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【 またも汚染水漏れ、改めて問われる東京電力の事故収束能力 】

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所要時間 約 6分

その隠ぺい体質に加え、原子力発電所の運営能力、福島第一原発の事故収束・廃炉作業の遂行能力すら問われる

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 6月5日

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福島第一原発を運営する東京電力は、5日水曜日、数百基あるタンクから汚染水の漏出があったと発表しました。
相次ぐ不測の事態に、東京電力に事故収束・廃炉作業をきちんと実行できる能力があるのかどうか、改めて疑問が突き付けられることになりました。

東京電力はこれまで福島第一原発に流れ込んでいる地下水は汚染されてはいないとの立場をとっていましたが、6月4日になってその見解を覆し、放射性セシウムの存在を認める見解を明らかにしました。
今回の汚染水漏れはその翌日に発覚しました。

東京電力は漏れ出した汚染水の量は少ないことを強調し、これまでのところ1リットル程度がしたたり落ちた程度であるとしています。
そして地下水に含まれるセシウムの量も、安全基準以下にとどまっていると語りました。

しかしそもそもの始め、2011年3月に3基の原子炉をメルトダウンさせるという事故を起こした張本人である上、事故後も数々のトラブルや深刻な問題を引き起こし続けている東京電力に、きわめて複雑で困難が予想される事故収束・廃炉作業をまかせきりにするという日本政府の判断に対しては、多方面から非難が集まっています。
そして今回のトラブルが、一連の問題に加わることになりました。

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現在東京電力は福島第一原発の敷地内に貯まり続ける、数十万トンの汚染水の処理と保管に苦慮し、敷地いっぱいに鋼鉄製のタンクを建設して何とかしのいでいます。
汚染水は破壊された原子炉建屋の基礎部分に地下水が流れ込むことにより、一日当たり約400トンのペースで現在も増え続けています。

メルトダウンした原子炉は24時間途絶えることなく冷却し続けなければなりませんが、現在は臨時に間に合わせで作った冷却装置がその作業を行っています。
原子炉建屋の地下に流れ込む地下水を放置すれば、この冷却システムが破壊されてしまう可能性があるため、この汚染水を毎日取り除く作業が必要になるのです。

東京電力はトリチウム(三重水素)以外のすべての汚染物質を除去できるという水質浄化装置を設置しました。
しかしこの装置が稼働したとしても、汚染水を施設の外に排出することは許されず、汚染水は福島第一原発の敷地内で保管を続けなければならない、それ以外の選択肢は無いのです。

5日に明らかになった水漏れは、もっと深刻な事態、大量の汚染水が敷地外に漏れ出し、太平洋岸にまで達する危険がある事を明らかにしました。

今回漏出が確認されたタンクは、つい先月、地下に作られた臨時の汚染水貯蔵施設から汚染水の漏出が起きたため、汚染水を移し替えるために作られたものでした。

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膨れ上がる汚染水の問題に対する批判が強まるのを受け、日本政府は東京電力に対し、原子炉建屋の周囲の土壌を凍結させることにより、地下水が原子炉建屋の基礎部分に流れ込まないようにする対策の実施を命令しました。
この新たな手法は、地下の土壌を凍結させることにより、原子炉建屋の地下に氷の壁を巡らそうとするものです。

東京電力は当初、地下水が流れ込む前にポンプでくみ上げてそのまま海に流し、原子炉建屋の地下に流れ込む量を減少させる計画を立てていました。
しかしこの対策を実施すためには、福島第一原発の周囲に設けられた避難区域外で生活する住民と、漁業で生計を立てている人々の了承をまず取り付ける必要があります。
これらの人々は福島第一原発が放出した大量の放射性物質により生活基盤を破壊されてしまいましたが、以前の生活を取り戻すために、ここに来てやっと少しずつ前に進み始めるようになったばかりです。
東京電力はこれらの住民や漁業関係者に対し、海に放出する地下水に放射性物質は含まれておらず、これ以上海を汚染する恐れは無いとしていました。

しかしこの計画も、地下水の中には原子炉がメルトダウンした際に放出された放射性セシウムが含まれていることが、4日になって公表されたことにより最早実施が危ぶまれています。

東京電力は以前行った検査に誤りがあったことを認めた上で、今回の検査によって検出された放射性セシウムの量は1リットル当たり0.39ベクレルで、政府が飲料水について定める安全基準の1リットル当たり10ベクレルには遥かに届かない量だと主張しています。
しかし微量ではあっても今回の発表により、地下水の海への放出は即時中止、あるいは実施の延期は避けられなくなるものと見られています。

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東京電力はつい先週、地元の漁業協同組合に対し、海への放出を予定している地下水の放射性セシウムの測定結果は「検出せず」であるとの説明を行い、放出に同意するよう説得を行ったばかりでした。

しかしこうした申し入れに対し、地元の漁業関係者は東京電力のいかなる見解についても、信用も出来ず、受け入れることもできないと激しく反発していました。
それは微量ではあっても放射性セシウムが検出されたと、公表される以前の出来事でした。

 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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