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【 日本の 2つの『核』被災地が直面する課題 】《後篇》

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所要時間 約 11分

「『被ばく者』と『被災者』の違いとは…
『原子力の平和利用』をことさら際立たせるため、広島が利用されてきた
広島も福島も直視できない、内部被ばくの現実

景山ゆり / AP通信 / アメリカNBCニュース 9月26日

広島14
殺戮と破壊、このことに限って言えば広島に投下された原爆が放ったエネルギーは、福島第一原発の事故によるものとは比較にならない程巨大なものでした。
それでも福島のエリアでこれから現れる可能性のある健康被害について、懸念を深める医療の専門家がいます。

福島の状況について報道を続けていた元朝日新聞社の烏賀陽弘道氏は、世界で唯一の被爆国でありながら、世界で史上2番目に最悪の原子力発電所事故を防げなかった事実について、『歴史の皮肉』であると語りました。

烏賀陽氏は「日本は原子力技術について、最も注意深くあるべき国であったはずです。」と語りました。
同氏は今年『ヒロシマからフクシマヘ 原発をめぐる不思議な旅』と題する著作を刊行しました。

烏賀陽氏は原子爆弾と原子力発電は、その歴史的背景を共有していると考えています。
「それぞれの歴史を詳細に検証すると、原子力発電と原子爆弾は双子の兄弟に思えてきます。」
彼はこう語りました。

しかし何人かの広島の人々は、広島と福島の関連性を頑なに否定します。

広島06
理由のひとつは今、最終目標とする核兵器の廃絶に世界が限りなく違づいている、少なくとも国際的な機運がこれまでになく高まっているという実感です。
アメリカのバラク・オバマ大統領が、在任中に広島を訪問する望みが高くなっているのです。

実現されれば、現職のアメリカ大統領が初めて広島を訪問することになります。
それを強く望む人々は、福島との連携により訪問の可能性が遠のくことを恐れています。

もう一つ理由があります。
広島には原子力発電の普及拡大のため、『戦略的』に利用されてきたという経緯があります。
『原子力の平和利用』をことさら際立たせるため、広島が利用されてきたという歴史的事実があるのです。
広島平和記念資料館の中で敵とされてきたのは原子爆弾であり、原子炉ではありませんでした。

記念館の中あるデジタル時計のひとつは、原爆投下からどれだけの時間が経過したかを表示しています。
人々は記念碑の前に一列に並んで祈りを捧げます。
ほとんど骨組みだけになった原爆ドームは、核兵器の無い平和な世界を願うための国際的なシンボルになりました。

「これらの写真をご覧ください。」
資料館館長の志賀賢治氏が、目を凝らさなければ人間とは識別できない、真っ黒に焼け焦げた死体の写真を指さしました。
「この写真は未だ、それ程ひどくは無い方です。」

広島12
「この場所ではすべてが、一瞬の爆発とともに始まったのです。」
志賀氏が広島と福島の違いを強調しました。
「この場所で起きたことは、放射線の漏出だけでは無かったのです。」

広島市の88歳の坪井直さんも原子爆弾の犠牲者ですが、奇跡的に生き残りました。
坪井さんの耳の一部分は失われ、顔にはやけどの跡がはっきりと残っています。

40日間生死の境をさまよい、その後やっと意識を取り戻すと、戦争はもうとっくに終わっていました。
体の各所にひどい損傷を受けた坪井さんは、まず床を這って進むことから始めなければなりませんでした。
坪井さんは福島について心を痛めてはいますが、一方では他の人々と同じように広島との違いを強調しました。

広島の人々は『被ばく者』であり、それは放射線の犠牲になった事を意味します。
一方で福島の人々は『被災者』であって、災害によって被害を受けたことを意味している、坪井さんがそう語りました。
「原爆投下は私たちを殺すことが目的だった、その事に疑いをさしはさむ余地はありません。」

IND 福島第一原発
「福島では多分、これから放射線によるさまざまな問題が発生するでしょう。しかしそれによって死亡する人が現れるかどうか、その事は未だ解りません。
しかしここ、広島で起きたことは、ほとんど絶滅行為に限りなく近いものだったのです。」

96歳の肥田舜太郎さんは、原爆投下から数日のうちに広島の人々の治療にあたった医師のひとりです。 肥田さんは内部被ばくの危険性について、これまで歯に衣を着せずに物を言ってきました。
内部被ばくは呼吸によって大気中の放射性物質を吸入してしまったり、水や食べ物についた放射性物質を体内に取り込んでしまうことを指します。
肥田さんは原爆投下後に広島市内に入ってきた人々が被ばくをしてしまい、数百人がガン、脳卒中、多臓器不全や白血病などを発症し、死んでいった様子を目撃してきました。

「これほどの長い間、原爆が人間を殺し続けるという事を、世界長の人々に理解してほしいと願った人はこれまで一人もいませんでした。」

肥田氏によれば、広島は核爆弾による社会の大変動が幾重にも絡み合い、いくつもの悲劇を生んだ、その典型なのです。

汚染05
肥田氏は、内部被ばくがもたらす被害のすべての現実を、広島が直視している訳ではないと語りました。
そして、その同じ間違いが今、福島で繰り返されているのです。

〈 完 〉

http://edition.cnn.com/2013/09/04/world/asia/japan-fukushima-nuclear-crisis-explainer/index.html?iid=article_sideba
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文中、「『被ばく者』と『被災者』の違いという事が出てきます。

『被災者』である福島で原発難民となってしまわれた方の人生について、もう一度考えてみました。
私は父親であり、夫であり、自分の家族と一緒に一軒の家の中で暮らしています。
私には30年以上勤めた会社があり、妻は25年以上経営してきた薬局があり、そして娘は市内の会社に勤め、息子は大学で研究生活を送っています。

ある日、突然こう言い渡される。

あなたの家は、もう人間が住むことはできなくなりました。
あなたと娘さんの会社は、今日から営業できなくなりました。
当然ながらあなたと娘さんの仕事はもうありません。
奥さんの薬局ももう営業できません。
というより、この町にはもう人は住めません。

家にあるものを持ち出してはいけません、とにかくの場からすぐに立ち去ってください。
あなた方家族一人一人のこの家に関わる大切なもの?大切なこと?
冗談言わないでください!
いいから早く、この場所から出て行ってください。

それと今日から、家族全員一緒には暮らせませんよ、いいですね…

ある意味、これは殺されるより残酷なことかもしれないと思いました。
ドキュメンタリー映画で見た、あのシーン。
ある日突然ナチスの一団がユダヤ人一家の玄関先にやって来て、今すぐここから出ていけ、といわれるシーンです。

行き先がゲットーあるいは強制収容所か、避難所あるいは仮設住宅かの違いこそあれ、それまでの人生や生活が突如予告も無く台無しにされる点ではきわめてよく似ています。

これが今の日本で起きていることだと、私はしっかり受け止めているでしょうか?
毎日日本のどこかが爆撃されている訳でも無い。
突如目と鼻の先で自爆テロが起き、目の前の景色が地獄と化す、そんな生活をしている訳でも無い。
どころか、テレビの中の日本はオリンピックだ、国体だ、凱旋門賞だと盛り上がっている。

そんな国にいながら、人生を取り返しがつかないまで破壊されてしまった自分がいる。
そんな境遇に、一度思いをはせてみていただけませんか?

※明日10月9日(水)は掲載をお休みさせていただきます。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

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【 古代、異民族の侵略に苦しんだ日々と同じように… 】

アメリカNBCニュース 10月2日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

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明らかに栄養失調に陥っているその女の子の赤ちゃんは目に見えて弱っていて、ほとんど目を開くことも出来ませでした。

この女の子、ファティマは、バッシャール・アサド大統領の軍隊によって徹底的に破壊された北シリアの村、ケーファールーマ近くの古代の遺跡の中で、ちょうど1ヵ月前に生まれました。
ファティマの母が比較的安全な場所で出産できるように、家族は巨大な岩石と何世紀もの時を経た石壁に守られたこの場所に住まいを移しました。

「我々は政府軍による絶え間ない空爆と砲撃から逃れるため、ここにやってきたのです。」
政府軍による報復を恐れ、ファティマの父は匿名を条件に取材に応じました。

彼とその家族はシリア北西部にある、コケに覆われた一群の遺跡の中に避難場所を見つけました。
これらの遺跡は紀元1~7世紀ごろに建造された住宅、教会、浴場などの建物です。その後通商ルートが変わったため、これらの建造物は放棄されました。

ファティマの父親は娘に緑色の液体の入った哺乳ビンを差し出しました。ミルクを手に入れることが出来ないため、ハーブのようなものを与えているようです。
水道や電気が無いのは当たり前ですが、最低限の食事と医薬品にも事欠く毎日が続いています。

9月27日、弱々しい鳴き声を上げる孫のファティマをあやす女性(写真上)。

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