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【 防空識別圏!中国、日本、そしてアメリカ…武力対決しか解決の道はないのか?! 】〈前篇〉

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所要時間 約 6分

心と体が釣り合わない大国、それが現在の中国
『サラエボの悲劇』、その二の舞になりかねない尖閣問題

エコノミスト 11月30日

防空識別04
11月23日に中国軍スポークスマンによって行われた発表は、きわめて事務的なものでした。
中国は東シナ海に防空識別圏(Air Defence Identification Zone - ADIZ)を設定、今後この空域を通過する航空機は、予め中国当局に対しその旨を申告し、中国の航空管制官からの指示に従わなければならないというものです。

アメリカは直ちに反応しました。
11月26日、バラク・オバマ大統領は、中国に事前通告を行うことなくB-52戦略爆撃機2機に、この空域を飛行させました。

この対決姿勢は1996年、当時の江沢民国家主席が台湾海峡にミサイル着弾海域の設定を宣言、これに対し米国は2隻の航空母艦を同海域に派遣、以来始まった米中双方の戦略がぶつかり合う緊張関係を、一層エスカレートさせるものとして懸念すべきものです。

たくさんの国々が防空識別圏を設定しており、各国はそこを通過する航空機に対し、自らの所属を明らかにするよう求めています。
しかし通常は他国の防空識別圏の上に、自国の防空識別圏を設定する例はありません。

しかし今回中国が設定した防空識別圏は、日本の防空識別圏と重なり合っています。
そして日本が実効支配し、自国の領土であるとする尖閣諸島(中国側呼称 : 大釣島)と韓国最南端の岩礁を含んでいます。
この一連の動きは中国がその主張を強め始めたことを意味しています。
これに対し日本・韓国は中国に事前通告する事無く、航空機による域内の飛行を行いました。

▽ 体はおとな、心は子ども?

防空識別03
経済の発展は中国に対し、より積極的な自己主張を促すことになりました。
その事自体に問題はありません、成長のパワーが常に国際的慣習の範囲の中に留まり続けるのであれば…
しかし防空識別圏に関する中国の行動はその範囲を逸脱しています。
60年以上に渡り東アジア地区の海と空の自由な航行を保証してきたアメリカの反応が、その事を明白にしました。
中国の動きが懸念されるその理由の一つに、その行動原理となっている中国の考え方があります。

10代に入って急速に体が成長したティーンエイジャーが、自らの身体能力がいつの間にか大きくなっていることに気づかないように、中国も自らの行動が国際社会にどう影響するか充分に理解していない可能性があります。
アメリカの爆撃機2機が設定したばかりの防空識別圏を飛行したことは、急成長した大国としての自信にあふれている中国にとっては、きまりの悪い恰好がつかないものとなりました。

しかしティーンエイジャーというものは、自分の行動が気づかぬうちに大きなトラブルになる、その事を往々にして理解していません。
結果として中国は近隣諸国、そしてアメリカとの間で、今後数十年間に渡り戦争の原因となる材料を自らおぜん立てしてしまったのです。

もし中国の挑発が周到に準備されたものであったら、国際社会の懸念はもっと重大なものになります。

習近平
新しい国家主席、習近平氏の『チャイニーズ・ドリーム』、それは中国の経済改革と高揚する国家主義です。
防空識別圏設定の公表は、党大会において習近平氏が一連の国内改革策を誇らしげに発表したその直後に行われました。

防空識別圏という考え方は、中国国内で強大な力を蓄える国家主義者の集団、特に軍隊内で急進的立場をとる人間たちに歓迎されます。
そして中国共産党の指導者であるべきなのに、内実は西洋的なリベラリストであるという攻撃から習氏の身を守る事にもなります。

防空識別圏が習氏の『保身』という観点から出てきたのであれば、事態は一層の危険をはらむことになります。

これまでの東アジアの歴史において、同時代に強国中国と強国日本が並び立ったことは無いのです。

史実がはっきりしない古代から1850年代にかけて、中国は他とは比較にならない強国であり、他に抜きんでた存在でした。
そして西洋列強の帝国主義に刺激された日本が近代化を急いだ時期、中国は西洋的影響を排除し続けようとしました。

中国は再びその栄光を取り戻そうとしているかのように見受けられます。
なかんずく日本については、第二次世界大戦中の中国各地を支配した際の数々の野蛮な行為の苦い記憶があり、日本に対し常に優位な立場でいたいという欲求には切実なものがあります。

第一次世界大戦02
20世紀初頭、ヨーロッパにおいて既存の強国と台頭する勢力との間の軋轢は『戦争の世紀』を生み出してしまいました。

現代の東アジアの状況はそれとよく似ており、尖閣諸島は21世紀のサラエボ(第一次世界大戦の直接原因を作った)の役どころを演じる可能性があります。

〈 後篇に続く 〉

http://www.economist.com/news/leaders/21590930-chinas-new-air-defence-zone-suggests-worrying-new-approach-region-face

 

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