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【 借金のかたに、売られていく少女たち 】

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所要時間 約 11分

サミュエル・バーク / アメリカCNNニュース 1月25日

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その母親は自分の娘の顔を、まっすぐ見ることすらできませんでした。
そしてうなだれ、恥ずかしさに身を縮めながら、なぜ娘を麻薬組織に差し出さなければならなくなったのか話し始めました。

多くのアフガニスタンの農民たちがそうするように、少女の父親もまたアヘンの栽培をするために麻薬密売人から金を借りました。
しかしアフガニスタン駐在の多国籍軍部隊、そしてアフガン政府は麻薬栽培の根絶に取り組んでいます。
そして少女の父親が栽培したケシの実も、彼らによってすべて破却処分されたのです。
少女の父親は借金を返すあてが無くなってしまいました。

麻薬組織は返済を迫り、返せないと解ると父親を引き立てて行ってしまいました。

「私は夫を解放するために、娘を差し出さなければならないのです。」
少女の傍らで、母親はこう説明しました。
少女はどう見ても6歳以上には見えません。

ヘロインの精製前の状態であるアヘン、その90パーセントはアフガニスタンで作られています。
原料となるケシの栽培はこの地にあっては割の良い商売だったのです。

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世界の世論の圧力の前にアフガニスタン政府はケシの違法栽培の取り締まりに乗り出し、違法に栽培されたケシを片っ端から破却して行きました。
その結果この少女の場合のように、借金のかたに娘を差し出すという悲惨な状況が無数に生み出されることになったのです。

「奴らはタリバンよりもずっと強力な上に、血も涙も無い連中なのです。」
子供2人を連れ去られてしまった父親が、アフガニスタンの麻薬組織について語りました。

捕えられている娘の姿の上に脅迫文が書きこまれた写真が送りつけられ、彼は麻薬組織から電話で20,000ドルの支払いを要求されました。

繰り返される悲劇はアメリカのテレビ局PBSのドキュメンタリー番組『フロントライン』で、『アヘンの花嫁たち』というタイトルの番組としてまとめられ、数々の賞を受賞しました。
取材を行ったのはアフガニスタンのナジブラ・クライシ、プロデューサーはアメリカのジェイミー・ドランです。

家族が取り戻すことをあきらめると、少女たちはパキスタンやイランなど国外に連れ出され、そこで麻薬の運び屋として使われるか、性的奴隷にさせられるケースが多い、クライシがCNNのクリスティン・アンマプアーにそう語りました。

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PBSの番組は、もう一人の不運なアフガニスタンの農民の物語を描き出します。
「それが現実だとは、とても思えないような悲惨な話でした。」
番組の制作者であるジェイミー・ドランが、CNNの番組の中でこう語りました。
「この農民は麻薬組織に借金を返済することが出来ませんでしたが、娘を引き渡すことを拒否しました。そのあと私たちは、折り畳みナイフで首を切られた彼の姿を、フィルムに収めることになりました。娘の引き渡しを拒否すれば、こうした形で報復を受けることを覚悟しなければなりません。」

番組制作者によれば、アフガニスタン政府は取締りによって農民たちの命が危険にさらされていることを知ってはいますが、アヘンの違法栽培の取り締まりと農民たちの保護を両立させるための方法を見つけ出せずにいます。

一人の少女が幸運にも麻薬組織の手から逃れることが出来ました。
その時どれだけ辛い思いをしたか、私たちに話してくれました。
「彼らは、私に着替えることを許しませんでした。着ているものを選択するための石鹸も与えようとはしませんでした。しまいには着ているものが、みなボロボロになってしまいました。奴らは私にありとあらゆる虐待を加えました。もう2度と奴らの下には、連れて行かれたくありません。」

たとえ少女たちが逃げ出すことに成功したとしても、家族の居場所がわかるまでは隠れる場所がありません。番組制作者たちは、彼女たちの逃走ルートの途中にかくまってくれる場所を見つけましたが、30人も入ればすぐに満杯になるような場所でした。

麻薬組織から逃走した少女たちは、数千人とまではいかないまでも、数百人はいるものと番組制作者たちは考えています。

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「こうした状況の中、NATOと国連の役割は微妙なものです。」
番組制作者のドランが語りました。
「国連とNATO国際治安支援部隊は、農民たちの困窮の直接の原因を作っている訳では無いし、ケシの違法栽培の取り締まりを直接行っているわけでもありません。しかし、アフガニスタン政府の警察が取り締まることができるのは、国連やNATO軍が警備してくれるからなのです。

国連やNATO軍は「自分たちはこの問題には無関係だ。」と話していますが、農民の保護をしないまま取締りだけをする警察は、NATO軍の保護なしでは何もできないのです。

一方でドランは、この問題の本質は麻薬中毒患者の存在にあると語りました。
「世界中にヘロイン中毒患者がいて、彼らが常に麻薬を欲しがっているために、アフガニスタンの農民たちは違法なケシの栽培に手を出すのです。この問題の根本的な解決方法など、私にはわかりません。アフガニスタン政府だけが、責められるべきでもないと思います。」
「世界中の人間が、もっとよく考えなければならない問題だとおもいます。」
クアイシがこう語りました。

眼前に迫っている問題、それは多国籍軍が2014年にこの地を去ってしまったら、この恐ろしい状況がなお一層悪化する可能性があるという事です。

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言葉も無いとはこの事です。
貧困の問題というものが、負の連鎖を生むという事のひとつの象徴的な出来ごとです。

こうした問題は「介入」や「援助」で簡単に解決できるものではありません。
金を撒いても、「悪い奴ら」を武器で追っ払っても、そこに深刻な貧困がある限り問題は次々生まれてきます。

子供たちに地道に教育を施し、地域の産業をじっくり腰を据えて育てていかなければ貧困は無くなりません。
下のイラクの場合は、世界4大文明発祥の地のひとつであり、もともと教育水準も高い上、石油資源にも恵まれ、宗教対立さえ緩和できればさらなる繁栄も可能です。
しかしアフガニスタンはそうはいきません。

真の「国際貢献」とは何なのか、私たちは考える必要があると思います。

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【 おしゃれ、外出、飲み明かす夜。甦るバグダッドの社会生活 】

アメリカNBCニュース 2月20日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

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AFP通信社のカメラマン、パトリック・バズは国際社会から制裁を受けていた1998年以来、イラクを報道し続けて来ました。
そして2003年、アメリカが始めた湾岸戦争以降も、打ち続く暴力の日々について報道を続けました。

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そして今月、久しぶりにバグダッドを訪れたパトリックは、そのブログに以下のように綴りました。
「かつてほどではありませんが、いつまた爆発や暴力が再燃するか解らない状況の中、バグダッドの人々がどのように仕事をし、楽しみを見つけながら、普通の暮らしを取り戻そうと努力しているか、その様子を撮影しようと思いました。」

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「私は、2009年以来、バグダッドを訪れていませんでした。しかし乗っていた旅客機が着陸する前から、町の様子がすっかり変わったことに気がつきました。ほぼ10年近く、バグダッドに着陸する飛行機は、ミサイル・ランチャーの攻撃を避けるため、そしていつでも再上昇できるように、らせんを描きながら着陸態勢に入ったものです。
しかしこの日私が乗ったベイルート発の旅客機は、通常のアプローチで着陸態勢に入りました。」

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「以前繰り返し訪れたこの街には、笑いというものがありませんでした。今回驚いたのはその変化でした。2013年のバグダッドは以前とは全く異なる場所でした。そう、どこかに危険が潜んでいる、そんな気配も確かに感じます。しかし街のあちこちから笑い声が聞こえ、人々の微笑みを見ることが出来ます。
バグダッドっ子はショッピングにも、外食にも、そしてパーティにも出かけるようになりました。

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街中にアメリカの文化やファッションが流れ込み、ファストフードの店が軒を連ねてはいても、そこに感じるものはやはり変化そのものです。
最初の感じるものは金銭的に豊かになった事。
高級な装身具やアクセサリー、高級乗用車も至る所で見かけます。
私は、ポルシェがバグダッドの通りを流しているのを見かけるとは思ってもいませんでした。

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しかし一番変わったことはそうした目に見えるものではありません。
都市の中に流れている空気です。

いま、人々はずっとくつろいでいます。
どこへ出かけても私が必ず行く場所、バー、レストラン、キャバレー、真夜中でも行けるようになっていました。
午前1時から5時までは外出禁止令が敷かれますが、人々は代々午後9時ごろから飲み始め、午前零時を回る頃には、自宅に戻っています。
しかし宵っ張りは一晩中飲み続けた挙句、午前5時ごろに家路につくのです。

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2009年、この街は世界で最も危険な場所でした。海外の報道関係者も、武装したボディガードなしで外出することはできませんでした。

 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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