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「裏切られた!」東京医大スキャンダルの被害者が告発する

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試験の点数を意図的に引き下げられた女性、男女不平等の問題は日本の社会全体に蔓延していると指摘

女性の社会進出を自らの成長戦略の柱と位置付ける安倍首相にとって、東京医科大のスキャンダルは恥ずべきものであるはず

 

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2018年8月10日

数年前、宮内理子さんは医者になることを夢見て、日本の最も有名な医大の試験場に入って行きました。
若い女性のひとりとして、宮内さんは進もうとする道がきわめて狭いものであることを認識していました。
そして東京医科大学の入試は難関として知られ、さらに男性よりも女性が合格することの方がはるかに難しいとされていました。

 

宮内さんは知らずにいましたが、大学当局は宮内さんが進もうとする道に別の障害物を置こうとしていました。
大学側にとっては見ず知らずの女性でしかない宮内さんの試験結果に対し、女性の医学界への進出をできるだけ阻んでその分男性の医師を確実に増やそうと意図する大学の当局者によって、実際よりも点数を下げる操作が行われたのです。

 

8月初旬に読売新聞が伝えたところでは、東京医科大学は女子学生の比率が3分の1を超えないよう操作していました。
理由は女性医師は出産後も医師を続けられるかどうか不明だという懸念からだとしています。

 

このスキャンダルは世界中に伝播し、各国の報道機関が否定的な見出しを掲げることになりました。

この事態を受け日本の文部科学省は、国内数十カ所の医科大学や医学部で制度的に性差別が行われていないかどうか緊急に調査するよう通知しました。

 

初期にこうした不当な扱いを受けた女性の一人である宮内さんはガーディアンとのインタビューの中で、
「東京医科大学が意図に女性を不合格にし、結果として男性医師を増やそうとしているという噂は知っていました。」
「それでもその噂が本当だとわかって、私は本当にショックでした。」

8月第2週に入り、東京医科大は10年以上にわたって女性受験者の入学試験の点数を意図的に引き下げていたことを認めました。
この事実は東京医科大が国の研究資金を獲得しやすくするよう操作する見返りに、息子を不正に合格させた疑いがある文部科学省の官僚に対する調査中に発覚したものです。

 

調査によると今年の入学試験では、一旦すべての応募者の第一次試験の得点を20%引き下げた後、過去に少なくとも4回以上不合格となった受験生を除き、男性の主権者に一律にも20点以上を加点しました。

東京医科大のスキャンダルはメディアから厳しい目で見られ、大学は公式に謝罪せざるを得ませんでした。
東京医科大が性別による差別操作を始めたのは2006年だと認めました。

 

この事件の発覚を受け、他の歯科大学や医学部でも女性受験者を差別しているのではないかという疑念が高まっています。

 

数年前東京医科大学を受験した田中さゆみさんは自分の入学試験の結果も不正に操作された事実を知って、裏切られたと感じたことを明らかにしました。

「性別によって受験生の試験の点数を操作することは、直接的な差別です。」
田中さんはガーディアンの取材にこう答えました。
「試験の点数を変えることと面接試験で受験者に低い評価を与えることには大きな違いがあります。なぜなら後者では、試験官の自由裁量に任せられているからです。」

精神医学者の途を志す田中さんは、東京医科大に対する損害賠償請求を検討している数人の女性うちの一人です。
「東京医科大の入試に費やした費用を弁済して欲しいのです。」
「東京医科大が女性の受験生を差別していることが最初分かっていれば、私は決して志望しなかったと思います。」

 

今回の事実の発覚は、医師になることを目指している日本の女性が直面させられている大きな障害をクローズアップすることになりました。
大学が公開した入学者の記録によれば、入学試験に合格した女性の割合は2009年の24%から2010年にはいったん38%にまで上昇しましたが、それ以来低下を続け2018年は18%になりました。

 

同様の問題が日本全国で取りざたされています。
1997年までの10年、医学部の女子学生数は目に見えて増加を続けましたが、過去20年間では30%をわずかに上回っている状態です。

女性医師の不足は、他の先進国中日本をはるか後方に押しやることになりました。

 

OECDのデータによると2015年の日本の女性医師の総数は67,493人であり、半数のOECD加盟国の平均が45パーセントであるのに対し、日本は21パーセントでしかありません。

産婦人科医であり日本女性医療者連合理事の種部恭子医師は今回の不正入試問題を受け、次のように語りました。
「確たる証拠をつかんでいるわけではありませんが、気になることがあります。」
毎日新聞のインタビューに種部医師は次のように語りました。
「問題の根源にあるのは、重圧の多い日本の医療現場を機能させるには、男性の医師が長時間働き続けることかできる点、向いていると信じられていることです。」
「今回の件でこのパンドラの箱が開いたことをきっかけに、病院や他の医療機関の構想的問題を解決するため何をすべきかということに関し、全国的な議論が必要です。」

 

今回のスキャンダルは女性の社会進出を自らの成長戦略の柱と位置付ける安倍首相にとっても、恥ずべきものであるはずです。

 

女性は現在、日本の労働力の40%以上を占めていますが、政治家、会社役員、医療などの専門的職業分野では過小評価されています。
世界経済フォーラムは2017年、男女平等の観点から日本を144カ国中114位にランクさせましたが、10年前と比べても順位は23位後退しました。

 

田中さんも宮内さんも日本医科大学の入試結果発表以前に他の医科大学からの合格通知を受け取っていましたが、ソーシャルメディアと大学の首脳陣にこれまでのやり方を改めるよう求めるため前の週に大学の前で開催された抗議行動で自分たちの怒りをあらわにしました。
「東京医科大は付属病院で働ける男性医師を安定的に確保するために、入学試験の結果を改ざんしたと語っています。」
田中さんがこう語り、次のように続けました。
「その方針は女性医師を支援するものではなく、ただ単に男性にもっと仕事を与えることでした。そんなことをしても医療専門分野のプロフェッショナルの労働力不足を解決するのに役には立ちません。」

病院の救急救命室で医師として働くことを目指している宮内さんは、今回の入試結果の改ざんは医療はもちろん他の専門分野で働こうとする若い女性を減少させる危険があると語りました。

「それは女性には勉強は必要ないというメッセージを強調する結果につながります。」
宮内さんがこう語り、次のように続けました。
「夫が外で働いている間に妻が子どもを育てるという昔ながらの考え方は、まだまだ日本社会に残っています。これはさらに大きな問題です。これは日本にとって残念な状態です。」

 

※ご本人の希望により、宮内さん、田中さんはともに仮名です。

https://www.theguardian.com/world/2018/aug/10/betrayed-victims-of-tokyos-medical-school-scandal-react

 

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