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【 崩壊していく!先進各国の原子力産業 】《3》

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所要時間 約 7分

フラマンヴィルで建造中の原子炉の重要部品に使われている鋼材に、重大な欠陥
建造中の原子炉を分解し、部品の作り直しを行う必要性も - 数百億の追加費用、際限も無い工期延長の恐れ
建造中の巨大原子力発電所、計画放棄の方が『合理的選択』である可能性も浮上

デイヴィッド・ジョリィ、スタンリー・リード(パリ) / ニューヨークタイムズ 5月7日

フラマンヴィル(建設中)
フランスの原子力産業界にとってさらに悪いニュースが、つい最近明らかになりました。
4月7日、フランスの原子力監査機関(Autorité de Sû reté Nuclé)は、アレバ社がフラマンヴィルで建造中の原子炉の圧力容器と格納容器の上部と底部の蓋に使われている鋼材に、欠陥が確認されたと発表したのです。

原子力監査機関のピエール-フランク・アプス総裁はこの欠陥が「深刻である」「場合によっては致命的である」と語りました。

原子炉圧力容器と格納容器は原子力発電所の主要な設備です。
圧力容器と格納容器は、内部で起きる核分裂反応によって発生する高熱、圧力、そして放射線を閉じ込めるためのものです。
フラマンヴィル原子力発電所の重要設備で使われている鋼材は、フランス、ル・クルーゾにあるアレバ社の製鋼工場でつくられたものです。
アレバ社自身の成分分析の結果、大量の炭素が含有されていることが明らかになりましたが、炭素は不純物であり鋼材の剛性を損なう結果につながる可能性があります。

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同じ製鋼工場で同じ工程によって生産された鋼材が、現在中国山東省でEDFと中国広東核電集団が共同で建設中の泰山原子力発電所でも使われています。
一方、フィンランドのオルキルオト原子力発電所建設で使われている部品の鋼材は日本製です。
フィンランドの原子力発電所運営企業であるTVOのスポークスマンは、この鋼材は必要とされる工業規格をすべてクリアしていると語っています。

EDFはこの記事のための取材を拒否しましたが、4月20日、声明を発表し、フランスの原子力監査機関の決定に対し、争う姿勢を明らかにしました。
「フラマンヴィル原子力発電所の原子炉3号機に使われている鋼材の製造過程は、フランスが定める原子炉製造規格の必要条件に適合しています。」

EDFはフラマンヴィル原子力発電所で使われている各部品が、定められた工業規格に準拠したものであることを証明するため、新たに試験を行う予定であるとの発表を行いました。

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セゴレーヌ・ロワイヤル・エコロジー・持続可能開発・エネルギー大臣は、試験を行うのであれば10月中に完了しなければならないと語りましたが、フランス原子力監査機関の審査がいつ終了するかについては明確にしませんでした。
最悪の場合、フラマンヴィル原子力発電所と泰山原子力発電所の原子炉は、一度分解する必要があると専門家が指摘しました。
その場合、原子力発電所建設は部品を再鋳造するところからやり直すことになり、それぞれ数億ユーロの追加費用、そしてさらなる工事の遅れを発生させることになる可能性があります。

この場合、フラマンヴィル原子力発電所と泰山原子力発電所の建設については、計画を放棄する方が経済的に見て合理的選択である可能性が高い、複数の専門家がこう指摘しました。

原子力産業界において苦境に立たされているのはフランスの会社だけではありません。
長年この世界のリーダーとして君臨し、今やアメリカの老舗ウェスティングハウス社も傘下に収めた日本の巨大企業、東芝もまたその最新世代の原子炉建設に伴う高額な費用と様々な問題に遭遇しています。

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一例としてジョージア州のオーガスタ近くで、ウェスティングハウス製の新型原子炉を建設している発電企業のサウザンカンパニー社は今年始め、施設の完成が18ヵ月遅れる見込みであることを公表し、7億2,000万ドル(約880億円)の追加費用を計上しました。
この事態は他の電力会社に対し、新たな問題の発生を告げることになりました。

中国では22基の原子炉が稼働中ですが、現在国内最大級の原子力発電所の建設を行っています。

しかし中国企業は原子炉の輸出に進出し始めたところで、パキスタンにおいて現在建設を行い、アルゼンチンと建設準備の話し合いを行っている段階です。

そしてロシアも原子力発電設備の長い海外の顧客リストを持っており、そこにはインド、トルコ、フィンランドなどの国名が並んでいます。
しかし現在ロシアに対してはウクライナ問題について経済制裁が加えられており、西側世界からの融資が受けられなければ、これらの国々での原子力発電所建設のための費用負担には耐えられないだろうと、西側の専門家が分析しています。

インディアン・ポイント原子力発電所
しかし独立した立場のエネルギー問題の専門家であり、長年フランスの原子力産業界を監視・批判してきたイーブ・マリニャック氏の見解では、フランスの原子力産業もまた、深刻な信用上の問題を抱えています。

結論は出ていませんが、アレバとEDFはなぜフランス原子力監査機関による検証が終わっていないのに、原子炉の蓋を溶接し、さらには配線まで完了させてしまったのかという問題が残っています。
もし両社がこうした欠陥を見落としていたという事であれば、品質管理についてアレバとEDFにはその能力に重大な欠陥があると言わなければなりません。
あるいは両社は、欠陥を指摘される前に原子炉を組み上げてしまい、既成事実化しようとしていたのかもしれません。」
「そこには安全上の問題があるか…」
マリニャック氏が最後にこう語りました。
「あるいはもっと深刻な、果たしてアレバとEDFを信用してよいのかどうか?という問題が残ります。」

※この記事はパリのデイヴィッド・ジョリィ、ロンドンのスタンレー・リードの取材により、共同編集されたものです。

〈 完 〉

 

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