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【 再び日本の国際的評価を低下させた、戦時記録を改変するアベネシア 】《後篇》

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所要時間 約 8分

「誤った国家政策」、「独善的な国家主義」、「植民地支配」と「侵略行為」を明確に批判した村山元首相
予想を超えて後退した、安倍首相の従軍慰安婦問題に対する政治姿勢、人身売買ブローカーへの責任転嫁
安倍政権の歴史の歪曲を問題として取り上げると、日本政府から嫌がらせを受けることを暴露した外国の報道機関

ジェフ・キングストン / アメリカCNNニュース 5月1日

安部米国議会
『自虐史観』

日本国内では安倍首相に対し、1995年の村山声明の中にあったきわめて率直な謝罪と戦争責任のはっきりとした認識という表現を、そのまま用いるようにとの明確な圧力が多方面からかかっていました。
日本政府に近い読売新聞でさえ、安倍首相にそうすることを求めていました。

村山首相は「誤った国家政策」、「独善的な国家主義」、「植民地支配」と「侵略行為」を明確に批判しました。
しかし安倍首相は日本の第二次世界大戦(太平洋戦争)中の日本の行為についてのこうした見方を『自虐史観』だとして攻撃し、日本人にこうした見解を捨てさせるために政治家としての人生を捧げてきました。
次の発言は宿命的なものと言えるかもしれません。
「歴史とは厳しいものです。一度起きてしまったものは、取り返しがつきません。」

さて、自明のことですが、安倍首相は一切謝罪を行うつもりはないという事ではありません。
しかし安倍首相の悔恨と謝罪に対する姿勢、そして歴史とは厳しいものだという発言の向こうに透けて見える打算は、日本をして極東アジア地区における孤立へと追い込んでいます。

DW Finding the right words
中国と韓国が歴史問題というカードを切って、日本を挟み撃ちにしているという安部首相の見解は的を得ています。
しかし中国と韓国に攻撃のための材料を提供したのは、日本自身です。

旧日本軍がアジア諸国の女性たちを性的奴隷として使役した従軍慰安婦問題について、問題の存在自体を否定する安倍首相のこれまでの発言記録を紐(ひも)解けば、自ら進んで率直に謝罪する、あるいは旧大日本帝国が国家ぐるみ関わっていたことを認めることはもとより期待できませんでした。
しかし今回の演説においては、その姿勢は予想よりもさらに後退したものでした。

「武力紛争は、常に女性を最も苦しませてきました。私たちの時代に、女性があらゆる人権侵害から解放される社会を実現させなければなりません。」

従軍慰安婦問題に対する安倍首相のこの誠意の無い馬鹿にしたような態度は、日本と日本人の尊厳を傷つけるとともに、戦争被害に対する日本人の謙虚な反省も失われつつあることを世界に伝えることになりました。

反韓国
最近の会見で安倍首相は1993年の河野声明を支持すると発言しましたが、実際には無視してきました。
安倍首相率いる自民党のメンバーたちは河野談話に対する不満と疑問を表明し、その主張に同調するよう高圧的な議論を繰り広げてきました。

その取り組みが最も効果を発揮したのが教育現場でした。
安倍首相が鼓吹する愛国教育のスローガンの下、教科書出版社へ圧力がかけられ、中学校の教科書からは従軍慰安婦に関する記述が削除されることになりました。
河野談話は実質的に反古になったのです。

従軍慰安婦問題について唯一記述した科書に対して日本政府は、元従軍慰安婦の証言の削除と問題の存在に関する証拠は不十分であるとする断り書きを挿入するよう要求しました。

『従軍慰安婦』

こうした姿勢に対する批判に対し、安倍首相は従軍慰安婦問題を人身売買問題へ転換させようとしています。

従軍慰安婦規定
これは大日本帝国が国家ぐるみで従軍慰安婦システムに関わっていた責任を曖昧にし、この問題は21世紀において世界が共通して懸念している人身売買問題と変わらないのだという視点を与えるための言語的策略です。
従軍慰安婦問題について、朝鮮半島で暗躍した人身売買ブローカーの存在をことさら強調することは、当時の大日本帝国の軍隊と政府組織から責任を転嫁することが目的です。

日本国内において歴史を書き換えようとしている人間たちは、韓国朝鮮のブローカーにすべての責任を追わせようとしていますが、この連中は日本軍の当局の命ずるがまま行動していました。
そして軍当局の官僚たちは、女性たちが虐待を受け、一度従軍慰安婦にされてしまったら二度とその境遇から自力で抜け出すことはできないことを知っていたのです。

安倍首相は演説において、民主主義と自由の価値観をアメリカ議会の議員たちと共有していると語りました。
安倍首相はこれまで、従軍慰安婦問題に関する報道を行った朝日新聞に対する多方面からの組織的攻撃の指揮をとり、さらにはNHKの経営陣に自らの陣営から人間を送り込み、従来の経営陣に対し批判的態度をとればその職を奪うと圧力をかけた事実に鑑み、その考えを改めたとすれば歓迎すべき変化です。

古賀氏 2
事実、ニューヨークタイムズは4月26日付で、チーム安部が安倍政権の批判を繰り返してきたテレビ番組解説者の解雇に関与したとする記事を掲載しました( http://kobajun.biz/?p=23139 )。

外国の報道機関は安倍政権の歴史の歪曲を問題として取り上げると、日本政府から嫌がらせを受けることを暴露しました。
さらには日本政府の行き方に従おうとしないジャーナリストが、その名誉を傷つけられるというやり方で個人攻撃を受けているとも伝えています。
これに加え、ジャーナリストは安倍政権に批判的な特定の個人のインタビューを行なわないよう命令されました。

ジャーナリストはこうしたやり方が日本政府のメディア対策を専門に担当する部門が、これまでもしばしば用いてきた手法だと認めていますが、安倍政権が行なっているものは、手口の陰険さにおいてこれまでで最もひどいと語っています。

安倍首相は日米の同盟関係を強化すべきだという見解を持つ米国議員から、とりわけ大きな拍手を得ました。
しかし実際に自分たちの土地に多くの米軍基地を抱え、分不相応な重い負担を強いられている沖縄県民も、同じ思いでいる訳ではありません。

沖縄基地反対
日本国内の米軍基地の約75%が沖縄に集中しており、沖縄県の土地の約20%が米軍基地で占められています。
これまでの選挙で、そして世論調査において、沖縄県民は現状に反対であることを声に出しました。
2014年11月、沖縄県民は本島の北部の大浦湾に新しい米空軍基地建設に反対する知事を選びました。

かつては人気があった当時の現職の知事は、基地建設にゴーサインを出したため職を追われることになりました。

太平洋をはさむ日米両政府の官僚たちは、同地域の安全保障のためのアメリカの軍事負担を減らす計画の一環として、繰り返し基地建設への支持を表明しています。
しかしこの方針について沖縄県民は、自分たちの民主主義的権利への明らかな侵害ととらえ、断固として反対の立場を鮮明にしています。

〈 完 〉
http://edition.cnn.com/2015/04/30/opinions/japan-abe-united-states-kingston/index.html

 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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