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【 なぜ彼らは戦争を欲するのか?! 】《1》[GRD]

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所要時間 約 7分

広島原爆の「成功」、長崎原爆の「技術的勝利」、数十万の日本人市民を殺して人類が手に入れたものとは?
米戦略軍司令官が生涯見た中で最も無責任で、愚劣で、馬鹿げた内容のプラン、それが『核兵器戦略』
ライバルの存在を直ちに『想定外の脅威』にすり替える、乱暴で単純で、そして有害無益な考え方

ノーム・コムスキー / ガーディアン 2014年8月6日

広島09
もし知的地球外生命体が本当に存在し、地球の人類に関する歴史年表を制作することになったら、彼らは1945年8月6日に1本の線を引き、前にBNW(核兵器以前)、後ろにNWE(核兵器時代)と書きしるすことでしょう。
そして8月6日こそは、人間という奇妙な『種』が絶滅に向かってカウントダウンを始めた、その第一歩を印した不名誉な日として記録されるに違いありません。
しかし証拠が明らかにしているのは、人間という生物が生来の素質の中で最悪の部分をなぜコントロールできなかったのかという理由については、道徳水準でもなければ知的水準でも無かったという事です。

NWE(核兵器時代)の1日目は、単純な構造の原子爆弾、リトルボーイの「成功」によって祝われました。
それから4日目に、より高度な設計の原子爆弾ファットマンが長崎に投下され、「技術的勝利」を達成しました。
そしてそれから5日間、アメリカ空軍の公式記録に「壮大なフィナーレ」と記されている、延べ1,000機のB29戦略爆撃機が動員された日本本土空襲が行なわれ、著しい成果を挙げたのです。

空襲01
日本全国の都市を破壊し、何千何万の人間を殺した爆撃では、爆弾と一緒に日本国民向けのリーフレットも投下され、そこには『日本降伏』と書かれていました。
そして最後のB29の部隊が基地に帰還する以前に、トルーマン大統領は日本の降伏を発表したのです。

これらの日々はNWE(核兵器時代)が幕を開けたことを華々しく宣伝することになりました。
それから70年が経った今、私たちはよくもこの世界が核兵器によって滅亡しなかったものだと、驚きとともに思わざるを得ません。

そして今私たちに出来ることは、あと何年人類は無事でいられるのだろうかと考えることだけです。

こうした核兵器がもたらす身の毛のよだつような未来に関する感想について述べたのは、核兵器の管理と核兵器戦略を担当するアメリカ戦略軍(USSTRATCOM)の初代司令官であるリー・バトラー空軍大将です。
20年前同将軍は人類がNWE(核兵器時代)を生き残ってきたことについて、次のように記しました。
「ここまでは兵器を使う事がどういう結果をもたらすか、その事に対する経験と知恵、そして若干の運、さらには神が配慮してくださったことにより、人類は滅亡を免れることができました。しかし今後の事は解りません。むしろ私は悪い結果が起きる可能性の方を疑っています。」

広島16
核兵器戦略を立案して、核兵器を効果的に使うことが出来るように軍の編成を行ってきた長い経験を振り返り、バトラー将軍は自分自身について悲嘆を込め次のように表現しました。
「核兵器の有効性を信じて疑わない、この世でもっとも貪欲な人間たちの中に私も居座り続けてきたのです。」

一方でバトラー将軍は次のように続けました。
「自分にとってこれ以上ない程の信念をもって、世界の注意を喚起すること。すなわち核兵器を持つことによって、自分たちの精神が完全に病んでしまうということを証言する事」が私にとっては非常な重荷であるということに気がつきました。

彼はここう尋ねました。
「いったいどうすれば、地球上の生物たちが命をつないでいくことを不可能にする権限など、誰も持つべきではないという事を、核兵器を実際に保有する国家の指導者たちに解らせることができるでしょうか?」
「そして最も緊急性が高い問題は、核兵器の使用というこれ以上ない程危険で愚かな選択をするためのスイッチの脇に、なぜ今この瞬間も震えながら立っていなければならないのか、という点にあります。私たちはそんな愚かな選択をしないようにするためにこそ、団結すべきではないのでしょうか?」

広島04
バトラー将軍は1960年代の米国の戦略プラン、オートメーション化された共産主義各国一斉攻撃計画について次のように語りました。
「私がこれまでの人生において目にした中で、最もばかげた無責任な文書…」
中でもソビエト連邦に関する部分は正気の沙汰ではありませんでした。

競争者がいることを心に留めておくことは大切ですが、そこに自分たちの生存を許さなくする想定外の脅威があるというような単純な考え方は止めた方が賢明です。

-《2》へ続く -

http://www.theguardian.com/commentisfree/2014/aug/06/hiroshima-day-nuclear-weapons-cold-war-usa-bomb
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この稿を翻訳していた日の朝、娘が飼っていた小鳥が死にました。
動物に詳しい妻によると文鳥としては長命した方だとのことですが、いくら定命とはいっても命が失われるというのは悲しいものです。
自宅の庭の小鳥たちがよく集まる木の根元に、遺骸を埋めることにしました。
人間の遺伝子には『50歳を過ぎたら死んでいい』という情報が書き込まれているそうですが、幸いにその定命を超えた自分は、人間としての春夏秋冬をすべて経験したことになるようです。

人の親となって改めて思う事があります。
第二次世界大戦(太平洋戦争)中、戦場に20代の自分の子供たちを送り出した人々の心中、そして戦場で人間としての春夏秋冬を全うする事無く殺されて行った人々の無念さです。
今回の稿には「世界の終り」という言葉が出てきますが、人生というものが再生できないものである以上、死というものは一人一人の人間にとっての「世界の終り」であるはずです。
だからこそ、ひとり一人の命、人生というものは尊いはずなのですが、戦争はその尊いはずの人生をためらいもなく何百万という単位で、しかも残忍な方法で台無しにしていきます。
その多くが人生の春夏秋冬を経験する事無く、この地球上から『消されて』しまうのです。

この稿はいつか機会があったら翻訳・ご紹介しようと思っていたものですが、今の国会でまるで「他国で戦争するなら構わんじゃないか」と言っているかのような乱暴な話が進んでいるのを見て、掲載を思い立ったものです。

 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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