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【 天皇家への忠誠を誇示したい超国家主義者たちへの冷たい視線 】《前編》

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所要時間 約 7分

総力戦を展開、その挙句国民が大量に殺され、2度も核兵器攻撃を受けるなどして国土を徹底に破壊される結末への道を突き進んだ軍国主義

日本の戦争犯罪はねつ造されたものであるという印刷物を自分たちの周りにせっせと積み上げ、正体を隠して発言を続ける自称『歴史家』達

 

 

エコノミスト 2017年4月12日

 

教育勅語は1890年10月、法令等ではなく当時の明治天皇自身の言葉として交付されました。
美文調で書かれた315文字は、国民に自己の研鑽に努めた上で帝国に忠誠を誓い、家族を大切にし、そして何より日本の天皇制の存続に尽くすよう諭しています。

あらゆる教育機関で教育勅語の謄本が作られ、天皇・皇后の写真とともに奉安殿に納められて大切に扱われました。
子供たちが教育勅語を暗唱したことにより、一人一人の国民が神聖な皇位継承者とその臣民とをつなぐ『国体』という神秘的概念を形成するための基盤になりました。
このため教育勅語は必然的に、戦前の大日本帝国が天皇の名の下に軍国主義政策を推進し、総力戦を展開し、その挙句国民が大量に殺され、2度も核兵器攻撃を受けるなどして国土を徹底に破壊される結末への道を開くことになりました。

 

『国体』という言葉は、かつてヒトラーが主張した生存圏(ドイツ語:Lebensraum - レーベンスラウム)という言葉が現代のドイツにおいて使われることが稀なように、現代の日本人にとって耳に快い言葉ではありません。
教育勅語に関しては、太平洋戦争に降伏した3年後の1948年、国会によって排除と失効が確認されました。

ところが4月早々、安倍内閣は「教育勅語」について、「憲法や教育基本法に反しない形」で教材として使用を認める閣議決定をしたのです。
安倍政権の菅菅義偉官房長官は記者会見でためらいがちにではありましたが、
「教育の唯一の根本とする指導は極めて不適切だが、普遍的なことまで否定すべきではない」
と語り、安倍政権の方針に反対する人々がまるでわからずやであるかのようなコメントをしたのです。

そして予想される批判をかわそうとするかのように、安倍政権が実際の授業で教育勅語を活用するよう勧めたことは無いと語り、使うかどうかは現場の教師次第だが、憲法違反にはならないよう配慮が必要だと付け加えました。

 

しかし教育勅語の問題を持ち出したタイミングは、森友学園を巡るスキャンダルが国内で大きな論議を呼んだその直後でした。

森友学園は超国家主義者グループとも言うべき存在で、幼稚園を運営しています。

その幼稚園の様子を撮影したビデオは、現在の天皇である明仁天皇と彼の妻の皇后の写真の前でお辞儀をする幼児たちを映し出しています。

子どもたちはさらに旧大日本帝国の軍歌を歌い、大人たちに対し、中国、韓国、ロシアとの間に存在する領土問題にしっかり取り組むようお願いをした上で、反中国・反韓国のスローガンを唱えていました。

 

日本国内では、この学園と安倍首相の妻・安倍昭恵氏との関係が明るみに出て、大きなスキャンダルになっています。

昭恵夫人は森友学園が大阪に建設している小学校の名誉校長に就任することに同意しました。

昭恵夫人は名誉校長を今年2月下旬に退きましたが、スキャンダルの中身はこの森友学園が小学校の建設用地を国から異常に安い価格で払い下げられたというもので、現在調査が進められています。

1930年代初期に生まれた小説家の半藤一利氏は教育勅語をまだ暗記しており、声に出して一言一句を唱えることができます。

半藤氏は教育勅語は良い面を持っていると語ります。

親孝行を心掛け、兄弟仲睦まじく暮らし、友情をはぐくみながら生きていくことに、反対する人など世の中にいるでしょうか?

しかし一方では、天皇陛下にいつでも命を捧げられるようにしていることを、美徳として称えています。

 

これと全く逆の概念を日本に持ち込んだのが、1947年にアメリカ占領軍によって『押しつけられた』自由主義の日本国憲法です。

そして一般国民こそが主権者だという事を明確に規定しています。

日本国憲法は天皇の神格化を否定し、国家元首ではなく単に国の象徴だと規定しています。

半藤氏は教育勅語の復活について語りながらも、天皇を元首の地位に据えることについての議論ができない人々を軽蔑しています。

 

日本においては右翼と超国家主義者の区別は判然とはしていません。

東京都内の中心部の路上では、日章旗を翻し、大日本帝国がアジア各地の征服事業にいそしんでいた当時の軍歌を大音量で鳴らし続ける『街宣車』の周りで、見るからに悪そうな連中(原文ではthugs)が汗を流していました。

 

日本の戦没者を神格化している東京の靖国神社では、特攻隊の制服を身にまとった夢想家が威張るようにして歩きまわっています。

別の場所では、公には決して正体を明かそうとはしない自称『歴史家』達が、日本が関わったとされる戦争犯罪はほとんどがねつ造されたものであるという印刷物を自分たちの周りにせっせと積み上げています。

さらには歴史を書き換えてしまおうとする人間たちがケーブル・テレビ・スタジオの安っぽいセットの前に座り、史実に対する怒りを爆発させているのが現在の日本です。

 

〈 後篇に続く 〉

http://www.economist.com/news/asia/21720613-bit-problem-flag-waving-extremists-japanese-ultranationalists-devotion-emperor?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

 

 

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