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【 原子力発電所は国家の『不良債権』!原子力発電所の危険負担はあまりに長期間、あまりに巨額 】〈1〉

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所要時間 約 7分

廃炉費用は当然電力会社が負担するもの…そんな考えは覆され、あなたに請求が回ってくる
原子力発電所を廃炉にするための方法など未確立、そこにどれ程の危険が潜んでいるのか、費用はいくらになるのか不明のまま
原子力発電所を不良債権化して責任転嫁、廃炉費用の負担から逃れようとする電力会社

デア・シュピーゲル 5月15日

Spirgel 1
追加費用が天文学的な金額に上る事を恐れ、ドイツの電力会社は廃炉の責任を政府に転嫁、費用の支払いを国民の税金によって賄うべく動き始めました。
そうなれば数十億ユーロの費用が必要になりますが、この提案をのむほか無いのではないか、ドイツ政府はそう考え始めている節があります。

ドイツの最新の、そして最難関となる課題の重量は275,000トンです。
これはオブリヒハイム原子力発電所を廃炉にする際に排出される鋼材、セメント材その他の放射性廃棄物の総重量です。
この莫大な量の放射性廃棄物があるのは、バーデン・ビュルテンベルグ州オブリヒハイムの町の中です。
ここにある放射性廃棄物は原子力発電所で使われていた配管類、発電部門の機械部品、タービン、発電機、そして原子炉圧力容器など。
そしてそのままでは放射線量が高過ぎるため、移動も解体も出来ない高レベル放射性核廃棄物が約10,000トンあると見られています。
これらは廃炉作業の中でまず、超音波洗浄やサンドブラストなどの前処理を行わなければなりません。
そして人間が行うには危険すぎる作業は、遠隔操作ロボットを使う必要があります。

原子力発電所の解体・廃炉は、完了するまでに15~20年を要する、技術的に極めて複雑、そして困難な仕事です。
オブリヒハイム原子力発電所は本来、ドイツの電力会社EnBWの持ち物ですが、廃炉完了までに要する費用は5億ユーロ(約700億円)と見積もられています。
しかしドイツの他の原子炉と比較すると、オブリヒハイムの加圧水型原子炉は比較的小さい方なのです

グンドゥレミンゲンB号機(ミュンヘン北西)、あるいはバイエルン州のイサー2号機の様なさらに大きな原子炉を廃炉にするためには倍の10億ユーロ(約1,400億円)画筆用になるだろうと見られています。

廃炉05
多くのドイツ人は廃炉のタイミングが訪れれば、原子力発電所を使ってこれまで何10億ユーロもの利益を上げてきた電力会社が、当然その費用を負担するものと考えてきました。
自家用車のオーナーはそれがもう使い物にならないと判断すれば、自分で廃車費用を支払って処分する義務を負っていますが、電力会社だけには違うルールを認める必要があるのでしょうか?

ドイツの3大電力会社とその代表、E.On のCEOであるヨハネス・ティッセン、RWE社長、ピーター・テリウム、EnBW社長のフランク・マステューは原子力発電所の廃炉に何十億ユーロもの自社の資金をつぎ込むのではない、電力会社にとつて願っても無い結論で一致したのです。
彼らはドイツ政府とドイツ国民に、原子力発電所の廃炉の責任を転嫁したいと考えています。

▽ 原子力発電所は国家の『不良債権』

今や電力会社は彼らの経営にとって最大のリスクとなっている原子力発電所について、その廃炉を行うため、電力業界の『不良債権』とする事を提案しているのです。

2011年3月に発生した福島第一原子力発電所の事故を見て、福ドイツのアンゲラ・メルケル首相はエネルギーヴェンデ、すなわちエネルギーの転換政策実行を決断し、ドイツ国内のすべての原子力発電所を、2022年までに段階的に閉鎖し、主に再生可能エネルギーに変える方針を導入しました。
閉鎖した原子力発電にとって、次なるステップは原子炉の廃炉です。
その廃炉作業に伴うリスクのあまりの大きさを見て、ドイツの各電力会社の経営陣は現存するすべての原子力発電所の所有権を放棄し、これから8年間の原子力発電所の経営を公共事業とするよう求めているのです。

そのために原子力発電所を不良債権とし、原子力発電所の廃炉と放射性廃棄物の処理を付帯する義務にしようとしているのです。
[下図 : ドイツ国内に残る原子力発電所]
Spiegel 2
この不良債権の処理責任はドイツ政府が負う事になります。
計画によれば、ドイツの電力会社は併せて300億ユーロ(約4兆2,000億円)をドイツ政府に提供します。
この金額は各企業において長年にわたり積み立てられ、この資金を基に最終的にドイツ政府によって廃炉作業と放射性核廃棄物の最終処分が行われる事になります。
資金の提供と引き換えに、政府は現在電力会社が原子力発電所に関わって持っているすべての危険負担を肩代わりする事になります。

この提案についての政府側の反応について、すべての電力会社がシュピーゲルの取材に対する返答を拒否しました。

E.On CEOのヨハネス・ティッセン、RWE社長のピーター・テリウムは、今年始め彼らのプランについて、その概略をドイツ政府に説明しました。
現在計画の細部に渡る作り込みが続けられており、彼らの提案が政府を取り上げる事になれば、直ちに交渉を始められるよう準備が進んでいます。

この時点で確実な事は、ドイツ国内の原子力発電所を廃炉にするための方法など確立しておらず、そこにどれ歩程の危険が潜んでいるのか、またその費用も不明のままであるという事です。

一方明白な事は、ドイツ国内のすべての原子炉を廃炉にするのに、300億ユーロ(約4兆2,000億円)ではとても足りないだろうと言う事だけなのです。

〈 第2回につづく 〉

http://www.spiegel.de/international/germany/utility-companies-want-public-trust-for-winding-down-nuclear-plants-a-969707.html
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今日から「原子力発電所は国家の『不良債権』」を3ないし4回に分け、掲載致します。
原子力発電所の運転を続ければ。核廃棄物だけでなく、原子力発電所そのものが巨大な核廃棄物と化す。
福島第一原子力発電所のように事故を起こさなくとも、そこに原子力発電所が出現すれば、現にそこにあれば、それそのものが巨大な核廃棄物なのだという事をしっかり認識する必要があります。

そしてその巨大さは作った張本人の電力会社だけでは、いずれ処理しきれなくなる運命を持っているのだと言う事を。

 

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