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終わっていない悲劇、終わらない苦しみ【 事故から2年、ついに始まった史上最大の廃炉作業 】

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所要時間 約 13分

作業は4号機から / 1~3号機の廃炉の着手は2021年 / 「全世界に向け」謝罪する東京電力

ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国) 3月6日

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発電所内に立ち入ることの危険性についてはまだ未解明ですが、10兆円の経費、最低でも40年の月日を要する福島第一原発の廃炉作業がついに開始されました。

昨年一年間で、福島第一原子力発電所周辺の放棄された市町村の放射線量は、40%に減少しました。
現在発電所内では、原子炉を冷却するために用いられた汚染水から、危険な汚染物質を取り除くための最新の装置を稼働させるべく、全力を挙げています。
そしてもうすぐ、これ以上汚染水が太平洋に流れ込まないようにするための銅製の防護壁が、海中に建設されることになっています。

巨大な津波が福島第一原発を襲い、すべての電源が失われこの四半世紀で最悪の原子力発電所事故が発生してからもうすぐ2年になろうとしています。
福島第一原子力発電所が引き起こした巨大事故、その最も危険な時期は過ぎました。

ちょうど1年前、ザ・ガーディアンの取材スタッフが福島第一原発を訪れて以来、様々な部分で事態は進展しましたが、最も大がかりな、そして最も困難な本格的な廃炉作業にはなかなか踏み込めない状況が続いていました。
それが今、やっと開始されたのです。

かつて床に散乱していたパイプ類、ケーブル類、そして各種工具類などは、現在は発電所内で機能する一連の複雑な仕組みのそれぞれの部分として機能しています。
しかし一方では各原子炉から溶け出し、基礎部分深くまでもぐりこんでしまっている核燃料をどうすれば取り出すことが出来るのか、専門家が検討を重ねていますが、その方法を見つけ出せずにいます。

メルトダウンと水素爆発によって徹底的に破壊された3基の原子炉が、『冷温停止』の用語で知られる安定状態に達したと宣言されたのは、20,000人近い犠牲者を生んだ津波が東北の太平洋岸を襲ってから、9カ月後の事でした。

福島第一原発の事故のため自宅を捨てることを強いられた避難民の人々に対する巨額の補償、そして除染のための莫大な費用に加え、さらに最低でも10兆円はかかるとされる廃炉作業を、今日本は始めようとしています。

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現在の福島第一原発の所長である高橋毅氏が、廃炉作業について30~40年かかる可能性がある事を認めました。

「たとえまだ難しい局面にあるとしても、私たちは何とかして廃炉作業を前に進めていく覚悟です。」
高橋所長は6日水曜日、現場を訪れた少人数の海外の記者団にこう語りました。
「特にメルトダウンしてしまった3基の原子炉については、廃炉の作業を完了するまでには最長の時間がかかるでしょう。しかし3基の原子炉を安定した状態に保つため、私たちは最善を尽くします。」

廃炉作業は原子炉4号機から開始されます。
4号機は津波が襲った際停止中で、炉心にあった燃料棒は外に取り出され、原子炉建屋内の使用済み核燃料プール内に収容されていたため、水素爆発による原子炉建屋の損傷はひどいものの、津波そのものによる被害は無く、無傷のまま残っていると考えられます。
東京電力は今年度末までには、4号機建屋の使用済み核燃料プールから、燃料棒を12本ずつ詰めた核燃料容器の取り出しを行い、原子炉建屋に隣接して建設する新たな使用済み核燃料プールに移し変える作業を開始するとしています。
しかし取り出した核燃料容器から燃料棒を一本ずつ取り出し、加工の上、より安全な状態であるドライキャスクの形で、高所に設けられる専用の建物に収納を終えるまでには、尚4年以上の歳月を要します。

最終的には新旧併せて約11,000本の核燃料棒を、損傷のひどい7か所の使用済み核燃料プールから取り出す必要があります。
一方、1号機から3号機の、メルトダウンしてしまった核燃料の取り出し・除去作業は2021年まで着手されません。
これらの作業すべてが完了するのは、40年後になるものと見られています。

東京電力と契約して各種作業を担当する企業の管理職クラスの社員たちは、自社の作業員たちが常に放射線障害の危険と隣り合わせに居るにもかかわらず、口をそろえてこう語ります。
建設から40年が過ぎた福島第一原発の廃炉について、工程を予定通りこなすことは可能だと。

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福島第一原発内で最も危険な作業を担当することになると見られているのが、小林広重さんとそのチームです。
株式会社鹿島の社員である小林さんは、原子炉3号機周辺に散乱するがれきや残骸、破片の撤去作業を請け負っています。
この場所は施設内のどの場所よりも、著しく放射線量が高い場所なのです。

最近東京電力が、メルトダウンを起こさなかった原子炉4号機に隣り合う場所、海側の地点の放射線量を計測しましたが、その値は一時間当たり172マイクロシーベルトでした。
しかし3号機の海側の地点の放射線量は1,710マイクロシーベルトでした。
日本原子力研究開発機構のデータを使って比較してみると、一回の胸部レントゲン検査での被ばく線量は50マイクロシーベルト、東京、ニューヨーク間の往復でのフライトでの被ばく線量は200マイクロシーベルトです。

―世界保健機構(WHO)は先週、福島第一原発の放射線量の高い場所で働く危険性について、作業員の3分の1がこれから一生の間に甲状腺ガン、白血病、そしてあらゆる種類のガンを発症する確率が高まる危険に直面していると警告しました。

小林さんはWHOの報告についてコメントするのを控えましたが、労働者が放射線レベルの高い場所で連続して働かなければならないことから、前例のない危険に直面しなければならない事を認めました。
「原子炉3号機の放射線レベルが非常に高いことは事実です。そのため私たちはできるだけ遠隔操作技術を用いて対処するつもりです。そのため、可能な限り原子炉から離れた場所にとどまるようにしています。」

2011年10月、600万ドル(約5億6,000万円)をかけた開発したクインスという名のロボットを事故現場に送り込み、人間が入り込めない高放射線量の現場にいち早く到達することが期待されました。
しかし原子炉のひとつに入っていったロボットとの交信は絶たれてしまい、希望は空しいものとなりました。

「私たちは現在がれき処理などを行う際、GPS機能やレーザー技術など、これまでは無かった技術を使える環境にあります。」
小林さんがこう語りました。

東京電力は何とか遠隔操作カメラを原子炉格納容器の中まで入れることに成功し、圧力容器の外側の様子を確認しましたが、溶け落ちた燃料の状態までは確認することはできませんでした。
しかし除去するためには、事前に確認できなければ手の出しようがありません。

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そして原子炉1~3号機には絶えず注水を行わなければならないため、汚染水が毎日増え続け、東京電力にとって極めて厄介な問題になっています
現在は敷地内に次々巨大なタンクを建設してしのいでいますが、もうすぐその敷地の確保ができなくなるのです。

また2011年3月以来、強い地震が度々この場所を襲っていますが、破壊されてしまった原子炉4号機建屋の強度も懸念されてきました。
この原子炉建屋の最上階にある使用済み核燃料プールには、1,500個以上の核燃料容器が収められているからです。
しかし東京電力の高橋所長は、2年前の巨大地震と同程度の地震が再び襲っても、建屋が倒壊する恐れはないと強調しました。

こうした数々の改善にも関わらず高橋所長は、福島第一原発の現状が、今回の事故によって破壊され失われたすべてのものが、再び元の姿を取り戻すまでにどれほど長い道のりを必要とするか、その事実を象徴するものとなっていることを認めました。
福島第一原発を訪れる人は、20キロの幅の、人が誰もいない、廃墟となって時間が止まったままの避難地域を通って来ることになります。

6台ほどの車が、スーパーマーケットの駐車場に乗り捨てられています。
店や飲食店も無人のまま、荒れ果てた姿をさらしています。
除染のためかつてはコメを育てていた田んぼから取り除かれた、黒い土を詰めた大きなビニールバッグが田畑を覆い尽くすように置かれています。
いつ?どこへ?処分の見通しすら立っていないのが現状です。

目に映る動くものといえば、建設資材や工作機械などを運搬するトラック、そして青色、または白色の防護服を着込んだ作業員を乗せたバスだけです。

この地を追われた数万人の避難民、『原発難民』となった人々がいつこの地に戻れるのか、否、帰還そのものは可能なのかどうか、未だに明らかではありません。

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この2年間、東京電力はずっと同じ呪文を繰り返してきました。
高橋所長も、福島第一原発の事故が引き起こした『許されざる事態』について『世界に向けて』謝罪しました。

彼もまた、他の東京電力関係者同様に廃炉の作業の進行については、楽観的見通しを口にします。
ただし、彼が置かれている立場は、それを現実にすることを求められています。

最後に彼がこう語りました。
「福島第一原発で起きたことが歴史のことコマになるまでには、長い時間がかかるでしょう。」

http://www.guardian.co.uk/environment/2013/mar/06/fukushima-nuclear-decommissioning-plant-safety?INTCMP=SRCH
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本日より世界を代表するメディアが、【3.11】2周年に向け掲載した記事をご紹介していきます。
すでにチェックした記事だけで10本を超えていますが、可能な限りすべて翻訳し、ご紹介するつもりです。
今回は長い記事が多いのがの特徴ですが、よほど長くならない限りはできるだけ1回ごとの読み切りの形で掲載したいと考えています。
また、途中、別の話題の記事を挟むかどうかはまだ決めていません。
よろしくおつきあいください。

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[お詫びとお願い]
3月11日月曜日より【世界の原発世論2012・第2巻】の販売を行う予定でしたが、決済用の口座の確認作業の遅れにより、現在決済ができなくなっており、販売を延期せざるを得なくなりました。
ご購入をご検討いただいていた皆様には大変ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。
口座更新手続きの完了まで、今しばらくお待ちくださいますよう、お願い申し上げます。

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【 300,000の人々が家を失ったまま・福島の事故から2年 】

フランス24 3月7日

3月11日月曜日、日本の東北地方太平洋岸を津波が襲い、16,000の人命を奪い、福島第一原発の事故を引き起こしてから2年目を迎えます。
何万人もの人々が津波で家を破壊され、そして福島第一原発周辺で暮らしていた人々は原発事故により避難を余儀なくされました。
それから2年の歳月が過ぎましたが、300,000もの人々が仮設住宅や避難先で不自由な暮らしを強いられたままになっています。
新たに家を建てる計画も進められていますが、完成するまでにはさらに10年の月日を要することになるでしょう。

※上段のザ・ガーディアンの記事を執筆したジャスティン・マッカリー氏が、下段のフランス24では特派員として動画の中に登場します(4:00~)。

 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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