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【 私たちは今、どのような歴史の目撃者になろうとしているのか? 】《前編》

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所要時間 約 8分

天皇制の将来について懸念を深め、混乱のない皇位継承を望んでおられる明仁天皇
平和と国民の幸福の実現を願い、誠実に公務をこなして来られた明仁天皇

 

加藤 典洋 / ニューヨークタイムズ(公募論説) 8月16日

 

明仁天皇退位
8月は日本の近代史において、毎年厳粛な気持ちになる月でもあります。
私たちがまず思い浮かべるのは、8月は広島と長崎が2度に渡る原爆投下により、徹底的な破壊を受けた月であるという事です。
そして第二次世界大戦(太平洋戦争)において降服した月であるという事です。

そして現在、私たちは記録された歴史に接しているだけでなく、歴史の目撃者になろうとしているということに気づきました。
日本は明仁天皇の『退位したい』という意思をほのめかすビデオ・メッセージに揺れ動くことになったのです。

明仁天皇は『退位』という表現は使われませんでした。
そして自ら提案する天皇として現役の活動から退くという変化について、既存の秩序の中での範囲内に留まるものであるという印象を努めて形作ろうとされていました。
明仁天皇は長い旅程をこなすなどして各種の公式行事を執り行うには、自分はすでに高齢に過ぎるのだという事実を示されようとしていました。
一方で明仁天皇は、高齢を理由に国民の象徴としての天皇の公式行事を減らしていくことは、それぞれの行事の重要性を考えるとき、採るべき方法ではないとも示唆されていたように感じられました。

追悼式典2015
メッセージの中身が曖昧であったことは、意図的なものでした。
どのような理由があっても、日本の憲法は天皇が政治と関わることを一切禁止しています。
天皇の生前の退位については法制度の変更が必要な以上、その要望を述べることは明らかに政治的な行為です。

しかし明仁天皇が日本国民ひとりひとりに直接語りかけることにより、その意図するところを伝えるという方法はある種の衝撃を日本全体に与えましたが、そうした効果は事前に計算されたものであったように思われます。

天皇自身が自らの考え方を表明するという、言ってみれば政府の頭越しに国民に直接語りかけるという方法が採られたのは、1945年以降初めてであり、1945年8月明仁天皇の父裕仁天皇がラジオ放送を通し、第二次世界大戦(太平洋戦争)において日本が連合国に無条件降伏を受諾する旨を伝えて以来のことになりました。

この前例のない明仁天皇の国民への直接の呼びかけは、ひとつの疑問を提起することになります。
『なぜ、今?』

明仁天皇
疑いなく言えることのひとつは、明仁天皇が自らの人生の終焉が近づいている今、天皇制の将来について懸念を深めているという事です。
明仁天皇が即位されたのは1989年、父である裕仁天皇が健康を害っていることについて国内のメディアが何カ月もの間激しい報道合戦を繰り広げた後のことでした。
明仁天皇はこのような事態が再び起きることになれば、日本社会の機能がマヒしてしまう恐れがあると語りました。

 

新たに天皇の座に就いた時、明仁天皇はまだ喪に服していました。
「非常に強い重圧」、明仁天皇は将来天皇の座に就く人々はこうした重圧から解放されることを望むとも語られました。

かつて6世紀に女性天皇が存在したことがあるように、明仁天皇はいくつかの点において日本の天皇制においても、女性の天皇が在位できるようにすべき状況にあることをご存知であると思われます。
ご自分の退位と併せ女性天皇の誕生を可能にする制度の重要な変更について、ご自分の在位期間に実現させたいとお考えかもしれません。

皇太子
しかしこうしたことはいずれも、『なぜ、今?』という問いに対する完全な答えではありません。

日本の全国放送組織であるNHKは、明仁天皇が退位したいとの意向を明らかにされたことを7月13日に報道しました。
この発表は国会において過半数の議席を支配する与党自由民主党が、参議院議員選挙において再び野党を敗退させた後、わずか数日の後に行われました。
この選挙において自民党は連立与党の公明党とともに、憲法の改定を発議するために必要な国会の3分の2の議席を確保しました。
憲法改定はこの後、国民投票において過半数の賛成を得ることに成功すれば、実現されることになります。

〈 後篇に続く 〉

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この稿の原題は『the-emperor-and-the-prime-minister』、すなわち『天皇陛下と首相』というもので、それだけでは伝わりにくいものがあるため、本文中から原稿の意に近い日本題をつけさせていただきました。

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【 カリフォルニアで続く山林火災 】

アメリカNBCニュース 8月18日

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アメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルスの東約100キロの場所で発生しているブルーカット山林火災を鎮火させるため、700人以上の消防士が消火活動にあたっていますが、未だに火災は収まらず、これまで12,000ヘクタール以上が消失してしまいました。
8月17日カリフォルニア州ライトウッド郊外の車道脇で発生した火炎竜巻。(写真上)

8月17日カリフォルニア州キーンブルック、カージョンブルーバードでの消火活動。(写真下・以下同じ)
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8月17日カリフォルニア州キーンブルック、ライトルクリークロードの残り火。
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8月17日カリフォルニア州キーンブルック上空で消火活動をするヘリコプター。
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8月16日カリフォルニア州カージョンブルーバードでの消火活動。
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8月16日カリフォルニア州サンバーナーディノでの消火活動。
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http://www.nbcnews.com/slideshow/crews-fight-contain-california-s-blue-cut-wildfire-n632771

 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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