが解ります。
2015年後半、フランスは国連地球温暖化防止会議の主催国になりますが、フランス政府の当局者たちはこの場で、原子力発電が二酸化炭素排出量が少ない発電手段であることを改めてアピールしようとしています。

しかしそのためにはフランスの原子力産業界が最新の原子力発電所を期限内に、そして予算の範囲内で建設して見せなければなりません。
そうしなければ、特に福島第一原発の事故以降明白なものとなった安全性に対する懸念、核廃棄物をどう処理するのかという従来の2つの大きな問題に加え、さらに時間と費用という新たな問題を付け加えるだけに終ってしまい、多くの国が原子力発電の実施を見直すことになるでしょう。
こうした現実に対する具体的回答として、ドイツとスイスはすでに原子力発電を発電手段の選択肢から除外しました。

各国の現存する原子炉の数(2014年)IAEA

各国の現存する原子炉の数(2014年)IAEA

しかし石油石炭を燃やすことの危険性があまりにも明白な今日、多くの発展途上国には原子力発電を行う以外の選択肢が多い訳ではありません。

フランスの原子力産業はこの60年間大きな事故・トラブルを引き起こすことなく、世界中で原子炉の建設と運営を行ってきましたが、もしフランスがこの分野で後退することになれば、もともと参入企業の少ないこの分野で、中国とロシアという技術的に最も優れているとは決して言えない企業がシェアを拡大していくことになるでしょう。

フランスの原子力産業の経営状況の急激な悪化にあわてたフランソワ・オランド大統領率いる社会党政権は、間もなく産業の再建策を発表するだろうと見られています。

フランスを代表する2つの企業はヨーロッパの原子力史上の大半を握っていますが、その最大の株主である以上、フランス政府は原子炉メーカーのアレバ、そして巨大原子力発電会社のエレクトリシテ・デ・フランス(EDF)の2社の財政基盤を強化するだけでなく、フランス工業界の代表的存在として、往時の輝きを取り戻させるため、業界の再編成にまで踏み込もうとしています。

5月7日、この再建策の着手点として大規模な経費削減策を発表しました。
フランス国内の従業員を4,000人削減すると同時に、世界市場で働く45,000人の内6,000人を解雇することを明らかにしました。

核廃棄物01
アレバ社への救援の手は中国からも差し伸べられることになりそうです。
中国では1983年、鄧小平主席の下で最初の原子力発電所建設が決定され、以後同国内の原子力発電所建設のほとんどをフランスの原子力産業界が担ってきました。

5月6日、中国核工業集団公司(China National Nuclear Corporation - CNNC)は、アレバ社に対し財政投資することに関心を持っていると記者団に語りました。
これに対しアレバ側は同日、
「中国核工業集団公司がアレバ社との協力関係を強化する意向を持っていることを歓迎する。」
との声明を公表したのです。

《第2回に続く》


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【 5月の傑作写真から 】

アメリカNBCニュース 5月

week01
5月18日、東京の繁華街を行き交う人々。5月初旬、日本の総務省は石油関連商品の値上がりにより、1年前と比べ消費者物価が2.2%上昇したと発表しました。(写真上)

5月20日、ルーマニアの首都ブカレストで店頭のポスターの前を歩く年金生活者の女性。
地元メディアによれば、ルーマニアの年金生活者の月平均収入は約24,000円。
この国の500万人を超える年金生活者の4分の1以上が月平均収入約14,000円以下で生活しています。(写真下・以下同じ)
week02
5月15日、厚い雲の上に顔を出す上海のジン・マオ・タワー(金茂大厦)と世界金融センタービル。
week03
6月3日、アマゾン川の主要な2つの岐路の内のひとつ、ブラジルのリオ・ソリモエスで、洪水で水浸しになった町で遊ぶ子供。
week04
6月4日、ミャンマーのマウンドーで仮設宿舎から手を出して雨水を貯める難民たち。
彼らは5月29日、定員を超える757人が乗り込み、アンダマン海を漂流している漁船の上で発見され、数日後ミャンマー海軍によって曳航の上、その日のうちに仮設の難民宿舎に収容されました。
week05
http://www.nbcnews.com/news/week-in-pictures/week-pictures-may-28-june-5-n370521

 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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