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【 アメリカ全土に『日本叩き』の火をつけてまわるドナルド・トランプ 】《後篇》

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所要時間 約 8分

一般市民の雇用不安をかきたてるグローバリゼーション、トランプ氏独特の保護主義の格好の攻撃目標に
最終段階ではトランプ氏を支持しない、しかし日本政府の円安政策を問題視する姿勢は評価する

ジョナサン・ソブル、キース・ブラッドシャー / ニューヨークタイムズ 3月7日

トランプ01

ドナルド・トランプ氏は中国に加え、日本もまたアメリカ人の雇用機会を奪っていると攻撃の矛先を向け始めました。
スーパー・チューズデーに勝利した後、彼アメリカの建設機械メーカーであるキャタピラー社が円安誘導政策により不公正な競争を強いられ、日本のライバル会社であるコマツが不当な利益を得ていると名指しで批判しました。
彼は先に公約として掲げていた不法難民流入防止フェンスをメキシコ国境沿いに建設する際にはキャタピラー社とジョン・ディア社(米国大手建設機械メーカー)の建設機械を大いに活用すると公約しました。

グローバリゼーションは一般市民に雇用に関する不安をかきたてていますが、トランプ氏はこの状況に飛びつきました。
日本の対米輸出額はアメリカの対日輸出額の約2倍という金額です。

しかし現代社会のグローバリゼーションはトランプ氏が展開する批判において語られるような、単純な図式のものではなく、国内企業と外国企業を明確に区別することは難しいというのが現状です。
日本国内の工場に加え、小松には世界各国に生産拠点があり、油圧ポンプとモーターという基幹部品を日本から輸入し高額な設計料と技術開発費用を日本に支払ってはいるものの、アメリカ国内にも3カ所の工場があります。

Abenomics 2
キャタピラー社とジョン・ディア社の状況は似たようなものですが、製造部門はアメリカ国内と海外の両方にあります。
ただし、技術設計部門のほとんどはアメリカ合衆国に留め置いています。

しかしこうした客観的事実はさておき、トランプ氏の攻撃は、予備選挙の重要な緒戦となったミシガン、オハイオ両州で効果を発揮しました。
この2つの州はその産業構造から、海外メーカーの力が強まると直接的に不利益を被ることになります。
これらの州では自動車メーカーとその組合が大きな影響力を持っていますが、両者とも日本政府が実質的に円の切り下げ政策を行ったとして批判を強めてきました。

伝統的に民主党を支持してきた全米自動車労働組合の担当者は次のように語りました。
「最終段階ではトランプ氏を支持するつもりはありませんが、日本政府の円安政策について問題だとする姿勢は評価します。」
日本の円は2012年以降、ドルに対して約40パーセントと大幅に値下がりしましたが、今年に入りいくぶん値を上げています。
円安は、トヨタとホンダなどの日本の自動車メーカーが海外での売上を日本に持ち込む際、為替差額を利用しその額面が膨らむという効果をもたらしました。

アベノミクス01
これについて日本の政府当局は、円の値下がりは日本国内で続くデフレーションを何とか収束させようと採られている政策の副作用であり、もとより円安を狙って採られた政策ではないと主張しています。
しかし安倍首相は2012年、日本の製造業の業績の回復を目的として、円安誘導のため公然と働きかけを行いました。

「日本政府はこうしたあからさまな干渉はもうしないかもしれませんが、だからと言ってその目標とするところが変わった訳ではないのです。」
フォード社の国際政治情勢担当のスティーブンE.ビーガン副社長がこう語りました。

選挙目的でこの問題を取り上げ始めたのだとトランプ氏を批判することは当たりません。

彼は何十年もの間何度もこの問題を取り上げてきました。
「日本人はアメリカにやって来ては、車をビデオ機器を思う存分売って回る。そしてアメリカの同業社を存分に叩きのめしている。」
1988年、トランプ氏はオプラ・ウィンフリーにこう話しました。
1990年のプレイボーイ誌のインタビューでは次のように語りました。
「日本人は、まず最初に日本製の耐久消費財を大量に買わせて、アメリカ人から根こそぎ金を巻き上げる。次にその金を使ってマンハッタン全域を買い占めてしまうのだ。」

防空識別04
軍事についてトランプ氏は、締結されてから数十年が経つ日米軍事同盟の不平等について批判しています。
もし日本が他国に攻撃を受けた場合、アメリカ合衆国は支援のため軍事行動を起こさなければなりません。
しかし戦争を放棄している平和憲法を持つ日本は、逆の場合にアメリカを軍事的に援助することはできません。
この憲法は第二次世界大戦(太平洋戦争)直後のアメリカの占領下で起草公布されたものでした。

この点は安倍首相もトランプ氏同様、『対等ではない』軍事同盟の内容、すなわち日本が軍事力を行使できないことに不満を抱いています。
憲法の専門家、そして日本の多くの市民たちが反対しているにもかかわらず、彼は日本の軍隊が海外紛争などの場でもっと積極的に軍事的に『貢献』できるよう、法改正などに取り組んできました。

もしアメリカ合衆国が孤立主義の方向にかじを切れば、安倍首相のこうした姿勢への追い風が吹くことになるかもしれません。
しかしより高い視点から見れば、日本が単独で東アジア地区の勢力均衡を図るのは、明らかに難事です。
アメリカがこの場所から手を引けば、軍事的台頭を続ける中国と北朝鮮の狂信集団の存在を前に、日本の政治指導者たちは、たとえ一瞬たりとも気を抜く暇など無くなってしまいます。

日米艦船
「米国は極東アジアの安定のため、日本がもっと大きな役割を担うべきだと言い続けてきました。」
安倍首相率いる自民党の愛知治郎議員がこう語りました。
「トランプ氏はその点についてこれまでにない程極端な言い方をしていますが、日本がもっと大きな負担を背負わなければなくなっていることは事実です。」

〈 完 〉

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【 シカゴでぶつかったトランプ支持者と抗議反対グループ 】

アメリカNBCニュース 3月11日

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シカゴ市内でトランプ支持者と抗議反対するグループが衝突、『双方の安全のため』トランプ氏の支持者集会は中止されました。
トランプ氏の支持者集会の開催に抗議する人人。(写真上下・以下同じ)
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トランプ氏の支持集会が中止になったことを祝う抗議反対するグループの人々。
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http://www.nbcnews.com/slideshow/protesters-trump-supporters-clash-chicago-n537066

 

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